軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

12話 vsギラ 3

「大爪で殺されていた方が、まだマシ、思わせて、やる!」

怒気を込めた台詞を吐き出しつつ、ギラは口元のスカーフを剥がす。

スカーフを剥がすとナイフのように鋭い牙が露わになり、『ガコン』という音を鳴らし、顎が外れ人1人ぐらいなら飲み込めるほどの大口になる。

さらに背中から伸びる大爪×6に体を支えられ、ギラの足が中に浮く。

もし『SSSR 真実の目』で大爪を認識できなければ、天井から見えない糸で吊された人形のように見えただろう。

大爪に支えられたその姿は、まるで人型の大蜘蛛のようだった。

彼の鋭い視線が僕達を捉える。

「絶望、しながら、死ね!」

大爪が床を蹴る。

床を砕くほどの力を推進力に変えたせいか、思ったよりも速い。

「とはいえ先程の見えない攻撃よりは分かり易いわ! 我が黄金の一撃を受けよ!」

だが速いと言っても、レベル5000のゴールドなら問題無く動きを捉えられ、剣を合わせることが出来る程度だ。

ゴールドはギラの首を刎ねるため、手にした剣を走らせる――が、

「!? 我が黄金の一閃を噛み砕くとは!? なんという咬合力だ!」

「次、貴様達、首!」

「ゴールド! 立ち止まるなアホ!」

剣をまるでガラスのように噛み砕かれたゴールドは驚愕。

驚く彼を狙ってギラが再び開いた距離を縮めて、口をドラゴンのように開き襲いかかるが、側面から攻撃をしかけたネムムが妨害。

ギラは側面から襲ってきたネムムの攻撃を大爪で防ぐ。

ゴールドは彼女の叫びに、意識を戻し離脱。

ギラは狙いをゴールドからネムムへと切り替える。

大爪が生物としては絶対にあり得ない角度からネムムへと襲いかかる。マジックアイテム故の動きである。

「くッ!」

ネムムは身を捻り回避。

さらに後方へと下がりながら、大爪の攻撃を2度、3度と回避していく。

だが、大爪の攻撃は鋭くだんだんと回避が難しくなっていった。

「爆豪火炎、 解放(リリース) !」

「!?」

僕は『SSR 爆豪火炎』を追撃するギラへ向けて解放!

戦術級(タクティックス・クラス) の中でも上位に入る攻撃魔術だ。

爆発と火炎の合わせ技で敵にダメージを与えつつ、強い衝撃で吹き飛ばす攻撃魔術だが……。

「グゥッ!?」

ギラは爆豪火炎の一撃を大爪でガードし、床に強く突き刺すことで衝撃にも耐えきる。ネムムへの追撃を防ぐことには成功したので目的は果たせた。

彼女は僕の近くまで後退し、お礼を口にする。

「ありがとうございます、ダーク様!」

「奴の咬合力と大爪は厄介だな! まさか我が一撃を噛み砕かれるとは、予想外も甚だしいぞ! 下手に近付かず遠距離から削るべきだろうか、主」

ゴールドも僕達の側まで戻りつつアイテムボックスから予備の剣を取り出し、警戒しながら作戦を進言してくる。

僕自身、ゴールドの意見に賛同した。

「ゴールドの意見を採用だ! 2人とも僕のフォローを頼む! 『爆豪火炎』、 解放(リリース) !」

『黒の道化師』パーティーの中では、当然魔術師でもある僕が3人の中で一番遠距離攻撃に長けている。

僕は第三者の目が無いのもあり遠慮無くカード魔術をガンガン使用するが、

ザリュッ!

連発した『爆豪火炎』の攻撃を、ギラはあろう事か『喰って』無効化してしまったのだ。

これにはさすがの僕達も驚く。

「攻撃魔術を喰らって無効化するとは……。こいつ、本当に人種なのか? 我輩、少々疑問を覚えるのだが……」

「自分も同感だゴールド……。だがもしかしたら『ますたー』なら、誰でも出来る技能なのか?」

「魔術、喰らうこと出来るのは、今のわれ、だけ。だから、安心して、死ね!」

ゴールド、ネムムの会話に、ギラが気安く返答し、再度襲いかかってくる。

僕はすぐさま、新しい攻撃魔術を唱えた。

「ゴールド! 射線に入らないように気をつけて! 『 炎岩(えんがん) 』、 解放(リリース) !」

『SSR 爆豪火炎』ではない新しい 戦術級(タクティックス・クラス) 攻撃魔術を唱える。

『SSR 炎岩(えんがん) 』だ。

炎と岩2つの属性を持つ攻撃魔術。人の背丈ほどの大岩が、炎を纏って襲いかかる物理攻撃魔術だ。

突撃してきたギラは燃える大岩を慌てて回避。

予想通りどうやら、物理をともなった攻撃魔術を『喰う』ことは出来ないらしい。

「ならこのまま物理をともなった攻撃魔術で押し切らせてもらうぞ! 『 炎岩(えんがん) 』! 『剣の亡霊』! 『 氷の支配(アイス・コントロール) 』! 解放(リリース) 」

『SSR 剣の亡霊』は、無数の剣がまるで見えない亡霊に操られているかのように振るわれる魔術。

『SSR 氷の支配(アイス・コントロール) 』は、一見するとただの氷の矢だが、刺さった箇所が凍り付き敵の動きを阻害する効果を持つ。

『 炎岩(えんがん) 』と合わせて、物理効果をともなった攻撃魔術で面制圧で高速移動するギラを圧倒するつもりだったが――。

「グガァアァッ!」

「!? 主! ネムム! 我輩の影に隠れろ!」

ギラが口から先程『喰った』、『SSR 爆豪火炎』をそのまま吐き出し、僕が放った攻撃魔術へと叩き付ける。

咄嗟にゴールドが盾を構えて僕とネムムの前に割って入った。

ゴールドのガードのお陰で無傷だが……まさか、『喰った』攻撃魔術そのものを吐き出し、攻撃に使用することが出来るとは……。

お陰で僕が放った攻撃魔術『 炎岩(えんがん) 』、『剣の亡霊』、『 氷の支配(アイス・コントロール) 』の3つがギラに届かず吹き飛ばされてしまった。

ゴールドが盾になって防いでくれたお陰でダメージを負わずに済んだネムムが、呆れたように漏らす。

「まさか『喰らった』攻撃魔術を再利用できるとは……。もう本当に人種かどうか疑わしいですね……」

「だね。それと守ってくれてありがとうゴールド。お陰で無傷だったよ」

「なに、我輩は主を守るために居るのだ。当然のことをしたまでだ」

僕に声をかけられ、ゴールドは満足そうに声を上げる。

お礼を告げつつ、僕はゴールドからギラへと視線を向ける。

「しかし攻撃魔術を『喰らう』だけではなく、再利用まで出来るとはね」

だが、僕は先程の攻撃魔術再利用で、確信を得る。

そしてちょうどエリーから念話が届いた。

(ライト 神様(しんさま) ! 遅れて申し訳ございませんわ! ようやく 敵の本体(、、、、) を発見しましたの!)

(さすがエリー! よくやったよ!)

時間稼ぎをしている間にようやくエリーが、ギラ本体の位置を特定する。

僕はその報告を念話で聞くと、『黒の道化師』の仮面を外し、冒険者ダーク――ではなく、『奈落』最下層を支配するライトとしての顔を表に出す。

「ッゥ!?」

もはやレベル、強さを隠す必要もないため、遠慮なく自分を晒け出した。

つい先程まで『喰らった』攻撃魔術を再利用し勝ち誇っていたギラが、僕の本来の強さ、レベル的威圧に気付き、息を呑む。

ギラは無意識に数歩後退ったほどだ。

僕は気にせず、彼へと改めて向き直り、告げる。

「お人形遊びは終わりだ、ギラ。それとも貴様はこそこそ隠れて戦うことしか出来ない腰抜けなのか」