軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

無限ガチャコミックス発売日連続更新番外編2 男達だけの飲み会

「では、我輩が僭越ながら音頭を取らせてもらおう」

『奈落』地下最下層にあるモヒカン達の大部屋で、中央に折りたたみ式のテーブルにツマミ、酒、グラス、料理が並んでいた。

ゴールドが席を立ち、派手な鎧姿のまま手にしたグラスを高々と上げる。

「日頃、地上での苦労を少しでも今夜は癒やして欲しい。乾杯!」

『ヒャッハァァァァァ! 乾杯!』

ゴールドの音頭に合わせてモヒカン達もジョッキをガチャガチャとぶつけ合う。

彼らは酒を飲むと料理、つまみに手を出したり、席に座り直したゴールドに声をかけたりと思い思いの行動を起こす。

今夜は男達だけの無礼講だ。

――ではなぜ、ゴールドがモヒカン達と飲んでいるのか?

普段、ゴールドもモヒカン達も地上で活動している。

今夜はたまたま『奈落』最下層に戻る用事がお互いにあった。

しかも、たまたま廊下で顔を合わせて、お互いの近況を語り合う。

その流れで今夜、久しぶりに『奈落』最下層に泊まるため、男同士で飲み会を開くことになったのだ。

購買で酒、つまみ、料理は料理長に対価を支払い隙間時間に作ってもらいゴールドのアイテムボックスへとしまって運んできた。

地上ではどれだけ金銀財宝を積んでも口に出来ない美酒、美食を飲み食いしつつ、外では話題を選ばなければならないが今夜は『奈落』最下層にあるモヒカン達の私室だ。

どれだけ口を滑らかにしても問題などない。

そのストレスからの解放をゴールド、モヒカン達は大いに楽しむ。

「地上の飯、酒、水の不味いこと、不味いこと。1度、地上で評判の料理屋に俺達お邪魔したんっすけど、味はそこそこなのにかなりの値段がして、支払った金額と釣り合っているかと問われたら微妙でしたわ」

「ゴールド様は地上でも結構楽しく飲み食いしていると聞きますが、よく楽しめますね」

「わははははは! 確かに飯、酒、それどころか飲む水もイマイチだが、たまに『奈落』でも食せない珍味を味わえるのが面白いのではないか。一種のギャンブルに近いかもしれぬな!」

それに、とゴールドが続ける。

「我輩的には料理だけではなく、その時に出会う者達との会話も楽しみの一つだからな! ネムム辺りは『地上の野蛮人共と会話して何が楽しいの?』と言いそうだがな」

「あー……ネムム様なら言いそうですね」

モヒカンリーダーが、料理を食しお酒で流し込みつつ同意した。

「でもネムム様がそう考える気持ちは分かりますよ。たまに地上で冒険者活動していると自分ら、人種なんでめっちゃ差別してくる奴とかいますから。ああいうのに出会うと『マジ地上は野蛮だわ』とか思いますもん」

「だなぁ。マジ、一昔前だとガチで人種差別が酷かったよな」

「最近はエリー様が出した『 人種(ヒューマン) 絶対独立主義』布告のお陰で大分マシになっているっぽいっすけど」

地上の場合『エリー様』などと口に出来ない。

どこに耳があるか分からないからだ。

しかし、『奈落』内にある自分達の部屋のため、会話に気を遣う必要が無い。

会話に気を遣い喋るのは想像以上のストレスがかかるが、今夜はそんなのとは無縁だ。

美食、美酒のお陰もあり、口が滑らかになる。

気付けば話題は夜ということもあり、猥談――ではないが、女性の好みの話になった。

「お主達は『奈落』メンバーで気になる 娘(こ) とかおらぬのか?」

『いや、無理っすわ』

ゴールドの話題に楽しく頬を美酒で赤く染めていたモヒカン達が、真顔になって返答する。

「『奈落』メンバーの女性達って基本的にライト様が大好きじゃないですか? 自分達もライト様のためなら命を張れるぐらい敬愛しているっすから……。なので根本的に『好意を持つ相手』というより、言い方がちょっと軽いですが『同好の士』って感覚の方が強いっすよね」

『それに……』とモヒカン達が憂鬱そうに語る。

「この前、地上で山賊と協力して村を襲って人種を売り払っていた商人達が居たじゃないですか?」

「うむ、話は聞いているぞ」

ゴールドの同意に、モヒカン達の空気がより重くなる。

「その山賊もどきって俺達が発見して、報告したんすよ……。でも自分達のレベルじゃ人質を救出しながら、退治するのが難しくて妖精メイドさん達に手伝ってもらったんす」

モヒカン達がその時のことを思い出したのかガタガタと震え出す。

「その時、山賊達が妖精メイドさん達を馬鹿にしたような発言をしていて……それを聞いて妖精メイドさん達めっちゃ怒ってたんすよ。その時の殺気が怖くて怖くて」

「いくら可愛くても、あんなの見せられたら好意どうこうなんて吹き飛ぶよな……」

「んだんだ」

他モヒカン達も深く同意するようにうなずく。

「だから俺達、この『奈落』メンバーの女性陣って『女性』というよりは『同士』といった感じなんすよね」

「あー……気持ちは分かるぞ」

ゴールドも腕を組み何度もうなずく。

「我輩も地上で主、ネムムと一緒に活動している訳だが……。たまにネムムのような輩に惚れて言い寄る輩が出てな。ネムムが拒絶するとたまになぜか、『ネムムさんをこんな金ぴかから解放する』と襲いかかってくる奴もいるのだ。どうやら我輩とネムムが男女の関係にあると勘違いしているようでな。本当に勘弁して欲しい……。我輩、ネムムを同僚とは考えても女としては一切見ていないのだぞ。第一、我輩の好みはゴールドが似合う熟女系だというのに」

「ネムム様は外見だけは地上でなら、一級品ですからね。外見だけは」

モヒカン達が同意してうなずく。

「妖精メイド達も基本的に外見だけはいいんですけどね。ただ性格上、ライト様に迷惑をかけないか心配っていうか……」

「分かるわー。ライト様を絶対的君主と崇める気持ちは理解できるけど、極稀に変な方向に暴走するんじゃと心配する時があるというか」

「分かるぞ! ネムムもだが忠誠心をひけらかすようなマネをする輩はいかがと我輩も思うぞ」

「ですよね!」

「忠誠とは内なるもの、それを表に出すことなく心の中で発揮してこそ――」

ゴールド、モヒカン達が、酒の力もあって『奈落』女性陣の愚痴大会になってしまう。

愚痴のせいか飲酒量も増加。

深夜、遅くまで飲み会は続いてしまったのだった。