軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

24話 勇者達の出立

シックス公国『女神教』総本山中庭に、勇者達が集まる。

「まったく! 未だに邪教の聖女と神官とはいえ、たかだか少女2人を見つけられないとは! これだから女神様に選ばれない下等民は役に立たない無能なのです!」

ひょろりと背が高い元聖職者の『聖槍の勇者』コロルが、シックス公国魔術学園を襲撃して以降、取り逃がしたミヤ、クオーネの所在が掴めないことに激怒していた。

女神教が2人の行方を探るため懸賞金までかけているにもかかわらず、目撃情報どころかその影すら掴めずにいた。

「聖槍の言うとおりだ、まさかここまで他の奴らが無能だとはね……」

「ぼくは最初から期待してなんかいなかったけどね。結局、女神様の願いに答えられるのはぼく達『勇者』しかいないってことだよ」

元冒険者の『聖鎧の勇者』モザがぷかぷかと空中に浮きながらコロルの発言に同意し、元村人の『聖剣の勇者』ニックは『自分は最初から予想していた』と上から目線で語り出す。

以前、彼らは『「奈落」攻略のため、ダンジョン探査の専門家冒険者達を探し、見つかるまでの暇潰しにミヤ達を自分達で探し出そう』とパーティーを企画するかのように話し合っていた。

とはいえ、いくらなんでも『女神教』の力で懸賞金をかけて手を回せば逃げた少女×2人ぐらいすぐに見つかるだろうと高をくくっていた。

しかし、結果は――未だにミヤ達の目撃情報一つ手に入れることが出来ていなかった。

さすがにこれ以上時間をかける訳にはいかず、以前の話し合い通り勇者達自身が動くことになる。

彼らは早速、各自で決めた持ち場に向かうため、女神教神殿の中庭に集まったのだ。

「結局、頼りになるのはぼく達自身だけってことさ」

『やれやれ』と『聖剣の勇者』ニックが肩をすくめる。

彼の反応に他勇者達も同意見のような態度を取りつつ、『聖印の勇者』アンレンが音頭をとる。

「我々女神様に選ばれた勇者以外、使えないのはしかたない。今まで使った時間はあきらめて損切りするしかないだろう。ではあらためて 此方(こちら) 達で、邪教の聖女、神官が居るだろう場所へそれぞれ目指し、本人が居たら始末。もし街、村などでかばい立てするようなら……それごと潰してしまおう。女神様に逆らう存在などこの地上に存在する価値などないからね」

アンレンの言葉に他勇者達が深く頷き同意した。

自分達こそ女神に選ばれた地上の代行者、選別者だと言葉にしなくても全身から溢れ出ている。

アンレンが話を続ける。

「それでは聖鎧、 此方(こちら) と聖槍に風の付与を頼むよ」

「了解、任せて」

『聖鎧の勇者』モザがアンレン、コロルに手を向けると、風の付与がされた。

『聖鎧の勇者』の物語で――強大モンスターがウヨウヨ泳ぐ海へと勇者一行が到着。海の先にいる魔王を目指し、聖鎧の勇者は鎧に宿った風の力で勇者、聖女と一緒に海を渡った――という伝説を持つ。

その伝説通り、自身だけではなく他者に空を飛ぶための付与をする力を持つ。

これでモザのように風の力を借りて空を飛ぶことが出来るようになった。

「…………」

一方で、『聖剣の勇者』ニックは言葉にしないが、モザの力を借りないと空を飛ぶことすらできない彼らを内心で見下す。

(やはり『聖剣の勇者』であるぼくこそが、勇者の中の勇者、主役なんだな)

彼が持つ『聖剣ゼット』には7つの能力が備わっている。

聖鎧の力を借りずとも、能力の一つを使えば自由に空を飛ぶことが出来るのだ。

それ故、他者の力を借りないと空も飛べない他勇者達を内心で見下してしまっているのだ。

そうとは気付かず、『聖印の勇者』アンレンが仕切る。

「では、 此方(こちら) は、人種王国に向かいますね」

「ぼくが邪教聖女の村だね」

「自身は邪教神官の実家へ向かいます」

「ぼくは『巨塔街』担当だね。任せてよ」

元商人の『聖印の勇者』アンレンが、人種王国を担当。

元冒険者の『聖鎧の勇者』モザが、ミヤ実家がある村を。

元聖職者の『聖槍の勇者』コロルが、クオーネ実家がある街を。

元村人の『聖剣の勇者』ニックが、『巨塔街』を担当すると宣言した。

アンレンが話をまとめる。

「では、それぞれの持ち場に行こうか。邪教の聖女、神官が担当場所にいなければ一度女神教本部に戻るように。もし 此方(こちら) 達が向かう村、街に邪教の聖女、神官がいなければ、恐らく『巨塔の魔女』と一緒にネズミのように『奈落』ダンジョン最下層にいるだろうからね。皆が戻る頃にはいい加減、『奈落』ダンジョンを攻略する冒険者も決定しているだろう。そして勇者達の力で巣穴に篭もったネズミ達をぶち殺そうじゃないか」

アンレンの掛け声に、他勇者達も賛同の声をあげた。

一通り『巨塔の魔女』とミヤとクオーネを馬鹿にした後、彼らはそれぞれ空を飛び、各自目的地へと向かったのだった。

――そんな彼らを監視する存在に最後まで気付かずにだ。

☆ ☆ ☆

『奈落』最下層執務室。

僕は勇者達が、情報通り、ミヤ達を探すため村、街、人種王国、『巨塔街』を目指し旅立ったことを知った。

事前に決めていた通り、僕達も行動を開始を宣言する。

「それじゃ早速、勇者狩りといこうか」

「畏まりました、ライト様」

僕の言葉に、執務室へ情報を伝えに来たメイが一礼し、返事をした。

こうして、僕達も対勇者行動へと移るのだった。