軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

1話 魔人国『ますたー』捕縛命令

『奈落』最下層執務室に、大勢の人物が集まる。

僕は執務室の椅子に座り、集まった者達へと視線を向けた。

集まった者達は皆、真剣な表情を作っている。

ピリピリとした雰囲気が執務室に漂っていた。

これからおこなう作戦が、どれだけ重要なのか理解しているからだ。

確認のため、僕が改めて状況を説明する。

「最初は僕の命を狙った『暗殺結社 処刑人(ブロー) 』創設者で、『ますたー』であるギラを捕らえて、情報を引き出す予定だった。そのためにミキから情報を引き出した際、魔人国側に居る『ますたー』について情報を得ることが出来た。その中の1人……ゴウという『ますたー』がレベル9000を突破しているらしい。僕の両親、故郷、村を滅ぼした者はレベル9000以上……ほぼ同じレベルだ」

『…………』

僕に絶対の忠誠を誓う集まった者達が、この話で怒りを思い出し、より一層執務室の空気が鋭くなる。

僕自身、怒りを再燃させて気配を鋭くさせながら、話を続けた。

「最初はギラのみを捕らえる予定だったが、作戦を変更する。魔人国側『ますたー』であるゴウ、ドクも含めて全員を捕らえて情報を吐き出させ、ゴウが僕の村を滅ぼした犯人であれば相応の報いを受けさせる。そのためにも確実に彼らを捕らえるため行動をしていくつもりだ」

魔人国側『ますたー』であるゴウ、ドク、ギラの全員を捕らえる予定だが……問題があるとすれば、その中の2名の所在が分からない点だ。

「ミキ曰く、奴らは普段は好き勝手に行動しているため、連絡が取れないどころか、どこで何をしているのか分からないらしい。唯一、所在が分かっているのはドクと呼ばれる『ますたー』だけだ」

全員に連絡を取る際は、ドクの研究所を通し、全員に連絡を入れるらしい。

魔人国側『ますたー』全員を捕らえるためには、まずこのドクを捕らえる必要がある。

「なので彼を確実に捕らえるためメイ、ナズナ、アイスヒート、スズの4名に向かってもらう」

「我がメイド道に懸けて必ずやドクなる人物を捕らえて見せます」

「あたいもご主人様のために頑張るぜ!」

「このアイスヒート! 汚名返上、名誉挽回の機会に必ず報いてみせます!」

「(コクコク)!」

僕に名前を呼ばれたメイ達が気合十分な声をあげた。

特にアイスヒートの意気込みは強かった。

最近、与えられる任務が本人的には消化不良らしく、今度こそ目に見えて結果を出そうとしているようだ。

その気持ちは非常に嬉しいが、空回りしないか少々心配である。

スズが手にするインテリジェンスウェポンが、カタカタと声にはしないが動く。

まるで『エッ? あいすひーとノ姉サント一緒デ大丈夫カ?』と言いたげだった。

……いや、きっと僕の気のせいである。

僕は軽く咳払いをして、気持ちを切り替えてから再度口を開く。

「本来は僕が直接行きたいけど……もう1人の『ますたー』ギラは地上で活動する冒険者の僕、ダークを狙ってくるだろう。僕自身をエサにして、ギラを確実に釣るためそっちに向かうことが出来ないんだよね……」

だから、ドクを確実に捕らえるため何でも器用にこなすメイ、『奈落』最大戦力のナズナ、戦闘能力が高いアイスヒート、殲滅や索敵能力が高いスズを編成したのだ。

戦闘、索敵、目標の確保に関してこれ以上の編成はありえないだろう。

僕はメイへと視線を向ける。

「指揮権はメイに預けるよ。目的はドクの確保だけど、もし身の危険を感じたらすぐさま撤退するように。魔人国『ますたー』達の情報も大切だけど、それ以上にメイ達の身の安全が大切だから」

「ライト様……勿体ないお言葉です」

僕の話を聞いて、メイ達が心底嬉しそうに、自分達の身を心配する僕に対して感動した面持ちをする。

確かに僕の故郷を滅ぼした情報を得るのは重要だが、それでメイ達が命を落とすのは絶対に避けたい。

これは僕の本心である。

「そして僕、エリー、ネムム、ゴールドはギラを捕らえるため動こうと思う。アオユキは予備戦力として『奈落』に残ってもらうよ」

「お任せくださいですわ、ライト 神様(しんさま) !」

「自分の身命に懸けて必ずギラの身柄を抑えます!」

「うむ、我輩にドンと任せると良い!」

「にゃ~」

僕が彼女達に話を振るとエリー達もそれぞれ気合の入った声をあげる。

ギラに関しては『暗殺結社 処刑人(ブロー) 』のトップ5である『 死剣(モルテ・スパーダ) 』を使って散々メンツを潰しまくった。

お陰であちら側も後に引けず、僕達『黒の道化師』パーティー……特に僕の命を狙っているようだ。

なので僕自身をエサにギラを釣り上げる。

確実に捕らえるためエリーに『転移阻害』の結界を張ってもらう予定だ。

僕達は僕達で確実にギラを捕らえて情報を引き出そうと気合を入れる。

唯一、アオユキが大人しめの声をあげるが、彼女は自身の立場――予備戦力の重要性を理解しているため、しっかりと役目を全うしてくれるだろう。

幼い見た目に反してアオユキは精神年齢が高いため、安心して役割を任せることが出来て非常にありがたい。

僕は改めて執務室に集まった皆の顔を順番に見回す。

「――では各自、準備に取り掛かってくれ。魔人国側『ますたー』をこの機会に全員捕らえよう」

僕の掛け声に皆、気合の入った返事をする。

その返事を耳にして、僕自身改めて身を引き締めるのだった。

☆ ☆ ☆

――ライト達が『奈落』最下層で次の作戦準備に取り掛かっている頃。

魔人国首都王城でも、動きがあった。

ライトの復讐相手の1人ディアブロが、ヴォロス第一王子に呼び出しを受け王城に姿を現す。

王城に姿を現したディアブロは、非常に怯えた表情を作っていた。