作品タイトル不明
騎士達の行き先は
配膳を手伝っているとナミニッサに呼ばれてたので、手に持っていた配膳はフロイドへと託し俺はナミニッサ達が居る場所へと向かう。その場にはナミニッサ、ナレリナとルノーさんの他に2人の騎士で焚火を囲み、勧められるまま何故かナミニッサ、ナレリナに挟まれるように座りると、ルノーさん達からは何故このような場所で居たのかを話しだした。
ルノーさんの話によるとマーンボンド王家が国を出る時に大多数の騎士と民は一緒に着いて行ったそうなのだが、やはり思い入れのある場所を出る事が出来ない民は中には居たので、その民達のために自分達も残ったそうなのだが、フレボンド王家の統治は過酷であり、民達をかなり苦しめたそうだ。そうして残った民達も住んでいく事が出来なくなっていき国を去ると同時に自分達も国を出て、マーンボンド王家が居る場所まで送り届けると、数日後には自分達はその場を離れ旅に出たとの事。ちなみに、ルノーさんの話によると、マーンボンド王家の方々は俺達が向かってる王都からさほど離れていない港町に拠点を置いているそうだ。
「祖国はどうやら思った以上に酷い有様のようですね……ところで、どうして父様の所で残らなかったのでしょうか?」
「あぁ、父上が断るとは思えないのだが……むしろ歓迎されそうだが?」
「そうですな……確かに歓迎されましたが、王家の方々が新天地で頑張っている姿を見ていると自分達もどこか新しい場所で一からやってみたくなりましてな……それに私はこの通り先が短い老騎士です。ギヴィリオ様の所は多くの次代を担う若い騎士、民が居られるので大丈夫なのですが、どこか他の国では未だこのような老騎士でも求める所があるのではないのかと思いまして、勇士を募って今こうしている訳です。この事は姫様達の父上であるギヴィリオ様にも快諾されましたし応援もされました」
そう言ってルノーさんは騎士達の方へ視線を巡らすと
「ただ……未だ行き先が決まっておらずというのが、もっか悩みの種ですな」
と言って俺達に苦笑いを向けた。ふむ。最後の余生を過ごす場所を求めて、今は旅の途中という事なのか。そういえばあの時は急いでたのでナミニッサ達の両親には会ってなかったけど、ちゃんと元気になったみたいだな……ナミニッサ達の兄であるナヴィリオと友達のオーランドは元気でやってんのかなぁ……思い出すと久々に会いたくなってくるなぁ……と、思考が逸れてしまった。ふと横に両隣に顔を向けるとナミニッサ、ナレリナもどうにか出来ないかと思案していた。それを確認すると俺はルノーさんへと顔を向ける。
「1つ聞いてもいいですか?」
「なんなりとお聞き下さい、ワズ殿」
あれ?俺、自己紹介したっけ?
「そう不思議そうな顔をされるな。単純に先程姫様達に教えられたのだよ。将来の夫であり、一緒に居る女性は皆、自分達と同じ将来の奥方であるとな、嬉しそうに私に教えてくれたよ」
俺は両隣に居るナミニッサとナレリナへ顔を向けると、照れる様に顔をほのかに真っ赤にしていたので、とりあえず頭を撫でてみると、2人共俺にされるがままなのだが嫌な素振りは一切見せず、でれでれと顔がほぐれていった。
「まったく……姫様達のそのような照れまくっているお顔、生まれた頃より知っておりますが、初めて見ましたぞ」
「「ちょっ!!!」」
「はっはっはっ!!そう慌てなさんな。むしろ、この爺嬉しく思っておりますぞ」
どうやら、ルノーさんは長年マーンボンド家に仕えていた騎士だったみたいだな。ナミニサ達も信頼しているのが、このやりとりで少しながら感じる事が出来る。どうやら悪い人ではなさそうだ。他の周りに居る騎士達もこちらの様子を見て微笑んでいた。ルノーさんの隣に居る騎士からは「あまりからかっては嫌われてしまいますぞ?」と冗談のような感じで声を掛けて、ルノーさんは高らかに笑っていた。
「……と、そう言えば私に聞きたい事があるんでしたな?」
ルノーさんが笑いを止め、俺へ顔を向けてくる。
う~ん……当初はルノーさん自身の事を聞きたかったんだけど、先程のである程度人となりは確認出来たし、これだけの人が着いてくるって事はいい人なんだろうけど……長年王家に仕えてたって事は剣の腕も悪くないだろうし……まてよ……行き先がないって事は決まってないって事だよな……
「その……これからの行き先にどこか当てはあるのでしょうか?」
「いや、全く無いな。ただ、このままここに留まっても仕方ないので、どこか近場の国か町にでも行こうかと話しあっておる所だ」
……まだ決まってないのか……なら……
「実はちょうど皆さん向けの国を知ってるんですが、行ってみる気はありませんか?」
「ほう?どんな所だね?」
「そうですね、まず簡単に言ってしまうと、出来たばかりで人手が全く足りていない国なのです。あっ、それと獣人国と同盟してますね」
「ほぅ、出来たばかり……なら碌に体制も整ってはおらんな……それに獣人国との同盟か……おもしろそうだな……獣人とはまだ手合わせをした事がなかったな……」
ルノーさんが嬉しそうにニヤケている。特に獣人国との同盟という部分に反応していた。あっ、わかった。この人も戦闘大好きな人だ。多分、行ったら間違いなく獣人と手合わせを所望するとか言って戦いまくってそうだな……あれ?人選間違えた?でも人手不足なのは事実だし、今騎士に兵士とその辺りを任せられる人達が少ないのも事実なんだよなぁ……
「それはどこの国なんだね?」
嬉しそうにルノーさんが俺に尋ねてきた。なんかその表情は子供が新しい玩具を手にする前のようなワクワクとしたモノだった。まっ、いっか。グレイブさんなら上手くやってくれるだろう。そうして、俺はルノーさんにグレイブさんの国の事を紹介した。ついでに紹介状も書いて欲しいと言われ、ナミニッサ達にもお願いされたので書いておいた。
これで少しでもグレイブさんの国が助かってくれればいいんだけど……