軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第63話 見つけちゃった

さて、ゴンザさんは貿易の要所であるカルセル名物だという砂糖をたっぷり使ったバラッドさんからのお土産である甘党上級者用のお茶菓子を、

「これこれ…この甘さが食べたかったんだ…」

みたいに満足そうに食べており、

『見てるだけで糖尿になりそう…』

と心配する僕を他所に、バラッドさんまで、

「やはり、こちらには義父さんを満足させる甘味は少なかったでしょう。 だから、同じぐらいお気に入りだったのヤツも買って来ましたよ」

とシロップ漬けの日持ちのしそうなお菓子まで取り出し、酒は飲まないが十分体に悪そうな量の糖分を摂取している2人に、僕は、

「お茶会もいいですが…そろそろ…」

と、お願いしていた装備を渡して欲しいと凄く遠回しに言って、ようやくゴンザさんが、

「おぉ、そうだった!」

と、僕達の装備を工房から持って来てくれたのである。

魔物の素材と幾つかの金属をドワーフの技術で混ぜ合わせて作った魔合金なる、太古の昔にこの世界の覇権をエルフとドワーフが争っていた時代にエルフのみが自在に扱えるミスリルという金属の代わりにドワーフ族の名工達が作り出したという、

【ミスリル程では無いが軽くて、ミスリルよりも少し硬くて、ミスリルには劣るが魔法耐性まである】

という合金を使用した装備である。

そして、この特殊な合金には混ぜる魔物素材により追加効果が付与されているらしく、

「凄い! マジックアイテムみたいですね」

と、驚く僕にゴンザさんもだが、バラッドさんまで、

「ミスリルにルーンなる物を刻んで作られたエルフ族のマジックアイテムに対抗する為に古のドワーフ族の叡智を集めて作った技術だからな…」

と自慢気に話してくれたのである。

しかし、エルフの作ったミスリル製のマジックアイテムより付与される効果は細やかな物であるらしく、ベルが引き当てた脚力微上昇の腕輪も正確にはマジックアイテムではなく太古のドワーフが作った名作をダンジョンが複製した魔合金の品らしく、ゴンザさんは、

「伝わっている技術ではあの腕輪の質量であれ程の効果を出すのは難しいが、鎧程の質量があれば能力の微上昇効果であれば十分発動させられるから期待してくれ」

と、言っていた。

ゴンザさんの説明では、ベルの軽鎧には脚力微上昇の付与があり、既に装備している跳ね鹿の腕輪と合わせるとかなり移動速度も上がり、魔合金の2本の大型ナイフには一方には切れ味上昇と、もう一方は硬さ上昇という盾としての使い方も出来る武器となっている。

早速ウキウキしながら装備しているベルに、キミーさんが、

「ベルちゃん、身体能力を上げる効果は昔のエルフ族のマジックアイテムより劣るけど、武器そのものに付与を施して性能を上げる効果はドワーフの技術の方が上だから、今までの武器より強いわよぉ~」

などと説明しているのを聞き、僕が

『そうか、魔合金で肉体にかける強化バフ効果は弱いが、魔合金自体に付与する効果は強いのか…僕のは何かな?』

と、期待していると次はリーグさんの番となる。

リーグさんの装備はとにかく動きやすさを重視し、敵や魔物に気配を察知され難くする効果のある部分鎧に、貫通力を付与された投げナイフと、リーグさんがお願いしていた薪割用の植物にプラスダメージの付与つきのナタだそうでリーグさんは、

「防具も素晴らしいですが、このナタはキャンプの薪割りも楽になりますし、魔物牧場の牧草刈りにも使えそうです」

と、嬉しそうにナタを眺めている。

『そんな事まで考えて注文をしていたんだ…』

と、何も考えずにゴンザさんにお任せしていた自分が少し恥ずかしかったが、いよいよ僕の番がやって来たのである。

しかし出された僕の装備は、アーマーリザードという魔物の鱗を混ぜ込んだ魔合金であり【兎に角頑丈】という一点突破な性能で、ゴンザさん曰く、

「お前さんは他の2人と違って伸ばす所が思いつかなかったから頑丈にしておいたぞ」

と、身も蓋もない理由を言われたのである。

『はいはい、どうせ弱いですよ…』

と僕は心の中で涙を流しつつ、

『せめて武器だけは…』

と期待して受け取った片手剣も、ゴンザさんは、

「結局武器も得意そうなのは見当たらなかったから片手剣を作っておいた…鎧と同じ魔合金だから頑丈だぞぉ」

と、僕の装備だけ設計プランが微妙に手抜き感は否めないが、製作過程に一切の手抜きはなく見事な装備の仕上がりに、

『う~ん…とりあえず頑丈なんだね…』

とは思うが、感心するしかなかったのである。

まぁ、スピードを生かす戦法のベルと、隠密行動からの中・近距離からの不意打ちやサポート役のリーグさんという明確なポジションが戦闘時にない僕は、

「ありがとうございます!」

と笑顔でゴンザさんに礼を伝えながらも、

『これは2人に迷惑がかからない程度に強くならなくては…』

と、内心焦りながら決意した。

そして、一旦バラッドさんとはここでお別れして、ゴンザさんと暫く暮らした後にキミーさんとカサールに引っ越してくるそうで、

「ゆっくりで構いませんから、鍛冶工房とキミーさんとの新居を用意して待ってますから…」

と約束して、僕達は皆の待つこの村の広場へと戻ったのであった。

とりあえず、僕の頭の中では、

『しかし、バラッドさんの住まいもカルセルのご領主様がカサール子爵様に依頼して用意してあるとは思うが、まさか奥さんが増えたとは知らないだろうし…もしも、我が家の中で同居ならどうしよう…バラッドさんとキミーさんの熱々モトサヤ夫婦を同じ敷地内で子供達に見せるのは教育上いかがなものか…』

と、先程のビジュアル的にオッサンとオッサンの熱い口づけシーンを思いだし、

『これは、カサール子爵様も鍛冶師のバラッドさんが一人で移住する予定で動いてくれただろうし、早くカサールに帰ってバラッドさんが夫婦…いや、将来的には子沢山になっても大丈夫な家を購入なり改築なりして用意するしか…』

と考えた僕は、

『家かぁ…幾らぐらい掛かるかな…チャチャっとタンカランダンジョンに潜ってゴーレムコアが手に入るから資金は稼げると思ったけど、それも順番待ちで大変そうだし…まぁ、手持ちのお金もまだあるから帰ったら真っ先にバラッドさん夫婦の住まい兼工房を用意だな』

と、鞄の中の金袋との相談を始めてはみたものの、

『家族も増えたからなぁ…』

と不安しか残らない僕であった。

そして不安を抱えたまま広場に戻ると、幼子チームはお昼寝の真っ最中であり、子供チームは静かに僕の作った文字カルタで楽しく文字を覚えており、晩御飯の料理を作りつつ大人チームの皆さんも遊ぶ子供達を気にしながら僕達の帰りを待ってくれていた。

新品の装備を身に纏った僕たちは、

「ただいま…」

と幼子チームを起こさない様に小声で戻った事を皆に伝え、

「ほら」

と、僕達の新装備を御披露目した。

という事で、新たな装備を手に入れた僕達の今まで使っていたゴンザさんの魔鉱鉄シリーズの装備はバルディオさんやイデアさんに使ってもらい、怪我により傭兵としては復帰出来ないまでも頼れる旅の護衛として働いてくれそうであり、子供チームの男の子三人も、

「冒険者登録をして主殿みたいに成りたい!」

と言ってくれているので、そのうち僕が持っていたが使いこなせなかった魔鉱鉄の武器達も彼らがキッチリ活用してくれる筈である。

『主殿みたい…って…皆は僕みたいに頑丈装備で放置していても死なないってだけの足手まとい冒険者には成るんじゃないぞ…』

と、今になり微妙にハートにダメージの来る新装備のまま、

「ちょっと修復出来そうな物が無いか探してきます…」

とゴミ置場の方を指差してから僕が歩き始めると、ベルが、

「お兄ちゃん、 ワ(・) タ(・) シ(・) も一緒に行く」

と、言ってついてきてくれたのである。

そう、ボクっ娘だったベルが頑張って一人称をワタシに変更する練習も兼ねて2人でゴミ漁りへと、まぁ、あまり良いお出かけ先ではないのだが、

『魔石ランプは新居に沢山欲しいし、修復して売れるものはジャンジャン回収していかないと…お金が…』

という理由から、

「ベル、最近どう?」

みたいな質問を彼女に投げ掛け、ベルから「ワタシ」を引き出そうと会話のキャッチボールをしているのだが、この時に僕はこのタンカランのゴミ置場にてとんでもない物を見つけてしまい、

「よっしゃあぁぁぁ!」

と思わず声を上げてしまったのである。

これには隣に居たベルもビックリした様で、ビクンと飛び上がった後に、

「お兄ちゃん、急にナニ!?…ボク、胸がキュッてなったよ!!」

と一人称がボクに戻った状態で猛抗議されてしまった。

しかし、この発見で今後の悩みがかなり解消しそうな僕は、

「フッ、ベルよ『ボク』に戻っておるぞ…まだまだ練習が必要なようだな…」

と嬉しさのあまりベルを少し茶化すと、彼女は、

「お兄ちゃんの意地悪!」

と可愛く脹れてしまったのである。