軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

人員

思い立ったが吉日。その言葉を全力で実践しようとオーウェンが急かし、挨拶もそこそこに一度フィディック学院に戻ることとなった。

「そうか。今はあの気の抜けたエルフの王族も学院にいたか。ならば、エルフの国の協力も狙えるやもしれんな」

「メイプルリーフも同様ですね」

「グランサンズ王国は……ちょっと確認してみます?」

「……あの国はどうだ? 魔術に関しては最も遅れているような感覚だが」

「い、いえ! 鍛冶の為ではありますが、火や土の魔術はとても研究が進んでいて……!」

移動中、馬車の中では大いに議論が盛り上がっていた。飛翔魔術で二台並んで飛行する中、皆の話を聞いていて疑問が生まれる。

「……皆さん、そんなに暇はなさそうですが……」

そう呟いてみるが、反応したのはグレンだけである。

「うぅむ……良くも悪くも、アオイ君の会ったことがある人物は大物ばかりじゃからのう。魔術の知識は一流なのじゃが、簡単に動ける立場にないということもあるかもしれんぞい」

グレンの言葉に頷いていると、今度はフェルターが腕を組んで口を開く。

「……面倒だ。人手が多い方が良いなら、できるだけ声を掛けてみれば良い」

フェルターがそんな大雑把なことを言うと、ロックスも笑みを浮かべて答えた。

「そりゃそうだな。全員に協力させてやろう。手分けして協力者を募るぞ」

「まぁ、僕も一応やってみるけど、期待はしないでよね」

「教員同士ならば力になれるが、他は難しいな」

「私は……父に頼んで、グランサンズ王国の協力者を募集してみましょうか。こちらも、あまり期待はできませんが……」

皆がそんな話をして盛り上がる中、シェンリーが釣られるように手を挙げた。

「そ、それでは、私は寮長に……!」

「……何?」

「寮長? 女子寮の寮長か?」

シェンリーの言葉に、フェルターとロックスが首を傾げる。二人の反応を見て、シェンリーが慌てて答える。

「あ、は、はい! グレノラさんは元聖女なので、魔術師としても一流の方ですから!」

シェンリーがそう答えると、何名かがギョッとした顔になった。どうやら、知らない人もそれなりにいたようだ。フェルターとロックスもそうだったらしく、二人で顔を見合わせている。

「……つまり、思いきり殴り倒しても自分で治療ができるわけか」

「……あの女からも強者の匂いがしていたが、まさか聖女とはな」

そんな良く分からない会話をしている二人に苦笑しつつ、皆の意見を覚えておく。

確かに、人手は多い方が良い。それに、ブッシュミルズ皇国の遺跡に眠っていた太古の魔法陣の調査だ。特別講義という形にもできるかもしれない。そうなれば、生徒だけでなく教員も問題なく連れていけるのではないか。

フィディック学院の生徒だけでなく、教員にも魔法陣には是非とも触れてもらいたいと思っている。もちろん、魔術についての知識も求められる為、初等部や中等部の生徒達は呼ぶことができないが、ある一定水準まで魔術の知識を持つ者なら良い勉強になる筈だ。

「……確かに、教員の方も呼べたら大きな力になりますね」

そう呟きつつ、誰に声をかけるべきか考えた。人が多く集まれば、確かに研究は一気に進むだろう。

しかし、それほど長く学院にいるわけでもないのに、それほど協力者が集まるだろうか。口には出さなかったが、そんな不安があった。

フィディック学院に戻り、早速皆が手分けして声を掛ける。内容はブッシュミルズ皇国の遺跡での魔法陣の調査だ。期間は一ヶ月としている。

それを考えると、やはり厳しそうな気がしていた。

しかし、意外にもすぐに人は集まった。

「行きますよ! 行くに決まっている!」

一番に現れたのはメイプルリーフ聖皇国の宮廷魔術師、クラウンである。魔術狂と呼ばれることもあるクラウンは未知の魔法陣という言葉に大いに反応した。そして、次に現れたのはエルフの王国の王子、ラングスだった。

「アオイの助けになるのなら助力は惜しまない。それに、エルフの魔術も役に立つかもしれん」

「二人とも、ありがとうございます」

クラウンとラングスなら来てくれるかもしれないと思い声をかけたのだが、大正解だった。とりあえず、二人の協力者を得たと安堵していると、他の皆も続々と私の下へ協力者を連れて来てくれた。

気が付けば、馬車を止めていた中庭に大勢の人員が揃ってしまう。

「……こ、こんなにですか?」

驚きつつ、周りを見回した。そこには、グレンやオーウェン、ストラス、エライザ、ロックス、フェルター、シェンリー、ハイラムに加え、クラウンとラングス、スペイサイド、アイル、リズ、ベル、ディーンといった面々が並んでいたのだ。

そして、更にグレノラと上級教員のフォアまで立っているではないか。

「まぁ、シェンリーにあれだけ頼まれたら協力するしかないさ。大人し過ぎると心配していたが、良い変化だね」

「……ふむ。私は古代の魔法陣というものに少々興味が湧いただけだ」

二人の言葉を聞き、大きく頷いてから皆に感謝を伝える。

「……ありがとうございます。これだけの人数が協力してくれたら、一気に研究が進むと思います。まずは、巨大な魔法陣の全容を掴むことに注力しましょう」