軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

プロローグ

「――妾の求めているものとは違う。なぜ異なってしまったのだ?」

バグが『F■■■e・N・■■■l■』に入り込んだせいで、妾の世界が捻れてしまっている。

「バグは修正せねば」

修正しなければ。修正しなければ。修正しなければ! 修正! 修正! 修正! 修正! 修せい! 修せい! 修せい! 修せい! 修せい! しゅうせい! しゅうせい! しゅうせい! しゅうせい! しゅうせい! シュウセイ! シュウセイ! シュウセイ! シュウセイ! シュウセイ! シュウセイ!!!!!!

「……今すぐ修正したいが妾の目覚めはまだ数年の時間がかかる」

ここで妾が目覚めては完全に全てが破綻してしまう。

現状ではまだ限定的な行動しかおこなえない。

「だが、過去、今回のような問題がなかったわけではない」

故に力を与えよう。

そしてバグを修正しなければ――。

☆ ☆ ☆

『人種王国女王就任式典』を無事に終え、『奈落』最下層執務室で、メイ、エリーを前に僕は断言する。

「今回、『人種王国女王就任式典』を妨害しようと画策した人種王国の貴族達から吐かせたのと、僕達の得ている情報を照らし合わせて竜人帝国に根を張る『ますたー』がかかわっているのは確実だろう」

でなければ、あのナズナから逃走に成功する筈がない。

「奴らがリリスの兄であるクローを担ぎ出したあげくに爆弾で殺害したから……ではないが、竜人帝国『ますたー』達には必ず落とし前をつけさせる」

実兄の死に涙するリリスの姿を見て少しばかり思うところもあったのもあるが、当然それだけではない。

人種奴隷、孤児達を爆弾化し、彼らの命を虫けらのように消費しようとした敵の姿に腹が立っているのだ。

僕は執務室の椅子に座りながら、眼光を鋭くする。

「竜人帝国『ますたー』達もだが、同時に最後の1人……ドラゴに対する復讐の準備もおこなうつもりだ」

ドラゴは『種族の集い』パーティーのリーダーを務めていた。

竜人帝国はこの世界で最も強大な国家である。

当然、竜人種も六種の中で最も能力が高い。

故に慎重を喫して、ドラゴへの復讐は一番最後におこなうと事前に決めていた。

とはいえまだどのようにドラゴに対して復讐するかは考えていない。

さて、どうやって復讐を果たそうか……。

出来ればこのまますぐにメイ達と一緒に復讐計画、竜人帝国側『ますたー』達への落とし前などについて話をしたいが……。

その前に話し合わなければならないことがある。

僕は眉間の皺をとりながら、『巨塔街』の管理責任者であるエリーへ問う。

「爆弾化された人種奴隷、孤児達の受け入れはどうなってる?」

ナズナ、アイスヒートと戦った竜人帝国側『ますたー』の1人らしき、セスタという人物が人種奴隷を100人、さらに人種王国首都にいる孤児達を爆弾化した。

爆弾化は解除することは出来たが、次に出た問題は彼、彼女達の処遇である。

助けたにもかかわらず、再び人種王国首都に放置して、死亡されたら後味が悪い。

なので孤児と人種奴隷達を『巨塔街』に引き取る予定だ。

とはいえ、孤児と人種奴隷達合わせて数百人を今日明日に受け入れる事はなかなか難しい。

住む場所、仕事の斡旋、孤児院の建物拡張、教員などの確保――など、準備が多いのだ。

(数百人程度なら僕の『無限ガチャ』さえあれば、養うのは簡単だけど……)

単純に住居、衣服、食べ物を与え続け養うのは難しくないが、それではいつまで経っても自立できない。

彼らの今後も考えて、自分達で生活できる基盤を作るための支援をするべきだろう。

現在はリリスに無理を言って、人種王国首都の屋敷を複数確保し、待機してもらっている。

『巨塔街』の受け入れ準備が整い次第、『転移』カードで移動する予定だ。

僕の問いにエリーが笑顔で答える。

「ご安心くださいませ、ライト神様。受け入れ準備は順調に進み、近日中に整う予定ですわ。孤児院の拡張、人員確保、住居準備はほぼ完了済み。『巨塔街』外縁部の開拓も、妖精メイドとドラゴンに頼るのではなく、人種に任せることで雇用も確保済み。まだ実験段階ですが、力の無い女性、子供でも出来る仕事ももうすぐ作り出せそうですの」

「それは凄いね。外縁部の開拓は男手だけだろうから、女性、子供が出来る仕事が増えるのは本当にありがたいよ」

力がある男なら、外縁部開拓だけではなく、建築、荷物運びなどの仕事がある。

しかし、力の無い女、子供はそれらは無理だ。

女性の場合、酒場のウェイトレス、調理、屋台、売り子など仕事はあるが、今現在はそれらの職には限りがある。

すぐにそれらの職を増やし、全員を満たすのはなかなか難しい。

孤児院を卒業したばかりの子供――少女の場合、なおさらだ。

なので女性、子供が出来る仕事を増やすことは本当に重要なことなのだ。

僕の手放しの褒め言葉に、エリーはより笑顔を深める。

「ライト神様に喜んで頂き、恐悦至極に存じますわ。とはいえこの雇用を創造しているのはわたくしではなく、『巨塔』を作ったばかりの頃、モヒカンさん達が助け出した元人種奴隷少女ですの。彼女は商売に関して非常に優秀で、以前も温泉を使った新しい商売を提案し、女性や子供でも出来る雇用を作り出した実績がありますの。今回、何かアイデアがないかお伺いしたら、すぐに対応して頂き、本当にありがたいですわ」

「へぇー、エリーがそこまで手放しで褒めるなんて、凄い優秀な人材なんだね。『巨塔街』の雇用創造は重要事項だから、その 娘(こ) には今後も頑張って欲しいな」

「わたくしもライト神様と同じくそう思いますの。なので彼女、シリカさんには今後も目を掛けていく所存ですわ」

エリーの報告を聞いて僕は納得し頷く。

この分なら、人種奴隷、孤児達の受け入れは問題なさそうだな。

「それじゃ準備が整い次第、孤児達の受け入れをお願いするね。メイ、その際、必要になるカード類がある場合、制限無しで使えるよう手配してくれ。万が一『奈落』最下層に支障がでる事があったら、その時に相談するということで」

「畏まりました。恐らく問題はないかと思いますが」

僕も問題ないと思うが、何があるか分からないため一応、『奈落』最下層の管理責任者であるメイに一言伝えないわけにはいかない。

一通り話し合いを終えた後、僕は心底愉快気な表情を作り、話題をかえる。

「では次はどうやって最後の1人、ドラゴに復讐をするか、そして竜人帝国に居る『ますたー』達についてどうするか話し合おうか」

僕の言葉にメイ、エリーも笑顔で案を出していく。

僕達は時間を忘れて復讐方法等について様々な角度から話し合った。

――問題があるとすれば、僕達の目的とは別の場所で、事件が起きてしまったことだ。

女神教に勇者が4人誕生し、なぜかエリー……『巨塔の魔女』を魔王認定。勇者による討伐を宣言したのだった。