軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

39話 土下座

「ディアブロ、オマエ達に復讐するため『 奈落(地獄) 』の底から戻ってきたよ」

「き、貴様はライト!? や、火傷は!? しかも、どうして成長していないのですー!?」

僕が『SSR 道化師の仮面』を取り素顔を現すと、ディアブロが驚愕の声をあげた。

僕は彼の反応に満足しつつ、説明する。

「火傷はこの仮面で作り出した幻影だ。成長していないのは――」

無意識に『UR 不老の腕輪』を撫でていた。

「オマエ達の裏切りを、絶望を忘れないためこのままの姿で居続けているんだよ」

「ひぃ!」

僕の殺意にディアブロが悲鳴を漏らす。

彼はまるで極寒に裸で放り出されたかのようにガタガタと震え出した。

ディアブロが怯える姿を嗜虐的気持ちで眺めていると、声をかけられる。

「ライト 神様(しんさま) 、屋敷に結界を張り終えましたの。これで外部から魔術・物理的にも第三者から盗聴、遠視、察知などされることはありませんわ」

『巨塔の魔女』改め、『禁忌の魔女』エリーが被っていたフードを脱ぎ素顔を晒しつつ、報告してきた。

僕は振り返ると、彼女にお礼を告げる。

「ありがとう、エリー、ご苦労様」

「勿体ないお言葉ですわ」

エリーは僕にお礼を言われて心底嬉しいのか、冷静に返答しようにも喜びが体中から滲み出ていた。

喜びで顔を上気させているエリーに対して微苦笑を漏らしていると、ディアブロが震える声で指摘してくる。

「ど、どうして『巨塔の魔女』がわざわざライトのために動くのですか? やっぱり魔女の力でダンジョンから脱出したのですか!? そして庇護を受け、彼女の力を使って元『種族の集い』メンバーを消して回っていたのですねー!」

ディアブロの発言にエリーは『むっ』と不満気な表情を作る。

僕は軽く手を上げて彼女を落ち着かせた。

エリーはすぐに気持ちを変え、冷静な表情を作り出す。

僕はディアブロの発言を否定すると、笑顔で事実を説明する。

「間違ってはいないけど、正しくもないかな。正確には……僕の 恩恵(ギフト) 『無限ガチャ』でエリーを含む彼女達を顕現。ディアブロ達に復讐するための準備の一つとして、『巨塔の魔女』という存在を作り出したんだよ。そしてガルーを誘い出し捕らえ、サーシャへの復讐と真実を知るためエルフ女王国を陥落、ナーノを捕らえるためドワーフ王国と手を結んだんだ」

僕の説明を聞く毎に、ディアブロの顔色が悪くなる。

彼は唾液を呑み込み、喉を振るわせて漏らす。

「そ、それはつまり『巨塔の魔女』はライトの部下ということですかー?」

「部下だなんて、そんな他人行儀な関係ではありませんの。わたくしは――いえ、わたくし達はライト 神様(しんさま) に魂を捧げた従僕ですわ。ライト 神様(しんさま) のためだけに生きて、ライト 神様(しんさま) のためだけに死ぬ。そんな尊い関係ですのよ」

「…………」

エリーは心底幸せそうにうっとりと語る。

僕はさすがに慣れたのでその言葉を聞いても微笑むだけだが、ディアブロは青い顔で黙り込む。

エリーが口だけではなく、本心から『僕のためだけに生きて、死ねることが幸福だ』と語っていると理解したからだ。

その狂信に触れて、顔を青ざめさせてしまう。

僕は顔色が悪いディアブロへ追撃をかけるように語りかける。

「少しでも僕の味わった絶望、痛み、苦しみを感じてもらうため、エリー達に協力して色々手を回させてもらったよ」

僕は笑顔で、今までディアブロが少しでも僕の味わった苦痛を体験できるよう手を回した内容を伝える。

まるで手品の種明かしをするような気持ちで。

「シックス公国会議の場で、冒険者ダークを装ってディアブロの前に姿を現したり、昔の癖を見せて『僕が生きている』と言外に伝えたのも、わざとだ」

他にも今まで自分達がおこなってきたことを楽しげに羅列する。

『暗殺結社 処刑人(ブロー) 』で僕の命を狙ったのを逆手に取って、ディアブロが魔人国第一王子ヴォロスの暗殺依頼をしたとでっち上げた。

魔人国が人種王国に乗り込み暴れようとしたのを逆に利用して、ディアブロの関係者だけ解放し、手紙を預けありもしない内容をばらまいたりもした。

偽『C』を倒し、ヴォロスを捕らえて無理矢理書かせた『第一王子直筆の委任状』を盾にディアブロが人生を賭けて得ようとした貴族位を正式な手順で奪ったのも、全ては復讐のためだ。

他にも大小、ディアブロへ復讐するため手を尽くした。

僕は恋文を朗読するように熱っぽく語りかける。

「全てはディアブロ、貴様を苦しませるため、復讐するためにおこなったんだよ。どうだい? 少しはあの時、裏切られた僕の苦しみ、絶望、辛さを味わうことは出来たかな」

僕は自分が笑っているのを自覚した。

瞳には暗い炎が燃えて、全身に復讐の喜びが宿っていることを自覚する。

そして――と、続けて僕はステータス画面をディアブロへ見せつけるように表示。

「僕自身の手で、ディアブロ達に復讐できるようにレベルも9999まで上げたんだよ」

「れ、レベル9999……ッ」

ディアブロは僕のステータス画面を見ると、この世の終わりを前にしたような絶望顔を作り出す。

彼は顔と言わず全身から冷や汗を流し、その場で土下座した。