軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

15話 ライトvsヒロ2

「貴様は絶対に許さない。貴様だけは地獄すら生ぬるい地獄以上の地獄を味わわせてやる!」

気付けば叫びと同時に、僕はヒロへと激情のまま突っ込んで行った。

「ヒロぉおおぉおぉぉッ!」

僕は杖を槍代わりに鋭い突きを放つ。

ヒロは光る剣を両手に生み出しつつ、回避。

槍を突き出すことで、泳ぐ僕の隙を狙い光剣を走らせる!

狙いは僕の首だ、が。

「甘い!」

「……ッ!?」

狙いが見え見えだったため、僕は地面に体がつく勢いで下げた。

ヒロの光剣は虚しく空を切るだけに終わる。

今度は逆に攻撃に転じたことでヒロに隙が生まれたので、地面を蹴り砕く勢いで踏み込み彼の腹部を狙い杖を突き出す。

「ぐうぅッ!」

ヒロは回避が間に合わず、反射的に両腕を交差してガード。

僕は構わずガードごと、杖で彼を突き飛ばした。

杖を両腕でガードしたにもかかわらず、衝撃が腹部に貫通ダメージ。ヒロは勢いを殺すように両足を踏ん張るが、それでも止まらずガリガリと地面を削って跡を残す。

「ッゥ! こ、この!」

「中途半端な攻撃は逆に自分の首を絞めるだけだぞ!」

僕は素早くヒロの背後に回り込む。

彼も目の端で追っていたため、背後に向けて光剣を走らせるが、正直それは悪手だ。

狙いも定めず牽制の意味程度で光剣を振るっているだけ。

そんな温い攻撃、僕に当たるはずがない!

余裕で回避して蹴り飛ばす。

ヒロは背中を蹴られて地面を勢いよく転がった。

当然、追撃の手は緩めない!

「『UR 業火の天使達(ヘルフレイム・エンジェルズ) 』、 解放(リリース) !」

炎の形をした複数の天使達が姿を現した。

彼女達は未だに勢いよく地面を転がるヒロに対して、一斉に群がり、爆砕!

僕の肌すら焦がしそうなほどの高熱を撒き散らす。

『UR 業火の天使達(ヘルフレイム・エンジェルズ) 』は、『SSSR 業火の天使(ヘルフレイム・エンジェル) 』の上位カードだ。

『SSSR 業火の天使(ヘルフレイム・エンジェル) 』――天使の形をした炎が一体召喚される。術者の指示に従い攻撃をしかける。

『UR 業火の天使達(ヘルフレイム・エンジェルズ) 』の場合、 業火の天使(ヘルフレイム・エンジェル) が複数姿を現して攻撃をしてくるのだ。

暫くヒロを中心に爆発、高温、爆音が響き続ける。

途中で、局地的な灼熱地獄が光剣によって切り裂かれる。

群がっていた 業火の天使達(ヘルフレイム・エンジェルズ) をヒロが光剣で切り裂き、灼熱地獄から飛び出してきたのだ。

衣服が一部焼け焦げているが、ダメージがあるようには見えない。

強いていうなら、口の端が切れたのか、血が僅かに伝っている程度だ。

未だヒロは余裕を表現するかのように、王子様スマイルで話しかけてくる。

「強いね。まさか君のような小さな魔術師くんにここまでいいようにやられるなんて。これでもボクは今、レベル9999でカンストしているんだけどな」

「……知っている。それに僕自身もレベル9999だ。動きから今まで格下としか戦ってきた経験しかないだろう? 自分と同格、格上との戦闘経験が不足しているから、所々の動きが甘すぎる。それが本気なら、貴様を倒すのはそう難しいことじゃないぞ」

脅しではなく、これは僕の本心だ。

確かにヒロはレベル9999で、反応速度、動きは素早く、攻撃、防御能力も高いだろう。格下相手なら、それで問題ない。

だが同格、格上を相手にするには動きが未熟過ぎる。

僕は同格、それ以上の 相手(ナズナ) と『奈落』最下層で何度も手合わせをしてきた。

少しでも甘い動きをしたら、その隙をつけ込まれて広げられて敗北してしまう。小さなミス、甘さ、隙が致命傷になることを実体験を通して知っている。

だが今まで格下としか戦ってきたことがないヒロは、そんなシビアな戦闘勘など皆無で、本当にこのままなら問題なく倒しきることが出来ると、僕は実感していた。

ヒロ自身、僕の指摘がはったりではないことを声と、数度矛を交えた感触から実感しているようだ。

彼は殻笑いしながら、

「ははは、手厳しいな……」

口端から流れる血を親指で拭い改めて僕へと向き直る。

「確かに今のボクでは実戦経験が豊富なライトくんには勝てなさそうだね。レベル9999になったのも つい最近(・・・・) だからね」

ヒロは自身の不利を客観的に理解しているにもかかわらず、余裕の態度を崩さない。

「では、実力と実戦経験で負けているのなら……能力で勝るとしようか!」

彼は既に勝利を確信した笑みを浮かべ、声をあげる。

「 光人化(こうじんか) !」

声を上げると同時に、ヒロの体が淡く光り出す。

どうやらこの『光人化』というのが、彼の切り札のようだ。

「!?」

ヒロが構えたと思った瞬間!

僕は本能的にその場から飛び退く。

刹那、僕が居た場所に光が走り抜ける。

本能に従い回避したお陰で、服を一部切り裂かれる程度で済んだ。

光が走り抜けた先にはヒロが立っている。

(ほぼ間違いなくヒロは『光』になって、攻撃をしかけてきたんだろう。まさに『 光撃(こうげき) 』だな。だが、弱点は多そうだ。直線的な攻撃しかできないのと、速すぎて一度敵目標を見失ったら再度目視で確認しないとならない。そして、移動後はすぐに動くことができないようだ)

文字通り、光速移動するせいで、移動後はすぐさま動き出すことができないらしい。

当然、その隙を逃すほど僕は甘くない!

「『UR 次元の断絶(ディメンション・スラッシュ) 』!」

空間を切り裂き、閉じる際の力で敵単体を切り裂く。どれだけ防御能力が高くても、ダメージを与えることができる攻撃カードだ。

ヒロが光速で移動するのなら、僕は空間を切り裂く攻撃をしてやろう!

光速移動後、数秒ほど足が止まる弱点を突いて、どれだけ防御能力が高くてもダメージを与える空間攻撃をしかけた。

さらに足を狙い、彼の自信の根拠を奪おうとしたが、

「『UR 次元の断絶(ディメンション・スラッシュ) 』は確かに当たったはずなのに!?」

「何か攻撃をしたかい?」

ヒロはこちらを嘲笑うように声をかけてくると、再度、狙いを定めて『 光撃(こうげき) 』!

攻撃が通用しなかった動揺から、回避が若干遅れてしまう。

それでも直撃は避けるため、体を捻り、回避!

腕にかすって血が舞う。

「ライト様!?」

「ご主人様、大丈夫か!?」

メイ、ナズナが思わず声をあげた。

僕は『問題なし』と告げるように彼女達へと軽く手をあげる。

今度は立ち止まったヒロに対して攻撃を仕掛けず、『UR 次元の断絶(ディメンション・スラッシュ) 』が通用しなかった理由に思考を回す。

お陰ですぐに答えが出る。

「光速で移動するだけじゃなくて、その輝いている状態だと体そのものが光のようにあらゆる攻撃を透過してしまうのか……」

「へぇ、凄いね。すぐに答えに辿り着くなんて。正直、答えに辿り着くのはもう少し先だと思ったけど。やれやれ、ネタバレしがいがないな」

(似たような敵――大規模過去文明遺跡で、蛇擬きと戦った経験があったからすぐ答えに辿り着けたな)

ヒロはパーティー会場で、手品のネタばらしをされたような気軽な態度で肩をすくめた。

彼は続けざま、僕を見下した態度で告げる。

「ネタばらしもされちゃったし、そろそろ決着を付けようか。正直、君程度の相手をしている暇はボクにはないんだ。さっさと君達を倒して、地上に戻って一から『C』対策に取りかからないといけないんでね」

「なんだよこのぴかぴか! ご主人様を馬鹿にしやがって!」

「ナズナ、ライト様の邪魔をしては駄目ですよ」

ナズナはヒロの挑発にまんまとのせられ声を荒げ、大剣プロメテウスを片手に襲いかかろうとした。

そんな彼女をメイが止めていた。

こちらを苛立たせ、心理的有利を得ようとしているのだろう。

わざわざ、相手の狙いに付き合う必要はない。

(だが、彼の自信も分からなくはない。光速移動、攻撃無力化、レベル9999……どれか一つでも本来は脅威だ。大抵の相手には勝利できるだろう)

僕はヒロに合わせて余裕の笑みを浮かべる。

「この程度でもう勝利した気でいるのかい? だとしたら、本当に戦闘経験が浅いね。光速で動き、攻撃を透過できる程度で、僕を倒せると本気で思っているのかい?」

「これだから子供は……。強がりを口にするのは構わないけど、その程度のはったりでボクが怯む、動揺すると考えるなんて。まさに子供の浅知恵だね」

「浅知恵かどうか、その身で確かめてみるといい」

「言っただろ? 強がりは時と場所を選ぶべきだと。でなければ哀れまれるだけだよ」

僕は自然体で1枚のカードを取り出す。

その場から動かないことを態度で示した。

そんな僕をヒロは『自棄になって勝負を捨てたのか? それとも何か策があるのか? はったり?』と逡巡し出すが、よほど『光人化』に自信があるのだろう。

先程の台詞通りさっさと僕を殺害し、メイ、ナズナも殺して『C』対策に乗り出そうと、構え――再び光と化す!