軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

29話 アオユキ達vs偽『C』4

レベル9999の狂気的者同士の潰し合い。

アオユキ、偽『C』の戦いはモンスターでも、怪物でもない、一個の獣同士の潰し合いのようだった。

永遠に続くかと錯覚する潰し合いも終わりを迎える。

「m;wぁあ!?」

偽『C』が狂気、戦力的にアオユキに『このままでは負ける』と本能的に悟ったのか、彼女から逃げ出す。

逃げ出し、距離を取ると地面に右腕のランスを突き刺す。

「――?」

ライトに対する忠誠心vs偽『C』の狂気対決に実質勝利したアオユキは、その反動でその行動に対して少しだけ反応が遅れてしまった。

その遅れを攻めるように、偽『C』が刺した右腕ランスを中心に黒い影のようなモノが広がり始める。

地面だけではない。

「――気配。上からする?」

天井、壁にも黒い影のようなモノが徐々に広がっていく。

偽『C』のランスから広がったモノではない。

上空を飛行する 不死鳥(フェニックス) を攻撃する際、偽『C』が黒い針のようなモノを飛ばしていた、その一部が天井に刺さっていた。その場所から広がっていく。

さらにアオユキが殴り飛ばし、壁に埋もれた場所からも黒い影のようなモノが広がる。

「w@g:ばpbな:pあ!」

偽『C』の歪な雄叫び。

自身の命をガリガリと削る音。

その効果か、偽『C』が地面に突き刺したランスから広がる影に小さな目玉が産まれる。

ケルベロス、 不死鳥(フェニックス) から生命エネルギーを吸い取って作ったような大きな目玉ではない。

小鳥の目玉のような小さなモノだ。

しかし、異変はすぐに起きる。

『ピィ!?』

『ワオン!?』

この中で一番レベルが低いケルベロス、 不死鳥(フェニックス) が、その場に蹲った。

決闘場の空間全体に偽『C』の憎しみと狂気が広がる。

原因は彼が作り出した黒い影――そして、天井、床、壁に作り出した同じ黒い影だ。

偽『C』が足下に作り出した黒い影のようなモノから、自身の狂気を放射。天井、床、壁にも体をぶつけたり、飛ばしたりした際に作った黒い影のようなモノに反射させて自身の狂気を増幅させているのだ。

共振現象。

恐らく、直接対決ではアオユキのライトに対する絶対的な忠誠心に競り負けてしまったので、自身の命を削り共振現象を利用して、面の攻撃でアオユキに対抗しようとしているのだ。

実際、その狂気の攻撃に、ケルベロス、 不死鳥(フェニックス) は蹲ってしまう。

彼らだけではない。

「――!?」

空間が歪みアオユキの体を攻撃する。

偽『C』が直接攻撃してきた訳ではない。

空間が偽『C』の狂気に耐えきれず歪んでしまったのだ。

空間だけではない。

空気、温度、地面などすら狂って敵味方関係なく襲いかかってくる。

「mb:yわj!」

その光景を見て偽『C』はさらに黒い影を広げ、共振を強化していく。

お陰で配下達は浴びせられる狂気にその場で蹲り耐えることに集中せざるを得なくなってしまう。

「――チッ」

アオユキは小さく舌打ちすると、共振を妨害するため偽『C』の首に繋がった鎖を引っ張り、自身に引き寄せ直接殴ろうとするが……地面に根が張ったように動かない。

黒い影がまるで植物の根っこのように張り付いているようだ。

『ならば』と、直接自分が突撃して、偽『C』を殴りに行くが、

「――ッ!」

突撃すると、黒い影が槍状に代わり、アオユキを貫こうとする。

即座に反応して回避。

黒い槍に貫かれると生命エネルギー的なモノが奪われ、偽『C』を強化してしまう。

なので下手に刺さる訳にはいかない。

黒い槍は執拗にアオユキを狙うが、攻撃範囲外に出ると追撃はなくなる。

「prjが、1zさ:あ!」

偽『C』は狂喜に染まり、アオユキに対して声をあげる。

狂気の増幅を止めようと首輪で引っ張り上げようとしても持ち上がらず、ならば近付いて攻撃しようにも黒い槍が襲いかかってくる。

槍に刺されると偽『C』をパワーアップさせてしまう。

さらに黒い影のようなモノは偽『C』が自身の命を削ってジワジワとその範囲を広げていた。

このままでは、フェンリル達が黒い槍の攻撃範囲に届き、共振もさらに強化されるため防ぐことも出来ず生命エネルギーを一方的に奪われるだけになる。

偽『C』の命を削る攻撃である以上いつかは終わるだろうが、それを勘定に入れる訳にはいかない。

さらに空間すら歪めるほどの狂気がそれ以上強化されれば、アオユキ自身が耐えきれなくなり、動けなくなる可能性すらあった。

故に偽『C』は、手も足も出ないこの状況に勝利を確信して、雄叫びを上げたのだ。

「――……」

圧倒的不利にも拘わらず、アオユキは動じない。

むしろ、格上が格下を見下すような哀れみの視線を向ける。

「――この程度で勝った気でいる。所詮、狂気に狂っているだけの木偶。アオユキの敵じゃない」

「、jいwh¥qg:b!」

狂っていても馬鹿にされたのは理解出来たのか、激怒した視線を向けて黒い影が広がり、攻撃範囲に入ったアオユキに黒い槍を伸ばす。

彼女は偽『C』の首から『 獣の鎖(ビースト・チェイン) 』を外す。

ライトに対する忠誠心vs偽『C』の狂気対決で勝利したため、アオユキにとってそれ以上拘る必要がないためあっさりと首輪を解除する。

首輪を外したアオユキは槍の攻撃を避けるため、上空へとジャンプ。

「zmうおあhごあ!」

『馬鹿め、上空には逃げ場がないのにそこに逃げるとは』と言いたげに偽『C』が叫ぶが――アオユキは、動揺など一切なく『 獣の鎖(ビースト・チェイン) 』の首輪を自身の首へと嵌める。

「――召喚顕現、神獣・ 不死鳥(フェニックス) !」

アオユキの背中に『真っ赤に燃える炎の羽根』が顕現する。

彼女は地上から伸びる黒い槍を、羽根の一振りで焼き切ってしまう。

「、sいlhq¥うt:c!!?」

偽『C』が持つ空気感が驚きに染まる。

赤い炎の羽根を舞い散らしながら、彼女は物理的に偽『C』を見下ろす。

「――にゃぁー」

アオユキは偽『C』を嘲笑うかのように声をあげたのだった。