軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

19話 ゴールドvs 1

ライト達と別れたゴールドは、『巨塔』地下訓練場の一つへと向かう。

階段を降りて、閉じている扉の前に立ち、エリーへと念話で連絡。

閉じた扉が開くとすぐに内側へと入る。

背後で扉が閉まる音がしたが、振り返らず、ほぼ中央に立つ敵から視線を外さない。

その敵の顔には傷があり、身体の下にも歴戦の古傷があることがうかがえる騎士だった。

手には剣、盾を装備している。

既に剣は抜かれて、剣呑な視線をゴールドへと向けていた。

奇しくも同じ剣と盾で戦う騎士タイプ同士だ。

故にゴールドは高らかに名乗りを上げる。

「我が名は黄金の騎士ゴールド! 故あって魔女殿に助太刀致す!」

「……名乗りを上げられれば致し方なし。竜人帝国ドラゴン騎士団長ルドラ」

「竜人帝国騎士団長が暗殺者の真似事とは……」

「魔女を殺さねば我を含めて大勢の竜人種達が命を落とすことになる。それらを救うためなら、騎士団長として暗殺者の真似事ぐらいいくらでもしてみせよう。故に邪魔をするなら命を落とすことになるが?」

「是非もなし! 我輩は、黄金の忠誠心を捧げるお方の指示でここに立っている。命を懸けることに臆することなどありえぬ! 何より、貴殿の刃が我輩の命を絶つとは思えぬしな!」

「……若造が吠える」

ゴールドの台詞にルドラが目を細めた。

ゴールドは改めて剣を抜き、盾を構える。

「これ以上の舌戦は無粋! 以後、剣で応えようぞ!」

「然り。いざ、参らん!」

示し合わせたかのように二人とも正面から突撃。

剣を振り下ろし、交差させる。

さらに二度三度と剣、盾で互いの実力を確かめ合うように立ち回った。

(ふむ、こんなものか……)

ゴールドは剣と盾で攻撃を受け、相手の力量をおおよそ把握した。

レベル3000前後の騎士。

それが竜人帝国ドラゴン騎士団長ルドラの実力だとゴールドは判断を下した。

この程度の相手ならゴールドに負けは無い。

唯一気になる点は……。

(盾とは違い剣が無駄に豪華だが……。どう見てもマジックウェポンの類いだろうな)

ルドラが手にする剣は、宝石のような魔石が剣の根元、柄両端に存在していた。剣身にも魔術文字が複雑に刻まれている。

武器というより儀式用の祭具のようだった。

(どのような力があるかは分からぬが、その力を使う前に身柄を確保すればよいだけだな!)

そうと決まれば、さっさとルドラを殺さずに捕らえるため意識を奪いにかかった。

相手の一撃を剣で強めに弾き、蹈鞴を踏ませる。

これですぐさま回避は不可能だ。

その隙を逃さず、ゴールドはシールドバッシュ!

盾でぶん殴り相手の意識を奪おうとする――が、

「!? 馬鹿な消え――ッ!」

シールドバッシュを叩き込もうとしたルドラが目の前から忽然と消失。

驚愕していると背後から殺気が溢れ出たのを感じて、身体をすぐさま前に投げ出す。

0.01数秒後、ゴールドの首を刎ねるためルドラの横凪の一閃が空を切った。

「まさかこれを回避するとは……驚愕すべき凄腕だな」

「我輩も驚きを禁じえんぞ。まさかあの体勢からシールドバッシュを回避されるとはな!」

身体を前に投げ出したゴールドは、転がる勢いそのままに距離を取り、後方へと向き直った。

(蹈鞴を踏んだ状態から、シールドバッシュを回避し、ああも素早く我輩の背後に回ることなど不可能。恐らくあの剣、マジックウェポンの力だな。そしてその力は……)

「……本当に凄腕だな。既にこちらの手の内を把握しているとみえる」

「うむ! 察しの通りおおよその見当は付いているぞ。むしろお主のその剣、マジックウェポンの力が分かりやすすぎるというのもあるがな」

ゴールドは韜晦せず素直に答える。

「お主のマジックウェポンの力は『転移』だな?」

「然り。貴殿の言葉通り、このマジックウェポンの力は分かりやす過ぎる。故に先程の一撃で仕留められなかったこちらの落ち度だな」

ルドラが持つ剣は 幻想級(ファンタズマ・クラス) 『転移の剣』と言うそのままの名前をした剣だ。

この力で『巨塔』外部に出ようとしたが、エリーの魔術によって妨害を受けて出られずにいた。

幸い、とある力のお陰で『巨塔』地下訓練場内部での転移は問題ない。

「とはいえこの 幻想級(ファンタズマ・クラス) 『転移の剣』の利点は、たとえタネが割れたとしてもさほどデメリットがないことだ」

「確かに! 攻撃よし、回避につかってもよし! 相手に転移を警戒させて、フェイントにもなる。なかなか汎用性が高いマジックウエポンだな! それ故に習熟に時間を必要としそうだが……」

「新兵ならともかく、竜人帝国ドラゴン騎士団長の我にかかれば歴戦の経験によって短期間で十全に使いこなすことも可能だ。まさに我に相応しい剣ともいれるな」

「本当にそうか? 我輩的にはまだまだ使いこなせてはいないと思うのだが……」

「戯れ言で冷静さを奪う策か? 浅いぞ」

「いや、そんな策ではなく、あくまで我輩が感じた感想を告げているだけなのだが……」

ゴールドの『使いこなせていない』という指摘を、ルドラは『自分から冷静な判断力を奪おうとする挑発行為』と決めつけた。

しかしゴールドは素直に否定。

彼としてはまだまだルドラは 幻想級(ファンタズマ・クラス) 『転移の剣』を習熟し切っていないと感じ取ったのだ。

とはいえ敵の言葉。

ルドラは取り合わず、上から目線で逆に告げる。

「策は浅いが腕は立つ上、頭も回るようだ。どうだゴールド殿、『巨塔の魔女』に見切りをつけて我達側につかないか?」

ルドラはゴールドの実力を見込んで裏切りを迫ってきたのだった。

これに対してゴールドの返答は――。