軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第7話 カメーナエと『邪神』2

「妾はこの世界を創造した神――神を殺すことなど何人もできるはずなかろう?」

エリーの攻撃魔術を防御もせず、『奈落』最下層最強のナズナすら傷を与えるどころか、一蹴してしまう。

『神』を名乗るだけの実力はあった。

「な、ナズナさんでも傷つけることすらできないなんて……ッ!?」

流石のエリーも、『奈落』最下層最強のナズナをまるで虫でも払うかのように一蹴したことに驚愕。

思わずフリーズしてしまう。

「『巨塔の魔女』の姐さん!」

「アーミラさん!? アリアさんまで!」

「一度、撤退してくださいッス! 自分達が足止めしますんで!」

「ですが……ッ! 分かりましたわ。任せますの」

転移後、空中に浮かぶ『UR 魔術師ラミア アーミラ レベル5000』に『撤退せよ』と言われて最初は否定の言葉が出かけた。

レベル9999の自分やナズナですら手も足も出ないのだ。

レベル5000のアーミラ達では、数分の足止めすら不可能だろう。

しかし、姿を現した顔ぶれを前に、指示を出したであろうライトの意図を汲んで撤退を了承したのだ。

エリーはアーミラの意見に同意すると、海に落ちたナズナの一人の側へと転移。

「『巨塔の魔女』! 逃げられると思うなよ!」

彼女の目的に気付いた カメーナエ(Camenae) は、邪神に攻撃を促す。

邪神が側面の口から光線を発射し、エリー&ナズナを攻撃するが――。

攻撃が届くまでに、ナズナに元の一人へ戻すと、すぐさま『奈落』最下層へと転移、離脱した。

カメーナエ(Camenae) はアーミラ達を一目見て、『低レベルの雑魚』と判断。

攻撃する優先順位をエリーとナズナを上にしてしまったせいで、アーミラ達の行動を阻害するタイミングを失ってしまう。

アーミラが指示を出す。

「アリア! 頼むッス!」

「はい~、アーミラ様々~」

『レベル3333 育ち過ぎたノーム アリア』が、胸元から一枚のカードを取り出す。

そのカードをすぐさま解放する。

「『SUR 異界迷宮(アナザーワールド・ラビリンス) 』、 解放(リリース) ~!」

「!?」

カードが解放されると、アーミラ&アリア、 カメーナエ(Camenae) 、邪神が丸ごと異空間に取り込まれる。

取り込まれた先には天井、床、左右に永遠に続くと錯覚するような迷宮が現れた。

『SUR 異界迷宮(アナザーワールド・ラビリンス) 』――対象の存在を異界の迷宮に送り込む。この異界から脱出する方法はただ一つ。迷宮を抜けること。

以上だ。

この『SUR 異界迷宮(アナザーワールド・ラビリンス) 』は――『奈落』最下層の管理倉庫奥、表に出せない 神話級(ミトロジー・クラス) アイテムなどが収められている区間があり、その区間に納められていたカードの一枚だ。

一見するとガチャレベルも高く、非常に有効なカードかと思いきや……。

当然、デメリットも存在した。

『SUR 異界迷宮(アナザーワールド・ラビリンス) 』を解放した者も異界迷宮に囚われ、脱出しなければ外へと出られないのだ。

とはいえ、使用者は、迷宮出口がどこにあるのか分かるため、囚われた者達と比べると圧倒的に有利なのだが。

それ故、普段、『奈落』のダンジョンを運営しているアーミラとアリアがライトによって抜擢された。

彼女達はダンジョンになれているため、脱出が誰よりも早いだろう。

もちろんアーミラ達に カメーナエ(Camenae) 、邪神退治なんて無茶を任せた訳じゃない。あくまで時間稼ぎだ。

今度はアーミラがカードを切る!

「『UR 無限虫(むげんちゅう) 』! 『UR 業火の天使達(ヘルフレイム・エンジェルズ) 』、『UR 業氷の天使達(ヘルアイス・エンジェルズ) 』、『UR 業風の天使達(ヘルシルフ・エンジェルズ) 』、 解放(リリース) ッス!」

アーミラが、好戦的な笑みを浮かべて、次々にカードを解放していく。

『UR 業火の天使達(ヘルフレイム・エンジェルズ) 』、『UR 業氷の天使達(ヘルアイス・エンジェルズ) 』、『UR 業風の天使達(ヘルシルフ・エンジェルズ) 』――名前から分かる通り、炎、氷、風が形を作った天使の姿を作り出す。しかも1体ではなく、複数の天使を生み出す。

URと高レベルガチャだけあり、その破壊力は非常に高い。

とはいえ、高レベルで破壊力が高いぐらいで、とくに問題があるカードではなかった。

問題は『UR 無限虫(むげんちゅう) 』である。

『UR 無限虫(むげんちゅう) 』――柱が現れ、そこから無限に殺傷能力の高い虫が溢れ出る。柱を壊さない限り、無限に発生する。攻撃対象は選ばない。

最後の説明文『攻撃対象は選ばない』から分かる通り、解放すると無差別に襲いかかる虫を無限に生み出すのだ。

故にこのカードも危険度から管理倉庫奥に表に出せない 神話級(ミトロジー・クラス) アイテムなどが収められている区間に厳重に保管されていた。

解放後すぐにアーミラ達は、『UR 無限虫(むげんちゅう) 』から距離を取る――というか迷宮脱出のため駆けだしていた。

カードから解放された『無限虫』は、まるで巨大なビルのような大きさだった。

そんな巨大ビルのような柱から、1mの甲冑をまとったカブトムシのような虫、約30cmだが数が多い如何にも獰猛な蜂、数mはある極彩色の毒ムカデなどが大量に姿を現す。

「な!? え!? ちょっ! ま、待ちなさいよ!」

突然、『SUR 異界迷宮(アナザーワールド・ラビリンス) 』によって強制転移。

さらに業火などの天使達に攻撃を受け、巨大なビルのような『無限虫』がスプリンクラーのように吹き出してくる光景に カメーナエ(Camenae) は理解が追いつかず、先程まで威厳があった口調から、まるで年相応の少女のような叫びを上げた。

アーミラ達はそんな彼女の叫びなど一切無視して、迷宮の角を曲がり彼女の視界から外れると、すぐさま『SSR 存在隠蔽』を解放。

迷宮脱出のため最短ルートを移動しつつ、さらに妨害用のカードを次々に解放していくのだった。