軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

25話 ゴールドの恋愛相談?

ロリメラ、スズがエリオと接触した夜――ゴールドは単身、彼が宿泊している宿へと顔を出す。

宿屋亭主が驚きの表情を作りつつ、声をかける。

「……騎士様、うちに何かご用でしょうか。もし道に迷われたのでしたら、大通りまでの道順をお伝え致しますが?」

一見するとボロボロの外観の宿に、黄金のフルプレート姿のゴールドが姿を現したのだ。

人種王国首都にこんな派手な騎士はいないため、『人種王国女王就任式典』で来賓中の貴族等の護衛が道に迷って自身の宿に顔を出したと勘違いしたようだ。

他の飲んでいた客達も、驚きの表情でゴールドを見ていた。

ゴールドは気さくな声で亭主へと用件を告げる。

「道に迷った訳ではないのだ。知り合いがこの宿にいると聞いて、顔を出したのだ。亭主、エリオという名の少年が宿泊しているな? 彼とは旧知の仲で、『ゴールドが来た』と伝えてはくれぬだろうか?」

「……分かりました。暫しお待ちください」

宿屋亭主は若干ためらいながらもエリオに声をかけるため、奥へと消えた。

数分後、彼が顔を出し、ゴールドが本当に自分を訪ねて来たことに驚きの声をあげる。

「ゴールドさん!」

「久しいなエリオ少年!」

ゴールドは軽く手を上げ、久しぶりの再会を喜ぶ。

二人は注文をしてから食堂の隅にある席へと腰掛ける。

ついでに『騒がせたわび』ということで、ゴールドが食堂に居る者達に『一杯奢る』と宣言。

やや気後れしていた者達もゴールドの気さくな態度と嬉しいサプライズに気を良くして、軽い調子でお礼を告げてくる。

ゴールドはまずそちらにいつもの調子で返事をしつつ、改めてエリオへと向き直った。

「いやいや久しぶりだな、エリオ少年」

「はい、お久しぶりです、ゴールドさん! でも、どうしてゴールドさんは俺がこの宿に泊まっているとご存じだったんですか? ダークさん達は一緒じゃないんですか?」

「主達とは一緒に来ているぞ。ただ現在我々は、ギルドから受けた仕事中でな――」

ゴールドが注文した酒、エリオはお茶を飲みつつ現在の状況を聞かせる。

彼曰く――現在、『黒の道化師』はギルドから受けた護衛仕事の真っ最中だった。

護衛対象はとあるやんごとなき少女で、『人種王国女王就任式典』を見て回りたいという希望から身分を隠し祭りを楽しんでいる最中だ。

その際、偶然エリオの姿を発見したが、仕事中にまさか声をかける訳にもいかず逡巡しているといつの間にか姿を消していた。

夜、時間が出来たため、ゴールドがエリオを発見した辺りで聞き込みをして、運良く宿泊している宿屋を知る。

なので顔を見るため足を運んだ、と説明をした。

実際は、ロリメラ&スズに念話で命じて顔を合わせないように遠ざけ、宿泊場所も彼女達を通して把握した訳だが。

素直に答える必要は無いため、ゴールドは口にしなかった。

「主もエリオ少年とこうして偶然再会できたことを喜んでいるが、なにぶん仕事中だからな……。もし街中で見かけても、失礼な話ではあるが声をかけるのは控えて欲しい。声をかけられても護衛中のため立ち話も出来ぬからな」

ゴールドが申し訳なさそうに断りを入れるが、エリオは嬉しそうに返答する。

「了解しました。その時は声をかけずにいますね。わざわざ足を運んでくださってありがとうございます。もし時間が出来たら、ダークさんには是非お会いしてお礼を言わせてください」

「ふむ、礼か?」

「はい、ミヤから聞きました。ダークさんがシックス公国魔術学園の方に推してくださったと。お陰でミヤが無事に合格し、通えるようになったんです!」

「確かに後押ししたのは主だが、実際合格したのはミヤ殿の実力だ」

以前、シックス公国魔術学園『地下魔術実験場』で攻撃魔術研究者であるドマス教員にライトが『学園に来ないか』と誘われた。

しかし、ライト自身、興味がないのと他にやることがあるため拒否。

代わりにミヤを紹介した。

その後、ドマスがミヤに手紙を送り、実際に試験を受けて合格したお陰で彼女は学園に通うことが出来ているのだ。

ゴールドの指摘通り、ライトの後押しがあったのは確かだが、実際に試験に合格したのはミヤの実力である。

エリオが笑顔を作り告げる。

「それでもお礼を言いたいんです。あっ、もし忙しくて時間がないのなら、ゴールドさんの口から『ありがとうございます』とお伝えください」

「時間が出来るかどうか少々分からぬから、我輩の口から伝えておこう」

女王リリスを狙った襲撃等もあるため、ライト自身、時間が取れるか不明だ。

まさかエリオにそのことを伝える訳にはいかず、ゴールドが言付けを預かった。

エリオが肩の荷が下りたような表情を浮かべると、情報収集へと移る。

「ゴールドさんはシックス公国を訪ねたことがあるんですよね?」

「もちろん、クエストで訪ねたことがあるぞ」

「なら、シックス公国でメラちゃん、スズさんという名前の美人姉妹が居る商店がどこにあるか知りませんか?」

「……どういうことだ?」

ゴールドは一瞬『メラとスズ殿が情報収集に失敗して、エリオ少年に疑いを持たれる言動をしてしまったのか』と疑ったが……。

返答は彼の予想を超えていた。

「実は……そのスズさんという美しい女性に恋をしてしまって……」

「ぶふっ!?」

あまりに予想外の返答にゴールドが吹き出す。

唾液が気管の変な場所に入ってしまい咳き込んでしまう。

『げほ、ごほ、こほ』と咳き込むせいで、レベル5000のゴールドが無防備になってしまった。

ある意味、低レベルのエリオが、レベル5000のゴールドの動きを完全に止めた快挙的シーンともいえる。

ゴールドは一通り咳き込み落ち着くと、尋ねる。

「こ、恋をした? 一体どういうことだ。予想外過ぎて咳き込んでしまったぞ……」

「す、すみません、突然過ぎましたよね。じ、実は……」

エリオは顔を赤くして順序立てて説明する。

昼間、お祭り中の街を見て回っていると少女二人に声をかけられた。

一人は幼い年下の少女メラ、一人はエリオと同年代か、少し年上の美少女スズ。

彼女達は街の喧騒に疲れたため、静かに過ごせる場所を尋ねられた。

そして、この宿屋一階食堂に案内をして会話を交わす。

その際、彼女達がシックス公国出身で、商店を営み、お祭りを見物するため来たことまでは聞いたが……。

初恋で緊張しすぎて、彼女達が居る店の場所まで聞くのを忘れたらしい。

あれだけ美しい少女なら、看板娘としてきっと話題に上がっているだろうから、シックス公国を訪れたゴールドが何か知らないかと訊いたのだ。

予想外過ぎる返答にゴールドは困惑しながら返答する。

「そ、そうか初恋か……。しかし済まぬ。聞き覚えがないな」

「そうですか……。なら機会を作って直接シックス公国に行って探さないと! もしくはこのお祭り中に彼女達を探して訊く方がいいかな?」

「いや、まぁ、どうなのだろうな……。人が多いから出歩いている特定の人物を探すのは難しいかもな……」

メラとスズは距離を取ってユメを護衛する者達のため、エリオが声をかけて邪魔をされるのはゴールド的に困る。なので当たり障りない返答をするしかない。

エリオもゴールドの指摘に納得して何度も頷く。

「なるほど一理ありますね。なら、どうすれば……」

「いっそのこと宿を探して、当たって砕けろの精神で、告白してみればどうだ?」

告白してさっさと振られたら面倒は無いためゴールドが奨めるが、さすがにエリオが恥ずかしがる。

「い、いきなり告白なんて出来ませんよ! もっとこう距離を縮めて、デートを重ねて、互いに気持ちを確認しあってから、ちゃんと場を整えた上で告白しないと!」

「お、おうそうか。確かにいささか早計だったな。すまぬ」

エリオの熱い台詞に押されて、ゴールドが思わず謝罪した。

「いえ、こちらこそ熱くなってしまい、すみません……」

さすがに熱くなりすぎたエリオが、謝罪を返す。

彼は憂いの表情を浮かべて、ゴールドに問う。

「ふぅ……人を好きになるって難しいですね。ゴールドさん、人はどうして恋をするのでしょうか? むしろ恋とはなんなんでしょうね?」

「……振り返らないことではないのか?」

エリオが突然、憂いの表情で詩的な疑問を尋ねてくる。

ゴールドは笑えばいいのか、慰めればいいのか、真剣に答えていいかも分からず、つい思いついた言葉を反射的に口にする。

その後、エリオはゴールドに対して深夜遅くなるまで恋愛相談をした。

結果、ゴールドは予想以上にエリオとの交流に時間を取られてしまうのだった。