軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

13話 ダーク繋がり

行商人ヨールムが自身の安全のため、元冒険者であるエリオとミヤに護衛を依頼する。

2人は『冒険者としてではなく同行者としてなら』と条件付きで依頼を受諾。

同行するモヒカン冒険者達に話を通すのと顔見せのため、待たせている幌馬車へと向かった。

行商人ヨールムとエリオがモヒカン冒険者のリーダーと話している間に、他モヒカン達がミヤを舐めるような視線で品定めする。

「へぇ……あの 女(スケ) は……」

「いい 女(スケ) じゃねぇか。へっへっへっ……明日以降の護衛が楽しみだぜ」

「オマエ達、もしもの場合は……分かってるだろうな?」

「もちろん、その時は出し惜しみ無しで、な」

モヒカン冒険者達がヒソヒソとミヤを見て相談し合う。

ミヤは居心地悪そうに、視線を逸らしつつも、モヒカン冒険者に襲われた際のシミュレーションを脳内で想定する。

ミヤも元冒険者で、カイト戦で修羅場を潜っているのだ。仮に襲われても対応は十分取れる自信があった。

……実際は、ダーク(ライト)の知り合いであるミヤとエリオが危機に陥った時、与えられたカードを使用してでも2人を助けるという意思疎通、確認をしているに過ぎない。

モヒカン達の見た目が厳ついのと言葉が少ないため、怖いと勘違いをしてもおかしくなかった。

行商人ヨールムとエリオがモヒカン冒険者のリーダーと話し合いが終わると、ミヤとエリオは納品した薬代をその場でもらい離れる。

行商人は笑顔を作りつつ、村人達相手に商売を開始した。

モヒカン冒険者達は商売の邪魔にならず、護衛しやすい位置にそっと移動する。

行動だけなら非常に真面目で優秀な冒険者達だ。

見た目は非常にアレだが……。

モヒカン達は怖いが、村人にとっては商人が来るのは数少ない娯楽で、必需品などを買わない訳にはいかない。

村人達も腰が引けつつも、いつも通り買い物をおこなう。

エリオ、ミヤはそれを最後まで見届けず、薬師自宅へと戻る。

薬納品代金を届けるのと、明日から行商人について街へ行く許可を取るためだ。ミヤが許可を取っている間に、エリオも村の防衛団リーダーとしての引き継ぎ、畑の世話を頼むため手を回す。

他にも2人は、明日から商人に同行するため旅の準備もしなければならなかった。

これも世話になっている行商人ヨールムからの頼みだからだ。

行商人ヨールムはいつも通り村へと一泊する。

モヒカン達は、護衛冒険者用の簡易宿泊施設に一泊。

そして翌日、護衛のモヒカン冒険者達と同行者のエリオ&ミヤがヨールムの馬車に集合する。

予定では10日後、遅くても15日前後で村に戻ってくる予定だ。

エリオは冒険者時代に愛用していた剣に盾、他装備品や道具を準備した。

ミヤも愛用の魔術杖を手にして、気持ちも薬師弟子ではなく冒険者のモノに切り替える。

行商人ヨールムが音頭を取った。

「それでは皆さん、道中お願いします」

「へっへっへっ、任せておきなヨールムの旦那。そっちのあんちゃん、お嬢ちゃんも腕に覚えはあるだろうが、ちゃんと俺達の指示に従って行動してくれれば文句は無いさ」

「分かりました、ちゃんと指示を聞いて、邪魔にならないようにしますね」

「…………」

エリオが代表して答える。

ミヤはモヒカン達の外見が怖いのと人見知りも出て、兄の陰に隠れてしまう。

そんな2人をモヒカン冒険者達はニヤニヤとした表情で窺っていた。

挨拶とどの馬車に乗るかの配置も終わると、新しくエリオとミヤを組み入れた行商馬車がシックス公国側の街に向かって移動を開始した。

☆ ☆ ☆

村を出て約数時間後……。

幌馬車の御者台に行商人ヨールムが座り、後方出入口にエリオとミヤが座って後方を警戒。

先行しているモヒカン冒険者達が乗る馬車の後を進む。

前方の馬車に異常があったら、後方へ状況を直ぐに知らせて戦闘か逃走を判断する予定である。

エリオとミヤが来る前は、この後方警戒もモヒカン冒険者達が担当していた。

最初の移動は物理的にそれぞれの馬車が離れていたというのもあって、エリオ&ミヤはモヒカン冒険者とトラブルも起きず順調に移動することができた。

ミヤ達がモヒカン冒険者達と深く関わり合うようになったのは――昼食休憩中のことだ。

「えぇぇッ! 皆さん、ダークさん達とお知り合いだったんですか!?」

ミヤの驚きの声音が川沿いに響く。

太陽がほぼ真上に到達すると、馬車を川沿いに寄せて予定通り休憩を取る。

馬を馬車から解放してエサと水を飲ませ休憩させた。

その間に川沿いの石で簡易に作った竈で、モヒカン達がスープを作ることになった。ミヤは異物混入を警戒するため、手伝いを申し出て、モヒカン達に混じって料理をおこなう。

その調理中に、話題としてモヒカン達がミヤにダーク(ライトの偽名)の話題を振ったのだ。

「へっへっへっ! やっぱりダーク様の仰っていた将来が楽しみな魔術師はミヤちゃんのことだったのか。話に聞いた名前や特徴まんまだから、『もしかしたら』って思っていたが。まさかドンピシャとはな」

「こちらこそ驚きましたよ。まさか皆さんがダークさん、ゴールドさん、ネムムさんと一緒に共闘までした知り合いだったなんて」

馬を馬車から外し、水やエサやりなどを手伝っていたエリオが話に入ってくる。

同じくエリオと一緒に馬の世話をしていたモヒカンリーダーが告げる。

「ゴールドの旦那といえばエリオさんのことも褒めていましたよ。『盾の使い方にセンスがある』って。ゴールドの旦那には、『巨塔』森林の陽動作戦で『|スネークヘルハウンド《尻尾が蛇で巨大な4足獣》』の化け物のようなモンスター相手に戦った時、何度も助けられたんですよ。そんなゴールドの旦那が褒めるほどセンスがあるなんて、マジで心強いですわ」

「いや、俺なんてゴールドさんに比べたら未熟も未熟ですよ。でもゴールドさんにそんな褒められていたなんて……」

エリオはゴールドに褒められていたのが心底嬉しかったのか、喜びでニヤニヤと口元が緩んでしまう。

自身でも少々みっともないと自覚したのか、エリオは片手で口元を隠し喜びに浸る。

そんな兄を放置して、ミヤはキラキラと大きな瞳を輝かせながらダーク達の話を強請る。

「良かったらダークさん達のお話を聞かせて頂けませんか?」

「へっへっへっ、もちろん構わないぜ! あの人達がどれだけ活躍したのか俺達も是非話したいからな!」

「ダーク様やゴールドの旦那、ネムムの姉御には『巨塔』森林陽動作戦で何度も助けられたからな! あの人達の素晴らしさ、伝説的活躍を伝えるのが俺達の義務だぜ!」

モヒカン達はミヤにお願いされて調子良く、『巨塔』森林陽動作戦の話を始める。

別に彼らはミヤの可愛さに踊らされたり、一緒に活躍した自分達を大きく見せるために話をしたい訳ではない。

これも『奈落』最下層からの指示で、少しでもダーク達――ライト達の活躍を広めることで彼らの名声や知名度を上昇させ、冒険者ランクを上げたり等の一助にする作戦の一環だった。

……とはいえ『巨塔』森林陽動作戦は、ライト達が仕組んだ八百長――いや、『素晴らしい演出』だった。

その場に現れるモンスターの数も『奈落』最下層が調整。

『|スネークヘルハウンド《尻尾が蛇で巨大な4足獣》』は元々『奈落』側で、ゴールドとネムムはともかくその場に居るダークは偽者だ。

全てはエルフ女王国最強の『白の騎士団』を『巨塔』に向かわせるための罠で、ダーク達の知名度を上げるための演出でしかない。

しかし、そんなネタ晴らしをミヤ達にする必要はない。

モヒカン達はダーク達の知名度をあげるため、ミヤ達だけではなく行商人ヨールムにも聞かせるように面白おかしく語り出す。

街や村々を行く彼に、ミヤ達のお陰で自然な流れでダーク達の活躍を聞かせることが出来るのは大きい。

モヒカン達は喜々として、語り出す。

「俺達を含めた冒険者が森へと向かい、モンスター達の目を自分達に向けるため上空へ魔術を打ち上げたんだ。そしたら少しの時間もかからずまるで物語に出てくるようなモンスターが姿を現したんだよ。そいつが『尻尾が蛇で巨大な4足獣』だ」

「その姿を見ただけで威圧されて怯えた俺達冒険者だが、そんな俺らを守るようにダーク様が前に出たんだ。そしてその後ろに続くように立つゴールドの旦那とネムムの姉御。強大な敵を前にしながら、ダーク様は怯える冒険者達に向かって遠くまで聞こえる美声で語りかけたんだよ――」

次々とモヒカン達がダーク達を持ち上げる話をし続ける。

ダーク達と縁があるミヤとエリオは、喜々としてその話を聞き続けた。

気付けば食事も終わり、再出発するころにはミヤ、エリオ、モヒカン冒険者達の間にあった壁は取り払われ、まるで昔からの冒険者仲間の如く仲良くなってしまったのだった。