軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第8話 対女神武器

「エリー! ナズナ! 怪我はないかい!?」

二人が転移した先は『奈落』最下層、訓練場だ。

訓練場は当時の『奈落』がそのまま残っている場所のひとつだ。

よく転移先として選ばれている。

その場にはすでに僕、メイ、アオユキが待ち構えていた。

エリーは転移すると、ナズナの手を離し、僕達を心配させないよう笑みを浮かべて答える。

「ご心配して頂きありがとうございますわ。わたくしは怪我などしておりませんの」

「ぺぺぺ! うえぇ~、海水を飲んじゃったぞ! 口の中がじょっぱいぃいいぃ!」

「ナズナ、これを飲んで落ち着いてください」

「ありがどう、メイぃ~」

ナズナがメイから差し出されたコップを受け取り、海水で満たされていた口内を一掃した。

その間にメイは『R ウォッシュ』を解放。

彼女の体にまとわりつく海水を綺麗にする。

これだけ元気なのと、見た限り彼女にも怪我はなさそうだ。

ナズナが落ち着いた所で、二人から、自称神を名乗る カメーナエ(Camenae) と邪神について話を聞く。

最初はエリーからだ。

「神と名乗る者達を鑑定しましたが……どちらもレベルが存在しませんでしたの」

「レベルが存在しない?」

「はいですの。しかも、 カメーナエ(Camenae) さんは一部ですが鑑定を抵抗されて見る事ができませんでしたわ」

「エリーの鑑定が抵抗されるなんて……」

以前、ドワーフ王国にある過去文明遺跡で、蛇擬きを鑑定した際、レベルは存在しなかった。

あれは武器、道具扱いのためレベルが存在しなかったが、 カメーナエ(Camenae) 、邪神はどう見ても生物だ。

生物にレベルが存在しないなんてありえるのか?

次に海水のダメージが抜け出したナズナが報告する。

「あたいがプロメテウスであの女と下の怪物を切りつけたけど、どっちも一切、剣が通らなかったぞ。 ――ううん、違うな。なんていうか……」

彼女は適切な言葉説明が出てこず、腕を組んで首を捻った。

「ご主人様達と模擬戦をすると、ご主人様達が防御するだろう? その時、攻撃を防がれるけど、絶対に破れないって感じじゃないんだ」

「えっと……つまり、僕達が防御した箇所を、ナズナが頑張れば突破することができるかもしれないってことでいいの?」

「ご主人様の言う通りだぞ! でも、アイツ等の場合、固いとか、粘りがあるから防がれたとかじゃなくて……なんていうか……あれ以上、進まない? みたいな?」

「進まない?」

ナズナの口から攻撃、防御にかんして珍しい意見が出た。

思わず僕はメイ、アオユキに視線を向ける。

彼女達もいまいち理解できず、小首を傾げた。

ナズナが両手をわちゃわちゃさせながら、僕達にも通じるように頑張って説明をしてくれる。

「こう、あれ以上、あたいがどれだけ力や気合いを入れても、絶対に進まない、切れないって確信する感じがしたんだ」

「……ナズナさんの仰りたいことがわたくしとしても納得できますわ」

「エリー?」

話を聞いてたエリーが、顎に手を当て話す。

「わたくしもあの方々を魔術で攻撃しましたわ。そして、彼女達はそれを身じろぎせず弾きましたの。傷を負わせるどころか、たたらも踏ませることができず、かすり傷一つつけられずに。その際、彼女達は一切防御する様子を見せませんでしたわ。まるで初めから、わたくし達の攻撃が『一切自分達に効果が無い』と理解しているかのように……」

「『一切自分達に効果が無い』か……」

仮にエリーの言葉通り、僕達の攻撃が一切相手に効果が無いとしたら……。

彼女達を倒す手段はない。

せいぜいウルシュ、アーミラ、アリアにお願いしたようにカードを使って延々時間稼ぎするしかないだろう。

(けど、『SUR 異界迷宮(アナザーワールド・ラビリンス) 』はもうないから、同じ手は二度と使えないけど……)

他の『無限ガチャ』カードを使い、組み合わせて時間を稼ぐのが関の山だ……。

永遠に時間が稼げるわけではない。

敵対している以上、相手を倒すか、それこそ永遠に封印するぐらいしか方法はないのだ。

「攻撃が効かない、無敵ということですか……。自称『神』を名乗るだけはありますね。竜人帝国の『ますたー』達の計画ではありませんが、これは星の外に逃げたくなる気持ちも理解できます」

「にゃー」

「逆に言えば黒さんなどに、あの少女と邪神の倒し方を尋ねても回答はないということですわね。実際、ヒロさん達の記憶にも倒し方などなく、『プロジェクト・アーク』によって、この星を脱出するぐらいしか方法はないと考えていたようですし……」

メイの発言に同意するように負傷中のアオユキは鳴き、エリーはぼやく。

ナズナも倒し方を考えてくれているようだが、頭から湯気が出そうになっているだけで、良いアイデアは出そうにない。

「…………」

逆に僕は カメーナエ(Camenae) 、邪神の倒し方を思いつく――というより、心当たりがあった。

「ねぇ、みんな…… カメーナエ(Camenae) と邪神を倒すのに、 神葬(しんそう) グングニールは使えないかな?」

『!?』

この提案にメイ、アオユキ、エリー、ナズナが『その手があったか!?』という表情を作った。

普段、『 神葬(しんそう) グングニール』はナズナを除く、レベル9999で封印。杖の状態にしている。

また最近だとヒロに使用したが、普通は滅多に持ち出さない武器のため、忘れるのも致し方ないだろう。

僕は『 神葬(しんそう) グングニール』の鑑定説明を思い出しつつ告げる。

「以前なら鑑定をするとなぜか文字化けして『神■■り■を■■し槍』としか読めなかったけど、第2封印を解いたお陰か、もしくは 神話級(ミトロジー・クラス) 『精霊双剣』を一緒に呑み込んだからか、『神■葬り■を■みし槍』まで読めるようになったけど……。内容から神にダメージを与えられそうなんだよね」

『 神葬(しんそう) グングニール』――『神を葬る』という名からも、自称『神』である少女、邪神にダメージを与えられる可能性は非常に高い。

この提案に最初、メイが同意する。

「ライト様の仰る通りダメージを与えられる可能性が高いかと。では、解放後、私が『 神葬(しんそう) グングニール』を手に彼女達へ向かわせて頂きます」

「にゃ!」

「メイじゃ、あいつらに近づくのも難しいだろ! ここはあたいの出番だぜ!」

メイが『 神葬(しんそう) グングニール』の第一段階を解放後、彼女が槍を手に カメーナエ(Camenae) 、邪神に戦いを挑むことを宣言。

しかしアオユキとナズナが反対し、『自分こそが相応しい』と立候補したのだ。

エリーはさすがに自身が魔術師であるため、近接戦闘は無理だと理解し、悔しそうに歯がみしつつ黙っていた。

この三人の提案を僕は首を横に振り却下する。

「却下だ。当然、解放後に僕自身が奴らを倒す。なにより『 神葬(しんそう) グングニール』を一番上手く扱えるのは僕だからね」

これは感覚的で、直感でしかないが、この中で一番『 神葬(しんそう) グングニール』に適しているのが僕だという自信があった。

『 神葬(しんそう) グングニール』も応えるように僕の手に吸い付く。

「それじゃアーミラ達が時間を稼いでくれている間に、あの自称『神』を名乗る奴らを倒す作戦を立てようか」

僕は意地の悪い笑みを浮かべ、奴らを出し抜き、『 神葬(しんそう) グングニール』をその身に叩き込むための作戦を立てる話し合いを始めるのだった。