軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

12話 ライトvsルカン3

『SSR 水中呼吸』のお陰で問題無く水中でも呼吸ができる。

全身に剣が生えているサメ達が体をくねらせ、僕に食らいつこうと水中を高速で移動し接近。

体を捻りつつ、相手の動きを読んで杖で突き払う。

水中で動きが制限されているとはいえ、レベル9999の突きだ。

当然、全身に剣が生えているサメ達は、頭部、体などに穴が空き即死していく。

とはいえ数が多いため、一度に全匹を倒すことはできない。

倒される仲間を見て、慌てて僕から距離を取り、回避を選ぶ。

それをあえて見逃し、自身の動きを確認する。

(水中での戦闘は初めてだけど……。思った以上に、体を動かすと水の抵抗があるな)

最初、魚型モンスターを近づかせないために、両手で杖を振るって強い水流を生み出した。

しかし、水中戦闘はこれが初めて。

咄嗟に突くことを選択したが、杖で殴るなどの場合、やはり水の抵抗が強くて想像以上に力を使いそうだ。

こちらの攻撃能力の高さを理解したのか、今度は全身が鎧のような鱗で覆われている魚を前面に出していくる。

盾役ということか?

(いや、違う!?)

僕は水の動く感触に背後へと杖を構えた。

『ゴン!』と水中にもかかわらず強い衝撃音が耳を叩く。

気づけばいつのまにかルカンが背後に回り込み、真っ白で巨大な魚の背骨のような剣を握りしめ振り下ろしてきたのだ。

咄嗟に相手の狙いに気づき防御したが、足が着いていないため体重差、水中という地の利のせいで押し負け後方へと吹き飛ばされる。

水中を勢いよく吹き飛ばされている中、僕は冷静に分析する。

(あの鎧魚を目くらましに、迂回してルカンが背後に回り込んできたのか。今の一撃で仕留められればよし、たとえ防がれても吹き飛ばした先には『毒があります』と言いたげな毒クラゲの群れで包囲。そのまま毒化して、僕を弱らせて、捕らえるつもりか)

普通の半透明なクラゲ色ではない。

原色をぶちまけたような、触れただけで危険と分かる毒々しい色のクラゲの群れが吹き飛んだ先に待ち構えていた。

(とはいえ僕は毒物無効化持ちだから、毒は効かないんだけどね)

だからといって、毒があるクラゲに群がられるのは気分が悪い。

僕は既に準備しているカードを解放する。

(『SSSR 雷属耐性付与』、『SSSR 雷輪(らいりん) 乱れ打ち』、解放! )

吹き飛ぶ後方、また前方にいるルカン、他魚モンスター達に向けて『SSSR 雷輪(らいりん) 乱れ打ち』を解放した。

『SSSR 雷輪(らいりん) 乱れ打ち』は、雷状の輪っかで、切断、痺れが同時におこなうことが出来る。それを複数放つ攻撃魔術だ。

本来なら、そのまま飛翔し敵を切断、痺れさせるのだが……現在は海中のなか。

水、特に海水は雷を通しやすい。

複数放たれた雷輪によって一部クラゲなどが切断されるが、それ以上に伝播する雷の力によってモンスター達は痺れ、内部まで灼かれ死亡していく。

事前に『SSSR 雷属耐性付与』によって耐性を付与した僕には一切のダメージはない。

『SSSR 雷輪(らいりん) 乱れ打ち』によって剣サメ、鎧魚、毒クラゲは全滅したが、ルカンはダメージを負った様子すら無い。

手に骨剣を持ち、余裕綽々の態度を崩さなかった。

(さすがレベル8000オーバー。あの程度の攻撃じゃ、ダメージも与えられないか。なんらかの手段で防いだんだろうな)

さほど期待はしていないため、問題はない。

むしろ、『余計な雑魚モンスターを召喚しても、一瞬で一網打尽にできる』アピールする狙いの方が強かった。

ルカンはこちらの狙いを理解しつつも、新たなモンスターを召喚する。

どうやらあちらはあちらで色々狙いがあるらしい。

次に召喚されたのは骨だけの骨魚モンスターだ。

全身が真っ白だが、脆い印象はなく、触れただけで指なら簡単に落ちそうな鋭いイメージを覚える。

さらに『ぎゅおん!』と音がしそうなほど動きが素早かった。

(たしかに全身が骨なら雷属性の攻撃は無意味だ。けど、だからといって撃退する方法がない訳じゃ――!?)

骨魚を排除しようと新たな『無限ガチャ』カードを取り出そうとすると、突然起きた激しい水流によって体が勢いよく流れる。

右、左、上、下。

上下左右再現なく、翻弄される。

そんな激しい水流に骨魚達は上手く流れに乗り、僕の体を切り裂いていく。

鋭い痛み。

僕の肌を骨魚によって裂かれたようだ。

水に僕の血が僅かに混じる。

僅かに開いた片目で水流の原因を探し、発見する。

(なるほど……ルカンは水流を操作して、僕の動きを制限。その上で骨魚に攻撃を加えさせて出血、ダメージの蓄積で削り倒そうとしているのか)

視界の端でルカンがにやりと笑っているのを捉えた。

彼の表情から『貴方の弱点は、体重の軽さですよ。いくらアークを墜落させられるほどレベルが高くても、水中で足が着いていない状態では踏ん張りが効かない。攻撃や防御力は魔術、レベルを上げるなどでどうにかできますが、体重だけはどうすることもできない。だから、このまま水中で翻弄し続けて削り倒させてもらいますよ!』と言いたげだった。

実際、彼の狙いは理解できる。

僕自身、復讐を忘れないよう年齢を止めているため、体は子供のままだ。

結果、どうしても体重が軽くなるのは避けられない。

体重は攻撃、防御力、どちらも左右する重要な要素だ。

地上で、地に足がついているなら話は別だが、水中で踏ん張りが利かなければ水流で簡単に体が流れてしまうのは必然である。

まさに水中はルカンの土俵だ。

(だからと言って、対処方法がゼロというわけじゃない! 『無限ガチャ』の対応能力は無限大だ!)

僕は『UR カードホルダー』から新しいカードを取り出し、解放する!

(『SSR 水中適応マーメイド』、解放!)

「!?」

カードを解放すると、僕の足は人魚のように一本の足ヒレとなった。

どう動かせばいいのか、体が教えてくれる。

僕はレベル9999のパワーに任せて足ヒレを大きく動かす!

水中爆発が起きたかのように水流から抜け出し、一直線にルカンへと向かう。

これは彼も予想外だったらしく、先程まで浮かべていた余裕の笑みを驚愕に塗り替えた。

骨魚が間に入り込むが気にせず、ぶち当たり骨ごと砕き進む。

僕はそのまま手にした杖を槍のように突き出す!

ルカンが咄嗟に骨剣で受け止めるが、レベル9999の足ヒレから生み出される推進力には抗えず、骨剣を砕き、馬車にぶつかった小動物のように吹き飛んでしまう。

そのまま広場壁に激突し、瓦礫にがらがらと埋もれてしまった。

(……まずい。初めて足ヒレ状態で移動して攻撃したから、力の加減が思った以上にできなかった。もしかしたら殺しちゃったか?)

『SSR 水中適応マーメイド』。水中を適切に移動出来るようになるため足がヒレになる。

他にも『SSR 獣の鼻』、『SSR 獣の耳』、『SSR 獣の尻尾』など、体の一部が動物のものになり、その能力を行使できるカードもある。

『SSR 水中適応マーメイド』もそういう系統のカードの一枚だ。

さすがに使うのは初めてで、ここまで推進力が出るとは想定しておらず、ルカンに対する攻撃が強くなりすぎた。

彼の頭から情報を引き出すはずが、殺してしまったかもしれないと僕は冷や汗を流す。

暫くすると、崩れた瓦礫の中からルカンは頭から血を流しながらも姿を現した。

(ほっ……殺しはしていなかった、よかった)

僕は思わず、立ち上がったルカンの姿を見て安堵の溜息を漏らした。

逆に彼は予想外の反撃を喰らって、先程まで余裕の態度から一転、渋い顔をしている。

だが手を緩めるつもりはない。

(さて、さっさと意識を奪い、身柄を確保するか)

僕はルカンを取り押さえるため、改めて杖を構えるのだった。