軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

18話 偶然の再会

「うん?」

獣人連合国首都、河川の港から下りて、ミヤ、クオーネはひとまず宿屋をとり、情報収集をするために冒険者ギルドに向かおうと話し合っていると……2人に注目する存在がいた。

具体的には男装をしているミヤにだ。

その人物はクマ種獣人で、彼の周りにも同種の若者達が同行している。

ミヤに注目しているクマ種は、何度か鼻を動かし、匂いを確認後、改めて首を捻り声をかける。

「……もしかして、ミヤちゃん? どうして 獣人連合国首都(ここ) に? しかも、何でそんな恰好を?」

「「ッ!?」」

ミヤとクオーネがこの呼び止める声に内心驚愕した。

まさか変装している自分達を即座に見抜き、声をかけてくる人物が獣人連合国首都にいるなど想定していなかったからだ。

『まさか女神教の手がこんなに早く伸びたのか』と2人は思い、呼び声に気付かないふりをして、そそくさと足取りを速める。

しかし、クマ種獣人は、確信した声で再度、大きな声で呼び止める。

「え、無視!? いや、確かに俺達、面識は無いけども! ちょ、ちょっと待ってくれ、ミヤちゃん!」

クマ種獣人が連れの若者達を置いて、ミヤ達の後をバタバタと追いかけてくる。

さすがにこれ以上、無視しても周囲から余計な注目を浴びるだけだ。

ミヤとクオーネは足を止めて振り返った。

ミヤではなく、クオーネが前に出て相手をする。

相手は背丈も高い筋肉質の獣人種で、クオーネのトラウマを刺激するが、ミヤに相手をさせるわけはいかない。

彼女はトラウマを心の底に押し込め、繋ぐミヤの手をギュッと握り締め追いかけてきたクマ種獣人と向き合う。

「……もしかしてワタクシ達の事を呼び止めているのかしら? でしたら、人違いですわよ。ワタクシは クオーネ(ネネ) 、こっちらは弟の ミヤ(ヤミ) という名ですから。別の方と勘違いしてらっしゃいますわよ」

「やみ? 人違いっていいますが、匂いは一緒だから、恰好を変えているだけですよね?」

「「!?」」

『女神教』の目から逃れるため外見を誤魔化すため、髪を切り、男装し、化粧も変えたが、匂いまではごまかせない。

『まさか匂いで正体がばれるなんて……ッ』と2人は歯噛みしてしまう。

さすがに目の前で、自身の指摘に動揺する2人を前に、クマ種獣人種も『何か事情がある』と気付く。

彼は自分が敵ではないと、慌てて弁解し出す。

「お、落ち着いてください! 俺、マジで怪しい奴じゃないんで! ドワーフのダンジョン街で兄貴と坊ちゃん、姐さんに世話になった獣人種で! ミヤちゃん達パーティーのことはゴールドの兄貴から色々酒の話で聞いていたから知っていて! 匂いも、数年居て活動していたから偶然知っていただけで! マジ、怪しい奴じゃないっていうか! 世話になったゴールドの兄貴の知り合いが居たから、少しは何かしてやりたいと思っただけで!」

「!?」

彼の発言でようやくミヤが、その正体に気付く。

このクマ種獣人は、ミヤが以前冒険者として活動していたドワーフのダンジョン街にいた者だ。

面識は無いが、彼女もドワーフのダンジョン街で冒険者として活動していた際、ゴールドを慕って一緒に酒を飲む彼の姿を何度も目にしていた。

まさか獣人連合国首都で出会うとは想像もしていなかったのだ。

ミヤは思わず、声をあげてしまう。

「ドワーフのダンジョン街!? もしかして、ゴールドさんと仲が良かった獣人種の方ですか!?」

「はい、そうです! マジ兄貴や坊ちゃん、姐さんにはお世話になりまして」

背丈の高いクマ種獣人種が、彼より圧倒的に背の低いミヤにペコペコと腰が低く頭を下げる。

その姿を追いついたクマ種獣人種若者達、周囲の獣人種が奇異の目で眺めていた。

目立ち始めたため、クマ種獣人種が気を利かせる。

「何かお二人とも事情がある見たいですし、ここだと目がありますから。俺の信頼できる行きつけの店があるのでそっちに場所を移しませんか?」

「それは……」

「大丈夫、 クオーネ(ネネ) お姉ちゃん、この獣人種は大丈夫だよ。だってダークさん、ゴールドさん、ネムムさんのお知り合いだもの」

クオーネは初対面の獣人種の提案に最初難色を示したが、手を握るミヤが『大丈夫』と断言。

初対面のクマ種獣人種は信用できないが、ミヤは別だ。彼女が大丈夫だと断言するなら問題ない。

彼の提案に2人が同意し、クマ種獣人種が信用できる行きつけの店へと案内する。

周囲から目を避けるため、連れのクマ種獣人種若者達に指示を出し、ミヤとクオーネを隠すように囲み移動した。

☆ ☆ ☆

クマ種獣人種の行きつけの店は、クマ種やウシ種などが多く利用している飯屋だった。

高級店に属するため、個室もあり、連れの若者達は別室で食事をさせ、ミヤ達は3人で個室を借りて、話をする。

料理の基本単位がどんぶりの大食い高級店のため、お茶はともかく、甘味のクッキーは皿に山盛りで出された。

『ここの支払いは俺が出すので、遠慮無く食べてください』とクマ種獣人が進める。

2人は節約のため旅移動中、甘味を口にしていなかった。

なので久しぶりの甘味に、舌鼓を打ちつつ、現在の状況を説明する。

2人の説明にクマ種獣人種は、

「えぇぇ……『巨塔の魔女』様に真っ正面から喧嘩を売るとか……」

『女神教』と勇者達にドン引きした。

「一応、 獣人連合国(こっち) でも、『女神教』の宣言は耳にしていましたが……。マジで『女神教』が『巨塔の魔女』様に喧嘩を売るなんてこっちじゃ誰も信じていませんでしたよ。あの方のおこなってきたことをちょっと調べれば、手を出そうなんて普通考えませんから。せいぜい、寄付金を集るための口実程度だろうって。なのに宣言のためミヤちゃん達を正面から襲うとか……。ガチで喧嘩を売るつもりかよ」

「わたしも最初、驚きました。正直、『女神教』の宣言云々も何かの冗談かと思っていましたから」

「ワタクシも北のスラム近くにある『女神教総本山』には近付かず、街の外に出る時も身辺に気を付ければ問題ないと思っていましたから。まさかあんな乱暴に直接乗り込んでくるなんて……」

ミヤ、クオーネも久しぶりの甘味を口に出来て最初こそ口元がほころんでいたが、『女神教』の話題で肩を落とす。

シックス公国魔術学園で勉学に勤しんでいたのに、ここまで派手に妨害されるとは想像も出来なかったのだから当然といえば当然だ。

一通り事情を聞いたクマ種獣人が、暫し黙り込むと2人に提案をする。

「ミヤちゃん、クオーネちゃん、この一件、俺――というか獣人連合国に預けてくれませんか?」