軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

1話 地上に残された者達

「ご――魔女様ァァァッ!」

アイスヒートは巨大な魔方陣が出現し、ライト達が姿を消すのを目にして、反射的に『 ライト(ご主人様) 』と声をあげそうになった。

現在、『巨塔の魔女』一派として行動しているため、それでは不自然だと気づき慌てて『魔女様』と声をあげたのだ。

しかもライトだけではない。

メイ、アオユキ、エリー、ナズナ――レベル9999達が全員姿を消してしまったのだ。

レベル的にすぐ反応、ライトの後を追いかけた結果だ。

「ケケケケケ! アイスヒート!」

「分かっている! 凍れ!」

アークと宙城が重なり落下。

地面に激突し、クレーターを作り出した。

可燃物に引火したのか、アークと宙城共に燃えだし、森林にも引火してしまっている。

メラのかけ声の意図を理解したアイスヒートは、ドラゴンの背から飛び降りるより先に、燃えるアーク、宙城、森林の鎮火を優先した。

氷側である左腕を振るうと冷気が走り、燃える炎が凍り付くように鎮火していく。

鎮火し終えると、アイスヒート、メラ、スズ&ロックが、ドラゴンから飛び降りる。

地面に着地後、ライト達が姿を消したクレーターの縁まで移動。

気配、視覚、聴覚などで周囲を索敵するが、自分達以外、生物は近くにいない。

アイスヒートが念のため、この場で一番索敵に優れたスズに声をかける。

「スズ、周囲に魔女様達の気配はあるか?」

「(ふるふる)」

『気配ナシダト。落下ノ衝撃デもんすたースラ近クニハイナイラシイ』

ライトとお揃いの仮面を被ったスズが首を振り、相方のロックを通して補足した。

アイスヒートは予想通りの返答に苦い表情を作り、次にカードを取り出す。

「『SR 念話』、 解放(リリース) !」

ライトの顔を思い浮かべつつ、『SR 念話』を解放。

いつもならこれで連絡が付くが……。

空振りしたかのように手応えがない。

カードが無為に消費される。

アイスヒートは次のカードを取り出す。

「『SSR 千里眼』、解放!」

ライトの姿形を思い浮かべ周囲を探るが、姿は無い。

カードが無為に消費されたのを理解しつつ、彼女は僅かに考え込む。

「……ドラゴン達は念のため周囲を警戒。一部は魔女様のお姿を上空から飛行し探せ。 アオユキ(猫) 様配下で鼻が利く者達はドラゴンの背から降りて、地上から匂いを追え!」

『グルルゥ!』

『ガウ!』

ドラゴン達はエリーが召喚し、従えている者達だ。

だが、現状を理解し、アイスヒートの指示に大人しく従う。

ドラゴン達の背に乗るアオユキ配下のモンスター達――その中でも鼻が利く犬系モンスター達もアイスヒートの指示に従い地面に降りて匂いからライト達を探し出そうと動き出した。

『SSR 千里眼』カードを使用し、手応えがない以上、近くにいる可能性はゼロだ。

とはいえ、僅かな可能性に賭けて索敵しない訳にもいかない。

彼らの姿を見送りながら、レベル7777のアイスヒート、メラ、スズ&ロックが顔を突き合わせて現状の動きを話し合う。

「ケケケケ! とりあえず現状はこれで良いとして次はどう動く? 魔女様達は魔方陣が出現後、一瞬で姿を消したわけだ。どこかに転移したと考えるのが自然だろう」

「……魔女様が敵の『ますたー』達を『巨塔』地下に移動するため転移を使った可能性はあると思うか?」

「(ふるふる)」

『仮ニ魔女様ガ、おいら達ニ事前連絡モナク、突然あいすひーとノ姐サンノ指摘通リノ理由デ行動シタトシテ、未ダニ連絡ガナイノハアリエナイダロウ』

「ケケケ! アタシもロックの意見に賛成だ」

ロック独自の意見をメラが片手を上げて支持した。

相方スズも頷き、ロックの意見に賛同を示す。

アイスヒートも苦い顔で同意するしかない。

「なら敵の魔方陣によって強制的に転移させられたとして……魔女様達はどこに行ったと思う?」

『…………』

この問いに皆、黙り込むしかない。

突然、魔方陣が現れてライト達を強制的に転移させた。

たとえば仮に、この場にエリーが居た場合、自壊しつつもライト達を強制転移したアークのコア残骸を解析すれば、転移先が分かるかもしれないが……。

この場にエリーレベルで魔術知識が高い者などいない。

その上、強制転移の原因がアークのコアだという事実も知らないため、まず『コアを解析する』という発想が出てこなかった。

結果、彼女達が取れる手段はあまりにも限られていた。

「「…………」」

アイスヒート、メラが気まずそうにスズへ視線を向け、次に互いに視線を合わせて何か覚悟を固めた。

アイスヒートが切り出す。

「こうなれば最後の手段だ。責任はアイスヒートとメラが取る。だから、今から地下牢に向かって奴に会う。そして、現在の状況を包み隠さず伝えて、魔女様達がどこに転移したのか、少しでも手がかりがないか尋ねよう。その際、スズ、彼女から色々要求されるだろうが、魔女様達のため堪えて欲しい」

アイスヒートは『奈落』最下層、さらに地下の牢屋にいる元魔人国側『マスター』のミキに現状を説明。何か手がかりがないか尋ねようと言うのだ。

しかし、ミキはスズに執着しているため、現状、彼女達側が圧倒的不利な状況でどのような要求をされるか分かったものではない。

それこそ『抱かせろ』と言われたらどうするのかと考えると、今から皆の頭が痛くなる。

重くなった空気を入れ換えるようにメラが高笑いする。

「ケケケケケ! 何、最悪、体を要求されても交渉して一旦先延ばしにすればいいさ」

「……(ふるふる)」

『大丈夫。魔女様達ノ安否確認ガ最優先。ソノ時ハ覚悟ヲ決メテモイイ、ダト』

スズはミキを心底嫌っている。

生理的に無理だが、ライト達の安否確認が最優先だ。

ライト達の無事が確認できるのなら、どんなことでもする覚悟をスズは固めていた。

方針が決まった所でアイスヒート達が頷き合う。

「では、我々だけで一度帰還する! 他の者達はこの場で待機して、魔女様達の捜索、手がかりに繋がる何かを探すように!」

アイスヒートが号令をかけると、ドラゴン、アオユキ配下モンスターなどが返事をした。

アイスヒート、メラ、スズ&ロックは、『SSR 転移』で一度、『奈落』最下層に帰還するのだった。