軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

10話 vsギラ 2

「以前に比べて動きは鋭くなっているが、所詮はお笑い暗殺者達。この程度、いくら居ても我輩達の相手にならぬぞ」

ゴールドが襲いかかってきた『 死剣(モルテ・スパーダ) 』達を全員倒した後、ギラへと向き直り指摘する。

確かにギラの認識できない攻撃は些か面倒だが、とはいえ、群がってくる有象無象など僕達の手にかかれば問題なく倒せた。

方法は不明だが、『 死剣(モルテ・スパーダ) 』達は以前に比べて強化されていたが、元が低いため高が知れている。

もし僕達を倒すための戦力として、わざわざ準備したというのならギラの戦力分析能力はあまり高くないと考えるべきだが……。

ギラは倒された部下達を前に、悲しみの感情など一切出さない。

むしろ、心底蔑んだ表情をし、近くに倒れている部下の頭を踏みつける。

「期待、していないが、本当、使えない。ゴミ、やっぱり、ゴミ」

「…………」

暗殺結社なんてモノを作る存在が、まともな感情を持つ筈がないと分かっていたはずだが……。

目の前で自分の部下を本気で『ゴミ』と言い切り、不快そうに頭を踏みつける姿に僕は苛立ちを覚えてしまう。

「倒したのはこちら側だから、こんな事を口にするのは違うかもしれないけど……戦った部下に対してその態度は違うんじゃないか」

「ふっ、こんなガキ、倒されたなんて、恥以外の何ものでもない」

僕の指摘にギラは、こちらを挑発するように部下の頭をより強くグリグリと足の裏で踏みつけ告げる。

「使えるのが部下、使えないのならゴミ。分かったか、甘ちゃん、ガキ」

「…………」

ベタな挑発だと理解しつつも、僕はギラの台詞を許せないものだと感じてしまう。

ギラも僕の苛立つ感情が伝わったのか、露骨にイヤラシイ笑みを作る。

「オマエ、部下、殺したら、どんな表情するか、楽しみ」

「!? ネムム、ゴールド!」

僕の掛け声に素速く反応して、全員大きく距離を取る。

間一髪で、僕達が居た場所にいくつもの亀裂が走った。

まるで巨大な生物の爪痕のような傷跡である。

そんな僕達の姿にギラは心底楽しそうに瞳を歪める。

「ネズミのように、逃げるのだけは上手い。だが、いつまで、逃げていられるか」

彼の『認識できない攻撃』は、僕ならともかく、ネムムやゴールドがまともに受ければ致命傷を負いかねない。

だからと言って、彼の指摘通り逃げ回っていたら倒すことが出来ず、いつか致命傷を受けて命を落とすだろう。

しかし……。

「確かにいつまでも『認識できない攻撃』からは逃げ回っていられないな。確かに面倒な攻撃だけど……認識できるようになれば意味は無いよね」

僕は懐から一枚のカードを取り出す。

「『SSSR 真実の目』、 解放(リリース) !」

取り出したカードは解放と同時に消失。

消失したが、一見すると何の変化もおこらなかった。

カードを取り出し、解放した際、ギラは愉悦で歪めていた瞳を鋭くしていたが、変化の無さに警戒心が緩む。

鋭い視線を走らせ、警戒しながら問う。

「……はったりか?」

「さぁ、どうかな」

僕は素直に答えず、肩をすくめて――手にしている杖で僕の右側側面から襲いかかってくる 大剣のような大爪(、、、、、、、、) を弾く!

「!?」

まさか不可視の攻撃をまるで見えているかのように認識して、的確に弾かれたことにギラが大きく目を開き驚愕する。

僕がその驚きに便乗して、間合いを詰めると合計6本ある大爪のウチ、2本が襲いかかってくるが、見えていれば回避は難しくない。

何より、

「ふはははは! 見えていればこの黄金の騎士、ゴールドならば防ぐのなど造作もないぞ!」

「だったら、全部ちゃんと防ぎなさいよ!」

回避した直後、距離を縮め残り4本の大爪が襲いかかってくるが、裂かれた胸元を修繕したネムム、高笑いするゴールドがそれを横から妨害!

互いに2本ずつ大爪を防ぎ、ギラへ攻撃の道を作る。

当然、そのチャンスを逃がす訳がない。

「グガァッ!?」

手にした杖を強かにギラの腹部へ叩き込む。

彼はまさか全ての大爪を防がれるとは思っておらず、驚愕で僅かに反応が遅れてしまう。

僕はその反応を逃さず強かな一撃を叩き込み、蹴飛ばされたボールのようにギラを吹き飛ばし床に転がす。

彼は体を起こし、お腹を押さえつつ、細い瞳を限界まで広げ驚愕する。

「ば、馬鹿な!? き、貴様達、どうして、攻撃、防ぐことできる!?」

「敵にわざわざ手の内を明かす馬鹿はいないよ。教える訳ないじゃないか」

「……ッ!」

馬鹿にされていることに気付き、ギラはより一層憎しみの篭もった視線を向けてくるが、僕達に一切の動揺はない。

冷めた視線で彼を見下ろす。

……ちなみに実際、彼の攻撃をどう見破ったのか?

ミキからの言葉を聞いていたので、ギラの攻撃には警戒していた。

最初は攻撃魔術でも使っているのかと予想していたが、実際に攻撃を受けた際、本当に認識することが一切できなかった。

『レベル9999の僕でも認識できない超スピードでの攻撃』の可能性も考えたが、例えそうだとしても一切認識できないのはあり得ない。

第一、攻撃をしかけられたら空気の動きなどで多少なりとも反応できる筈。

ではギラは一体どうやって攻撃をしかけていたのか?

群がる元『 死剣(モルテ・スパーダ) 』や暗殺者達を倒しつつ、考察して思い付く。

ギラとは違うが、僕自身『SSR 存在隠蔽』で似たようなことが出来ると気付いた。

『SSR、存在隠蔽』は使用者の存在を五感、魔術的力、マジックアイテムでもその存在を認識することが出来なくなる。

まさにギラの攻撃とそっくり同じだ。

なので『SSR、存在隠蔽』のアンチカードである『SSSR 真実の目』を使用し、認識できるようにしたのだ。

僕の 恩恵(ギフト) 『無限ガチャ』からは、文字通り無限にカードが出てくるが、中には特定のカードとある意味、対になっているカードという物がある。

例えば火と氷、光と闇のように同格のカード同士で、同時に使えば威力を相殺できたりするのだ。

またカードの効果を無効化するカードというのも存在する。

僕達はそんなカードをアンチカードと呼んでいた。

『SSSR 真実の目』はまさに『SSR、存在隠蔽』の代表的なアンチカードだ。

『SSSR 真実の目』の効果は……『見えないモノを見えるようにする。存在隠蔽を無効化する』。まさに『SSR、存在隠蔽』の対となるカードである。

僕の予想が当たり、『SSSR 真実の目』使用後、はっきりと僕達の目にギラの認識できない攻撃の正体、大爪の姿をはっきり捉えることが出来た。

彼のまとう上着の下から身の丈ほどある奇っ怪な大爪が6本、生物のように伸び縮みしている。

恐らくあの大爪自体に『SSR、存在隠蔽』のような効果があるのだろう。

『SSR、存在隠蔽』の存在を僕達自身知らなければ解明できず、最悪ネムムとゴールドは大怪我をしていたかもしれない。

とはいえ、タネさえ分かれば解決方法も、防ぐことも難しくない。

完全に自身の攻撃方法を見破られたと気付いたギラは、僕の挑発に最初こそ怒りを露わにしたが、途中で気が触れたのか不気味に低く笑い出す。

一通り笑い終えると、彼は改めて殺意を瞳に滾らせる。

「われ、手の内、見破ったの、オマエ、初めて……だが、こちらの手、一つ、見破っただけ、調子に乗るなよ小僧!」

怒気、殺意、怨念を込めた台詞を吐き出しつつ、ギラは口元のスカーフを剥がす。

「大爪で殺されていた方が、まだマシ、思わせて、やる!」