軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

待たせてごめんね

改めて席に座り、皆と共にテーブルを囲む。頭に居るメアルを優しく撫でると、いつもの場所にいられて嬉しいのか、メアルは撫でる手を甘噛みしてきた。こそばゆい。それに、ちらちらと見える垂れ幕が気になって仕方ない。外さないのでしょうか?

「本当にもう大丈夫なのでしょうか?」

メアルと戯れているとナミニッサが心配そうな表情で尋ねてきた。サローナ達も皆似たような表情をしている。空元気だと思ってるのかな?無理してると思ってるのかな?もう大丈夫だときちんと伝えないとな。

「本当に大丈夫だよ。皆も心配かけてごめんね……この数日間も常に誰かが俺と一緒に居てくれて心強かったよ……本当にありがとう……」

サローナ達への感謝の言葉と共に、俺は本当に大丈夫だという事を伝えるために、正直に思った事、感じた事を皆に伝える。これから俺はここに居る皆と共に生きていくんだ、だから、こういう事で隠し事はしたくない。ありのままの自分の事を伝えた。サローナ達もそんな俺の言葉を聞き逃すまいと、真剣な表情で聞いてくれる。

「……という心持ちです。だから、本当にもう大丈夫だから。アリアの事も片付いたし、皆のおかげでこうして立ち直れた……皆には感謝の気持ちで……いや違うな。今言うべき言葉は―――」

俺はそこで一旦言葉をきり、皆の顔を順番に見ていく。

「こうして俺と共に一緒に居てくれて、ありがとう……これからも一緒に居て欲しいと思ってる……もう絶対離さないから……皆の事が大好きです」

「私達だって絶対離れないからな!!ずっとずっと一緒だ!!」

「ふふ……こんな私達で良ければ、ずっと傍に置いて下さいませ」

「ワズ様への気持ちが変わる事はありません。私達はずっとお傍に居ります」

「私達の気持ちは既に伝えてある通りだ。私達もワズの事が大好きだぞ!!」

「……永遠に一緒」

「デレた!!お兄ちゃんが私達にデレた!!勝った!!勝ったよ、私達!!赤飯!!今日は赤飯でお願いします!!」

「今更な事を言わないでくれ……こちらも顔が熱くなる……」

大丈夫です。俺も間違いなく顔が真っ赤になっていると思います。だって、凄く恥ずかしいけど、皆から目を逸らす事も出来ず、肌が熱を持っているのが普通にわかるからね。それに皆も顔が赤いですよ?……お互い様ですね……

俺は一つ咳払いをして、少し気分を落ち着かせると改めて皆に尋ねる。

「それで……これはどういう事なの?」

俺は垂れ幕を指差して聞くと、皆がその理由を答えてくれた。

「ワズさんがナヴィリオ様達を連れ帰ってきた時間の少し前に勇者パーティーがイスコア王国からの使者として現れたのだ」

「そしてワズさんが居なかったので、エリス姫様を隠し、まずは私達だけで会ったのです」

「エリス姫様が直接対面すると力づくの可能性も考慮して、そうしました。そして私達はエリス姫様が望んでいる事を伝えようとしたのですが」

「その前にあろう事か、勇者が私達に襲いかかってきたのだ」

「……“いくらアリアの知り合いとはいえ、一国の姫を攫う等許される事じゃない”って」

「フッフッフッ……今思い出しても腸が煮えくり返りますね……あんのクソ勇者がぁ~!!まずは話し合いだろうが!!」

「もちろん、私達は応戦しようと身構えたのだが、そこをアリアが勇者を一喝する事で場が一度止まってな……勇者が気不味そうに席に着いた所で夫殿が現れたのだ」

……ふむ……つまり勇者が事情も聞かず、俺の嫁さん達に勝手に襲いかかったという訳か……

「……殺るか」

俺が全身に怒りの殺意を漲らせると、何故か皆はうっとりとしたような表情で俺の方を見てくる。いや、もちろん殺る気はないけど、ただ勇者だろうが他の男性がサローナ達に指一本でも手を出そうとしたら……マジデドウナルカ、ワカラナイヨ―――

「……そう言えばあの勇者って何人も奥さんが居るってエリス姫様が言ってたけど、どんだけ居るんだろう?」

「そうですね、聞いてる限りだと30人は居ると伺っております。アリアはその正室というか、第一夫人として迎えられるとエリス姫様が仰っていました」

「へぇ~……そんなに居るんだ」

「まぁ仮にも魔王を倒した功績があるからな。貴族連中がこぞって自分達の娘を差しだしたんだろうさ」

「ふ~ん……」

ナミニッサ、ナレリナの話を聞いても、本当にもう蚊帳の外というか「ふ~ん」としか感想が出てこない。もうどうでもいいと思っているのかな?まぁ俺達に関わらない限りは、どうでもいいか。

「……ワズさんも私達以外の多くの女性を召抱えたいのでしょうか?」

タタが窺うようにそう尋ねてきたので、俺は正直に答える。

「いや、俺にはもう皆が居てくれるだけで充分だよ。増やそうだなんて思……」

「どうしてそこで止まるのでしょうか!!」

タタの叫びを受けながら、俺は思い出していた……契約の事を……これもちゃんと伝えておくか……はぁ……

「いや、本当にそういう訳じゃなくて……えっと……実は……」

俺はそう言ってサローナ達に自分の右手に刻まれた紋章を見せ、女神様達の謀り事を話す。

「……という訳で、もしかしたら女神様達が嫁に来るかも?」

「ワズ様はその事をどう思っているのでしょうか?」

「う~ん……今まで助けられたのは事実だし、変な迷惑はかけられたけど別に嫌いという訳じゃないし、女神様達がそれを望むのであれば嬉しいとは……思うかなぁ」

いや、もしかしたら他の人に迷惑をかけないように自分の目の届く所に置いておきたいとか?ただまぁ女神様達と一緒に居る事を楽しんでいる自分がいるのも事実だし……来るなら来い、という考えに近いかなぁ……けどなぁ……

「まぁ女神様達なら私達は文句等ない」

「ワズさんを好意で助けているのはわかりますし、戦女神様は素敵な方ですしね」

「フフ……私達も結構大所帯になりそうですね」

「あぁ、それも神まで嫁にするなんてな」

「……旦那様なら当然」

「ふむ……私達も女神様達に負けない様に自分達をもっと磨かないと」

「あぁ、負けられないな」

良かったね女神様達。俺の嫁さん達は歓迎するみたいだよ。もし嫌がられたらこの話は即効無かった事になっていたからね。もう俺にとってはサローナ達が一番優先されるので……

……あっ、嫁になるって話で思い出した。

「そういえばハオスイが15歳の成人になるのってあと何日くらい?」

「……後大体一カ月くらい」

「そっか、ならカガネはもう成人してるしハオスイが成人したら、皆一緒に結婚しようか。今まで待たせてごめんね」

俺がそう言うと、サローナ達は花が咲いたような嬉しそうな笑顔を俺に向けてきて、我慢しきれなくなったのか抱きついてきた。

俺はそんな皆を支える様に強く抱き返した。