軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

31話 犯人候補

ミキから魔人国『ますたー』の情報を聞いている途中で、彼女達のリーダーであるゴウについて触れた。

彼女曰く『ミキィ達の中で唯一レベル9000を超えているらしいしぃ』とのことだ。

その台詞を耳にした瞬間――僕の内側からマグマのように殺意が溢れ出てしまう。

その殺意に怯えて真剣に忠告してきたミキが、怯えて息を呑んでしまうほどだ。

「レベル9000……」

僕はミキの怯えに気付きながらも、溢れ出る殺意を抑えることが出来なかった。

なぜなら僕の実妹であるユメを保護後、故郷である村が滅んだ手がかりを少しでも知るため妹の記憶をエリーが読んだ。

結果、『レベル9000台の 人種(ヒューマン) が村を滅ぼした』と彼女は報告してきた。

エリーがなぜ村を襲撃したのが『レベル9000台の 人種(ヒューマン) 』だと判断したのかというと……。

『妹姫様が兄上様とお逃げになる際、視界の端に空へ浮かぶ人影をとらえていましたの』

その記憶から人影は上空に居て、村を攻撃していたらしい。

シルエットから羽根や角、尻尾、耳も長くなく、身長は低くもなかった。極々一般的な体型だった。このことから獣人種、 竜人(ドラゴニュート) 種、エルフ種、ドワーフ種、魔人種ではなく、 人種(ヒューマン) だと判断したのだ。

レベル9000に関しても、ユメの記憶を通して大凡の推測から割り出したらしい。

僕は故郷の村を滅ぼしたその『レベル9000台の 人種(ヒューマン) 』を探していた訳だが……手がかり一つ見つからなかった。

『ますたーの可能性が高い』とは予想していたが、もしかしたら僕のような特殊な 恩恵(ギフト) の力でレベルを上げた可能性もあったので断定はしていなかったが……。

『僕の故郷を滅ぼした犯人かもしれない』という手がかりをようやく見つけたのだ。

殺意が漏れ出てしまうのは当然である。

当然、僕だけではなくメイ、エリー、スズも僕が殺意を漏らすほど激怒する理由に気付いており、同様に怒りを露わにしていた。

こちらの事情を知らないミキだけが、僕達が怒る理由が分からずあたふたする。

「ちょ、ちょっと待ってよぉ。何かミキィ、怒らせるようなこと言っちゃったかしらぁ? もしそうなら謝るから、そんなに怒らないでよぉ。ミキィ、今の所はスズちゃんが居るライトちゃん達と争うつもりないからぁ」

「……ミキ、一つだけ聞かせてくれ。そのゴウという『ますたー』は約三年前どこで何をやっていたか知っているか? 人種(ヒューマン) の村を滅ぼしたとか」

「三年前? って言っても、さっきも言ったけど別にミキィ達は仲良しこよしな同志とかじゃないからぁ。基本、呼び出しを受けるまでは干渉し合わないで好き勝手に過ごしているだけだからぁ。三年前に 人種(ヒューマン) の村を滅ぼしたかどうかなんて分からないわぁ」

「…………」

ミキは怯えつつも素直に吐露。

彼女の反応と、メイに視線を向けると頷かれる。

魔術で確認する限り嘘はついていないようだ。

僕は問いを続ける。

「ならそのゴウという男の事をもっと教えて欲しい。特に彼は『近接戦闘の天才』らしいが、本当に近接戦闘しかしないの? 実は遠距離攻撃が得意ってことはない?」

僕の村を滅ぼした際、『人影は上空に居て、村を攻撃していた』らしい。

つまり遠距離攻撃で村を攻撃し、村人や家屋、僕の両親を殺害したということだ。

ゴウは近接戦闘が得手らしいが、もし遠距離攻撃も得意なら村を滅ぼした張本人の可能性が出てくる。

ミキは数秒ほど考え込み告げる。

「う~ん……それは無いかな。何度か戦っている所を見たことがあるけど、ずっと格闘技術でしか戦っていなかったしぃ。ただ出来なくはないと思うわよ? それこそ手にした石を投げるだけでゴウちゃんクラスなら、とんでもない威力になるだろうし。それにミキィ達にも明かしていない奥の手の一つや二つあってもおかしくないしねぇ」

ミキは拘束された状態で自慢気に胸を張る。

「ミキィだってまだ誰にも明かしていないちょー凄い奥の手があるしぃ。『ゴウちゃんだけそれがない』なんてありえないし、そう考えるのは難しいと思うわよぉ」

確かに彼女の指摘通り、誰にも見せていない奥の手があるかもしれない以上『遠距離攻撃が出来ない』とは断言できないか……。

どうも決め手にかける。

「…………」

暫し、無言で考え込む。

僕は答えを口にした。

「ギラは当然として、そのゴウという魔人国『ますたー』も捕らえて話を聞きだそう」

「ふえッ!? ちょ、マジ! ミキィ、ゴウちゃんはちょー強いから手を出さない方がいいって言ってるよね!? なのにどうしてそういう話になるのよぉ!」

「ゴウという魔人国『ますたー』にはどうしても聞かなければならないことが出来たから。だからそうしない訳にはいかないんだ……」

「!?」

さらに濃くなった僕の殺意に、どうにか引き留めようと声をあげていたミキが怯えて黙り込む。

『レベル9000台の 人種(ヒューマン) 』であるゴウ。

彼に出会って僕の村を滅ぼしたかどうか、聞き出す必要があるのだ。

例えミキが止めようとするほどの強者でもだ。

僕達の話し合いは終わり、ミキは再び独房へと戻される。

彼女がしっかりと戻されたのを確認してから、改めて会議を開いた。

僕の故郷、両親、村人達を皆殺しにして滅ぼした犯人候補の1人――ゴウを捕らえるための会議を。

僕を裏切り殺そうとした『種族の集い』メンバー達への復讐も大切だが、僕の故郷を滅ぼした奴を許すつもりはなかった。