軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

11話 ライトvsルカン2

「――『SSSR 氷の世界(アイスワールド) 』、解」

「 戦闘魚(せんとうぎょ) 『 刺突魚(ダーツ) 』、召喚!」

ごつごつした広場出入り口が、竜人帝国側『ますたー』であるルカンの合図によって閉鎖。

代わりに大量の海水が流れ込んでくる。

僕は入り口が閉じて、海水が流れ込んでくることに驚いてしまう。

『SSSR 氷の世界(アイスワールド) 』で注入される海水を氷漬けにして停止させてようと『無限ガチャ』カードを取り出し解放しようとしたが、驚きでワンテンポ遅れたせいでルカンに先制攻撃を許してしまったのだ。

彼の周囲に魔方陣が浮かび、先端が尖った魚が無数、空中にもかかわらず水中のように泳ぎ襲いかかってくる。

僕は『無限ガチャ』カード解放を中断。

突撃してくる『 刺突魚(ダーツ) 』と呼ばれる戦闘魚を杖で弾き、その場から素早く動き、回避する。

さらに天井から、大量の海水が落下してきたので、僕は回避するため後方へと下がった。結果、僕とルカンの間に天井から流れ込んでくる海水が割り込む。

「 戦闘魚(せんとうぎょ) 『 破砕魚(クラッシュ) 』、『 爆弾魚(ボムキン) 』召喚!」

刺突狙いの魚以外に、全てを噛み砕きそうな鋭い歯が並ぶウミヘビ、目が異常に大きな魚型モンスターを次々召喚し、僕に『無限ガチャ』カードを使用させる間を与えず突撃させてきた。

ウミヘビのような 戦闘魚(せんとうぎょ) は、見た目通り噛みついてこようとする。

これは攻撃方法が単純なため対処しやすい。

杖で殴り、蹴り飛ばし、噛みつこうとする顔を潰して無力化する。

問題は目玉が飛び出た魚だ。

目玉が飛び出た魚は、他より動きは遅いが――一定距離に近づくと爆発してくる。

「ッゥ!」

爆発するが正直、たいしたダメージはない。

ただ爆発の衝撃で体が浮き、流され、体勢を崩されるのが厄介だった。

そのたびこちらの行動がリセットされるからだ。

(地面に足がつき踏ん張れるならともかく、ここまで海水が注水された状態、足が浮いている状態だと難しいな)

既に足が届かないほど海水が注水され、踏ん張りが利かない、

杖を投げ遠距離で仕留めても、数が多いため、漏れが出てしまう。

(ルカンの 恩恵(ギフト) は『水中特化師』。どんな恩恵か分からないけど、陸上より水中が有利なのは確かだろう。だから、僕の行動を阻害してでも海水でこの広場を満たそうとしているんだろうな)

また彼と戦って見て疑問が湧き出る。

(彼の 恩恵(ギフト) 、『水中特化師』がどのような能力かまだ未知数だけど、 戦闘魚(せんとうぎょ) と呼ばれるモンスター召喚能力はおかしくないか? 召喚できたとしても、空中でも問題無く移動できるように力を付与しているのも恩恵の力から逸脱している気がする)

僕は今まで『ますたー』達を多く見てきた。

その際、多くの恩恵も目にしてきた。

基本、恩恵はその名前にちなんだ力を持つ。

たとえばミキの『召喚術師』。

彼女曰く、『蜂に召喚を絞った召喚術師』だとか。

蜂に召喚を絞ることで、より強い蜂モンスター、特殊タイプの蜂を召喚できる。

(だが、蜂に召喚を絞ったミキでも『蜂に水中を移動する力を付与する』なんてマネはできない。にもかかわらず、ルカンは魚モンスターに空中を移動する力を与えている)

ルカンの 恩恵(ギフト) は『水中特化師』には、『魚でも空中を移動し、呼吸できる力を付与できる能力だ』と言われたら、それまでなのだが……。

もちろん『無限ガチャ』のように『複数のカードを生みだし、多種多様な効果を発揮する』恩恵もある。

複数のカードを利用して、『魚に陸上で呼吸させ、移動できる力を与える』こともできるかもしれない。

しかし、これは恩恵の副次効果だ。

ルカンはそういうものではない。

故に今まで見てきた恩恵以上に、自由度が高すぎる気がするのだ。

(『しー』様という発言……彼はドワーフ王国の過去文明遺跡にいる蛇擬きを知っていた、自由度が高すぎる恩恵……彼は本当に『しー』のただの部下なのか? 僕が想像している以上に、彼は多くのことを知っているんじゃないか?)

戦闘をしつつ、一部、思考を割き考察してしまう。

それだけルカンの異常さが際立っているからだ。

とはいえ、海水が注水され大分時間が経過。

隙間が無くなるのは時間の問題だ。

僕は海水を凍らせるのを諦めて、

「すぅーーー!」

大きく息を吸い込み海水に潜り込む。

魚モンスター達は文字通り『水を得た魚』のように空中以上に素早い動きで襲いかかってくる。

だが、水中で恩恵があるのは魚達だけではない。

僕にだってある。

(せーの!)

僕は勢いよく両腕で杖を握り振り抜いた。

空中と違って、抵抗が高い水中のため、両腕を振り抜くだけで、強い水流が発生。

魚モンスター達はその強い水流に逆らえず、押し流されてしまう。

僕はその間に新しい『無限ガチャ』カードを切る。

(『SSR 水中呼吸』、 解放(リリース) !)

『SSR 水中呼吸』は文字通り、水中で呼吸ができるようになるカードだ。効果は24時間。

これで呼吸を気にせず戦うことができる。

さすがに自分も水中にいるのに、海水を氷漬けにするカードを解放することはできない。

ルカンの方も、僕がカードを解放している間に、より攻撃能力が高い魚モンスターを召喚したようだ。

全身に剣が生えているサメ。

鎧のような頑丈な鱗を持つ盾役の魚。

明らかに毒を持っているだろう毒々しいクラゲ。

戦闘準備万端だと告げるようにルカンが『にやり』と笑う。

まるでこの勝負が決まったと言いたげな態度だ。

その態度が逆に僕の笑いを誘う。

(自分の得意な領域に引きずり込んだからといって、もう勝った気でいるなんて。僕から言わせれば、『水中で負けたらもう勝利する手段はない』と自ら白状しているようなものだ)

水中だろうが、空中だろうが、炎の中だろうが、『無限ガチャ』カードがある限り、どのような状況にも対応できる自信がある。

『無限ガチャ』――その名前の通り、無限に対応できる力を持っているのだから。

(僕をこの程度で無力化できる……そんな甘い考えをまずはその体、痛みで支払ってもらおうか!)

僕は胸中でルカンを倒す算段を立てつつ、『UR カードホルダー』から必要なカードを取り出すのだった。