軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

15話 勇者達の行動

ドマスの予想外の行動――転移アイテムでミヤ、クオーネを勇者達から逃がすため使用した。

お陰で彼女達の行方をライト達ですら見失ってしまう。

ミヤ、クオーネは勇者、『女神教』信者達の目を誤魔化すため既に変装しているのか『SSR 千里眼』でも行方を追うことが出来なかった。

現在はシックス公国を中心に小鳥を飛ばして、それらしい姿を捜索。

地上で活動する『奈落』関係者にも連絡を入れて、ミヤ&クオーネの捜索し、情報網を広げ、近隣、2人が立ち寄りそうな街などを中心に、行方を追っていた。

それでも今の所、ミヤとクオーネの目撃情報や痕跡はゼロだが……。

だが、悪いことばかりではない。

情報収集を活発におこなっていたお陰で同じように女神教が、2人の行方を捜索していることを知る。

しかもただ捜索しているだけではなかった。

☆ ☆ ☆

『奈落』最下層、執務室。

僕は不機嫌そうに席へと座っていた。

目の前には情報の報告に来たメイが立っている。

僕は彼女から提出された書類に一通り目を通し、机に投げ出す。

「メイ、この報告は本当か――いや、女神教は正気なのかい?」

「アオユキに協力して頂き、相手に気付かれないよう女神教内部調査もおこなって裏を取りました。なので間違いないかと」

メイは僕の不機嫌な態度に一切怯えた態度を取らず、淡々と彼女が知る情報を口にする。

軽く深呼吸し気持ちを落ち着けた後、僕は頭が痛そうに軽く手でこめかみを押さえる。

「勇者達が『奈落』最下層を攻略するため、ダンジョン経験豊富な冒険者達を捜しているのは理解できる。むしろ、『勇者の力だけでダンジョンぐらい簡単に攻略できる』と自惚れなかったのを褒めたいぐらいだ」

ダンジョン探査は表面上をなぞるだけなら、そこそこ強い冒険者でも問題ないが、奥深くまで潜るとなると、それ相応のノウハウ、技術、専門知識が必要だ。

決してレベルが高いからと言って攻略できるものではない。

「ただ世界最大最強最悪ダンジョン『奈落』――最近は冒険者を近づけさせないため、僕の命令でより一層攻略が難しいという噂を流し、ガルー達を救助しに来た獣人種を見せしめに手ひどく殺害したのが効いて、ほぼ『奈落』に近付く冒険者はいなくなった。だから、『奈落』探査を受けるダンジョン専門冒険者が集まらないのも理解できる……」

『でも』と僕は言葉を続ける。

「人集めが芳しくないからと言って、その集まるまでの時間を利用して、ミヤちゃんとクオーネを殺害しようと勇者達が『巨塔街』、『人種王国』、『ミヤちゃんの実家』、『クオーネの実家』を襲撃する計画を立てているって……。勇者は少女達を追い回すほど暇なのか?」

「勇者のメンツ的にお二人を見逃すことが出来ないのでしょう」

「理由は分かるけど……分かるけどさ……物語に出てくる勇者って、もっと大きな目的のために動く人達のことじゃないの?」

僕も幼い頃、両親から『勇者と魔王』の物語を聞いたことがある。

その物語に出てくる勇者は、聖女と一緒に皆の幸せのため命を懸けて巨悪である魔王と戦っていた。

しかし、現在の勇者達は『邪教の聖女と神官を抹殺する』と口にし、剣を抜いたにもかかわらず、逃げられた挙げ句その行方を見失った。

そこで彼らは、『剣を抜いた以上ミヤちゃん達を殺害しないと勇者と女神教のメンツが潰れる』と言っているらしい。

「勇者の看板をかかげてやることが、力の劣る少女達を追い回すことなんて……情けないにもほどがあるだろう」

あまりの情けなさに僕は溜息と一緒に、愚痴を漏らす。

本当に『勇者』を口にする者達にはカイト然り、ろくな奴がいない。

頭が痛そうにこめかみを抑え、再度溜息をつきつつ、彼らの行動を前向きにとらえる。

「逆に考えよう……関係のない第三者を巻き込もうとする勇者達の暴走を止めるため『巨塔の魔女』の仲間達を派遣できる大義名分を得たと」

当然ながら、ミヤ、クオーネの行方を捜すにあたり、2人が行きそうな場所、『人種王国』、『ミヤちゃんの実家』、『クオーネの実家』については調査済みだ。

2人が『巨塔の魔女』を頼るのは確実のため、『巨塔街』に直接向かうか、『人種王国』、『ミヤちゃんの実家』、『クオーネの実家』の三つに身を潜めて第三者を経由して助けを求める可能性を当然、僕達も考えた。

しかし、調査しても2人の姿は確認できていない。

この結果から『どこかの場所に身を隠して、第三者経由で助けを求める』という手段を2人はとっていないようだ。

恐らくミヤ、クオーネは直接『巨塔街』を目指しているのだろう。

2人の痕跡は未だに発見できていないが……。

僕は嗜虐的な笑みを浮かべつつ、メイに告げる。

「情報が正しければ『巨塔街』を含めた4つに、それぞれ勇者が派遣されるだろう。この機会に勇者達を撃退し、確実に彼らの身柄を押さえて、『奈落』最下層へと連行。頭の中にある情報を全て引き出させてもらおうじゃないか」

「畏まりました。どの場所に誰を向かわせるか、早急に草案を提出させて頂きます」

「よろしくね、メイ。その草案を下敷きに、誰がどの街や村を守るか話し合って決めよう。確実に勇者を捕らえるのは当然として、なるべく周囲に被害が出ないように配慮しないといけないからね」

メイは完璧な従者としての礼をする。

僕は彼女の態度に頼もしさを覚えたのだった。