軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

30話 アオユキ達vs偽『C』5

「――にゃぁー」

赤い炎の羽根を舞い散らしながら、彼女は物理的に偽『C』を見下ろす。

これにはさすがの偽『C』も、驚きの表情を作っていた。

別にアオユキ自身に『背中から炎を出して飛行する』能力がある訳ではない。

これは 幻想級(ファンタズマ・クラス) 『 獣の鎖(ビースト・チェイン) 』の能力によるものだ。

『 獣の鎖(ビースト・チェイン) 』は、投擲した際、自動で追尾する機能があるだけではない。

『天才モンスターテイマー』の能力を持っているアオユキが使うことによって、配下にしたモンスターの能力を使用することが出来るようになるのだ。

もちろんそれだけではないが……。

「にゃぁ」

とはいえ、偽『C』のせいで空間、空気まで狂ってしまっているため、飛行は続けずに地面に着地する。

アオユキ自身、 不死鳥(フェニックス) の羽根を借りることが出来るが、別に飛行が得意という訳ではないし、空中で無理に戦う必要はない。

「――召喚顕現、神獣・始祖フェンリル」

着地と同時に、 不死鳥(フェニックス) を消して、フェンリルの爪を両手に顕現させる。

アオユキが左右の爪を振るうと、偽『C』の黒い槍は影ごと氷漬けになってしまう。

「――召喚顕現、地獄の番犬・ケルベロス」

凍り付かせた後、さらにケルベロスに力を切り替え、彼女が大きく息を吸い込む。

胸を精一杯膨らませて空気を吸い込み、

「にゃ!」

凍り付いた影を砕き、偽『C』を丸ごと吹き飛ばす勢いでケルベロスの衝撃砲を放つ。

フェンリルの力で凍り付いた影は砕け散り、その破片が衝撃と一緒に偽『C』へと叩きつけられる。

「むばbま93うt!?」

次々切り替わる能力に偽『C』は目を白黒させるかのような表情を見せたが、彼もやられっぱなしではなかった。

「@。をgう゛ぁあおq@pkg!」

自身の命をさらに削り、床に刺した右腕のランスから壁、地面に黒い影を広げていく。

連動して天井、他四方の壁にも黒い影を広げて、より強く共振させる。

「んにゃ!」

アオユキは再度、『神獣・始祖フェンリル』の爪を両腕に顕現させ、黒い影を凍り付かせようとするが……。

「いb、う゛ぁw、bq!」

『一度見た技は二度と効かない』と言いたげに、偽『C』が叫ぶ。

アオユキの両腕に顕現させたフェンリルの爪から放たれる冷気に対して、偽『C』は黒い影を使い床の地面を強制的に引きはがして盾代わりにした。

地面の盾が氷漬けになるたび、新しい地面をさらに発掘して供給。

同時に上空から、黒い槍がアオユキを狙う。

「――ッ」

彼女は舌打ちして、その場で回避。

攻撃ばかり意識していると、反撃を喰らうし、さらに蹲るフェンリル達にも黒い槍が伸びるため、その妨害もアオユキはおこなわなければならない。

ただダメージを負うだけなら回復すれば良いが、偽『C』は生命エネルギーそのものを奪うので放置は出来ない。

「きkびばkkt!」

最初こそ、偽『C』は『 獣の鎖(ビースト・チェイン) 』の能力に驚いていたが、自身の攻撃をアオユキが避けたことに気を良くしたのか、さらに自身の攻撃力を増やそうとし、上下左右、隙間無く黒い影で埋めていく。

アオユキと配下達を丸ごと飲み込むように黒い影を広げているのだ。

それはまるで蛇が口を開き獲物に襲いかかってくるような光景だ。

決闘場は地下深くに作られた限られた空間のため、逃げ場が少ない。

このまま偽『C』が無理矢理黒い影を空間全部に広げれば、アオユキに勝利するのも可能だろう……広げられればだが。

アオユキは配下達を丸ごと飲み込むように黒い影を広げられても一切の動揺を見せない。

彼女は冷たい声で告げる。

「――神獣・始祖フェンリル、神獣・ 不死鳥(フェニックス) 、合成。 氷華炎舞(ひょうかえんぶ) !」

アオユキが両腕を突き出すと、氷の華、炎の羽根が舞い上がり前方へと発射される。

一瞬で物体を氷漬けにするほどの氷華、全てを熔かす炎の羽根。

相反する存在が大量にばらまかれたせいで、急激な熱と冷気で空間を埋め尽くすほどの爆発を起こす!

偽『C』が自身の命を削って広げた黒い影の空間を削り壊していく。

「tnをb、qぁw、bいwt!?」

自身の命そのものとも言える影を潰され、偽『C』が驚愕の声をあげる。

アオユキの攻撃は終わらない。

「――地獄の番犬・ケルベロス、罠死・アシッドスパイダー、合成。アシッドランサー!」

空間に広がった黒い影を破壊後、無防備になっている偽『C』本体目掛けて攻撃をしかける。

『UR 罠死・アシッドスパイダー レベル7000』。

彼女が瞬時に力を得た配下のアシッドスパイダーの能力は、レベルはケルベロス達に比べると落ちるが、分泌する酸は生物・無生物関係なく溶かすほど非常に強力だ。

その酸をケルベロスの衝撃砲を槍状にして纏わせ叩き込む。

「わbbばbら9tw!!!」

偽『C』の絶叫。

肉を抉られると同時に、溶けるという想像を絶する苦痛によって悲鳴を上げてしまったのだ。

これが『 獣の鎖(ビースト・チェイン) 』の最後の能力だ。

『遠・近距離にいる配下のモンスター達の能力を掛け合わせて新たな力を作ること』が出来る。

もちろん、無制限に何でも出来る訳ではない。

掛け合わせる力が増えるほど、制御が難しく、相性が悪いと発動すらしない。そもそも配下が多数居なければ意味がないため、アオユキ以外ではほぼ意味がない能力だ。

しかし、アオユキは『天才モンスターテイマー』という力を持ち、ライトの 恩恵(ギフト) 『無限ガチャ』のお陰で労せず配下となるモンスターを多数持っている。

もしライトの『無限ガチャ』がなければ、世界中を周り、山頂、秘境、ダンジョン最下層など有用なモンスターを集めるだけで途方もない時間がかかっていただろうし、高レベルの配下などはそうしていたとしても集まらなかっただろう。

だが、ライトの下にさえいれば、毎日カードが排出され、必要なモンスターが居れば顕現させてテイムすれば良い。

ある意味、アオユキほどライトの 恩恵(ギフト) と相性が良い者もいないだろう。

「mばいrがwがw!」

だが偽『C』もレベル9999。

体を無理矢理再生させて、攻撃を再開する。

黒い影を纏め上げ、右腕のランス以上の黒槍をアオユキに向けて放つが、

「――堅牢・アーマークラブ、戦人形・オーロック、合成。鎧盾人形!」

『UR 堅牢・アーマークラブ レベル7000』。

『SSSR 戦人形・オーロック レベル4000』。

堅牢・アーマークラブは、見た目は鎧を纏った蟹だ。見た目こそ若干かわいらしいが、その装甲はレベルから分かる通り非常に頑強だ。

戦人形・オーロックも、金属製のゴーレムで防御と戦闘能力に特化した配下だ。ただ動きが若干鈍い(上位レベルの者にとっては)のが、弱点である。

だが防御能力は高いため、この2つを掛け合わせて、頑丈な盾を作り出す。

偽『C』の黒槍は、あっさりとこの盾に弾かれてしまう。

偽『C』の槍は刺さると生命エネルギーを吸い取られてしまうが、逆に言えば刺さらなければ意味がない。

アオユキが追撃する。

「――地獄の番犬・ケルベロス、堅牢・アーマークラブ、合成。堅牢砲!」

「ばwば、な@おえr!?」

アーマークラブの鎧を、ケルベロスの衝撃砲で飛ばす。

偽『C』が超高速で飛ばされた頑強な鎧に潰され、悲鳴を漏らす。

そのまま壁に体を預け、ずるずると倒れてしまう。

だが、アオユキは油断せず、見下ろし告げる。

「――抗うなら抗え。アオユキはその全てを叩き潰す」

偽『C』がどれほど手を変え品を変えてアオユキに抗おうとしても、多数のアオユキの配下&『 獣の鎖(ビースト・チェイン) 』の能力によってすぐさま対応する力を開発されてしまう。

偽『C』にとってはまさに天敵のような存在だ。

「……あぁぁqわあwばx……」

偽『C』はアオユキを見上げるとまるでか細い、絶望的な声を漏らす。

こうして偽『C』が動かなくなるまで、アオユキの一方的な攻撃が続いたのだった。