軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

20話 エリーvsギラ戦 終

「こんなものかな?」

偽ギラが最後、自滅に巻き込むため 戦略級(ストラテジー・クラス) 上位、『 黒き虚ろの穴(ブラック・ホール) 』を発動。

僕はその攻撃魔術を防ぐため、『UR 冥府より続きし 重力廻廊(グラビティー・ワールド) 』を解放する。

『 黒き虚ろの穴(ブラック・ホール) 』より強い、同系統の攻撃魔術で逆に飲み込んだのだ。

結果、決闘場が大きく壊れ、天井に穴が空き地上から光が差してしまう。

人里からかなり離れているとはいえ、誰かに見られては不味いのと、落ちたら危ないので僕は 恩恵(ギフト) 『無限ガチャ』カードを使ってそれっぽく塞ぐ。

さすがに『天井に空いた穴を塞ぐカード』などない。なので既存のカードを使用して、工夫して塞いだのだ。

「さすがダーク様! 無事に塞がりましたね!」

「うむ、決闘場の エリー殿(製作者) に比べると少し細かい所が気になるが、穴を塞ぐのが目的ならこれで十分問題ないだろう」

ネムムが褒めて、ゴールドが大工仕事を評価するような感想を漏らす。

ゴールドの言葉にネムムが、むっと顔を顰め睨む。

僕への言葉が彼女が思っていたのと違ったので、少しだけ怒って視線を向けたのだろう。

ゴールドはそんなネムムの視線など一切気にしない。

僕自身、気にしていないし、一応、喧嘩になる前に釘を刺そうとしたが、

『ライト 神様(しんさま) 、少々よろしいでしょうか』

『エリー? 大丈夫だよ』

口を開く前に、エリーから念話が届く。

エリーにはギラ本体を探し出し、捕らえる任務を与えていた。

彼女がこうして念話を送ってくるということは決着が付いたのだろうか?

ちなみに念話の盗聴などに関しては、通話してきた『禁忌の魔女』エリーが既に対魔術的に対処済みだろう。

なので僕は特に対策に動かず、遠慮無く念話をする。

『ありがとうございますわ。無事、ギラさん本人を捕らえさせて頂きました。このまま奈落最下層へとお連れする予定ですが……。ライト 神様(しんさま) が一応、本人と顔を会わせておきたいかもと考え、ご連絡さしあげましたの』

『確かに「奈落」最下層に捕らえる前に、人形じゃないギラ本人の顔を拝んでおきたいね』

ここまで僕達の手を煩わせたのだ、本人の顔を一度は確認しておきたい。

どうせ情報を引き出した後、処分するのは確定だが。

『それなら、「奈落」最下層の訓練場で落ち合おう』

『畏まりましたわ。では先に移動し、お待ちしておきますの』

『うん、よろしく、僕もすぐにそちらへ行くよ』

念話が途切れる。

ネムム、ゴールドが黙って僕達のやりとりを眺めていた。

『念話』での会話だったため彼女達視点では、僕が1人で黙り続けているようにしか見えなかっただろう。

簡単に説明する。

「エリーが無事にギラ本体を捕まえたそうだ。情報を引き出す前に折角だから一目見ておくことになった。準備が良ければ移動するけど、いいかな?」

「もちろん、大丈夫です。ダーク様のタイミングが、自分の一番良いタイミングですから!」

「我輩も問題ないぞ。念のため 人形(ゴーレム) の残骸や、元『暗殺結社 処刑人(ブロー) 』関係者の遺体もアイテムボックスに回収済みだからな」

偽ギラの 人形(ゴーレム) は、万が一エリーが本体を取り逃がした際、手がかりとして回収済み。

元『暗殺結社 処刑人(ブロー) 』関係者の遺体は、放置して腐らせて、折角作った決闘場を汚したくないから当然回収している。

ネムム、ゴールド達の返答を聞くと、僕は一つ頷き『SSR 転移』カードを一枚取り出し、 解放(リリース) する。

視界が揺らぎ、一瞬で僕達の本拠地である『奈落』最下層へと移動した。

広い訓練場には、既にエリーが転移済みで、彼女の側に鋼鉄色の茨、 戦略級(ストラテジー・クラス) 、『 茨の束縛(ドルン・フェッセルン) 』でグルグル巻きにされたボロ雑巾の塊が転がっている。

どうやらあれがギラ本体らしい。

「お帰りなさいませ、ライト 神様(しんさま) 」

エリーが片手で帽子を押さえ、空いた手でスカートの端を摘み優雅に一礼する。

僕は軽く手を上げて応え、視線を彼女から足下へと向けた。

「それが本物のギラなの?」

「はいですわ。顔を見て頂ければ、すぐにご理解頂けるかと。てい」

エリーは僕の疑問に、足下に転がったギラを軽く蹴り、隠れていた顔を晒す。

彼女にしては珍しくお茶目な行動だ。

お陰でギラの顔を確認することが出来た。

「驚いた……偽者の人形と寸分違わず瓜二つだ。ちょっと焦げたり、凍ったり、傷が多いけど」

「本当はもう少し穏便に捕らえる予定でしたが、思いの外、粘ったですの。……殺すだけなら簡単でしたが、生かして捕らえるのが少々面倒な程度でしたわ」

エリー曰く、ギラの力で魔術が使用できなくなったが、常にストックしている 戦略級(ストラテジー・クラス) の攻撃魔術を一部解放。

20発放ったところで相手のマジックアイテムが底を突き、30発辺りで分身体も枯渇し、最後はドブネズミのように必死に逃げ回っていたらしいが、結局は苦しみを先延ばしにするだけの行為だったらしい。

結果、無駄に抵抗して無駄に苦しんだだけだとか。

多少傷を負っているが僕達が戦った 人形(ゴーレム) とギラ本人は、肌の色、睫毛の長さ、眉毛一本まで全部が一緒だった。

例え双子でも『ここまで似ないだろう』というレベルである。

一応、鑑定スキルや中まで生身であることを物理的に確認したりと、様々な方法で確認するが、ギラ本人で間違いはない。

僕は手放しでエリーを褒める。

「正直、ギラの位置を把握して、本体を捕らえるのは僕の力でも難しいし、出来たとしても時間がかかるだろう。それをあの短時間に立派に成し遂げるなんて。さすが『禁忌の魔女』エリーだ!」

「あ、ありがとうございますわ! で、ですがわたくしの力は全て崇高なるライト 神様(しんさま) のモノ――いえ、わたくしの身も心も、魔力の一欠片、魂の一片までライト 神様(しんさま) のモノですの。なのでわたくしの功績は全てライト 神様(しんさま) のモノと言っても過言ではありませんわ!」

僕に手放しで褒められ、エリーは耳の先まで赤く顔を染めて、胸中から溢れ出る喜びを言葉にした。

また『ライト 神様(しんさま) がその気になれば、わたくしが手を出さずともこの程度、早々に解決しましたでしょうし』と謙遜もする。

とはいえ実際、エリーと同じ方法で短時間でギラ本人を捕まえるのは 恩恵(ギフト) 『無限ガチャ』カードを駆使しても難しいと思う。

レベル9999を超えた魔術師特化のエリーだからこその成果だ。

エリーは、僕に褒められ頬を真っ赤に染めて照れていた。

僕は続けて、告げる。

「エリー、この功績を以て以前、君が犯した失態……『 巨塔街(きょとうがい) 』の警備体制の責を帳消しにするよ。以後も僕のため、皆のためにその力を役立てて欲しい」

「勿体ないお言葉ですわ。今回の一件で慢心せず、今後もライト 神様(しんさま) のお言葉に従い精進させて頂きますの」

エリーは誇らしく、優雅に再び一礼する。

自己嫌悪の色も消えて、本当に美しい清々とした一礼だった。

☆ ☆ ☆

――僕達側が順調に作戦をこなしている頃。

一部、不穏な動きがあった。

その動きがあった場所とは――メラ達に任せている人種王国領土側だった。