軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

マーンボンドの騎士達

山を降り、麓にある森を進む。途中魔物も現れたのだが、その全てはサローナ達によって葬られた。俺は一切手を出していない。ハオスイを筆頭に元々強かった上に、俺が鍛え上げ、更に武具まで伝説級の物を使用しているのだから、問題等起こる訳もなかった。サローナ達も魔物相手に自分達の武具を確かめるように使っていた。防御力を確かめるためにわざと攻撃を受けてもいたようだが、その光景を見ているだけの俺には冷や冷やしたものだ。だって、サローナ達から絶対に手を出さないでと念を押された上に、戦闘に参加していないフロイドによって俺の体は押さえられていたのだから何も出来ないし……いくら大丈夫とわかっていても見ていて気持ちのいいものじゃないしね。そんな戦闘の中で一番頑張っていたのはタタだった。戦女神様の助言が効いたのか、積極的に挑み、自分の強さを確認していたようだ。まぁ正直な所、確かにこのメンバーの中で一番弱いのはタタであるのだが、その強さは俺の見る限りだと多分、Aランク冒険者でも傷を負わせる事は出来ないんじゃないかと思う。精神的に強い人だと思っていたが、肉体的にも強くなったね。

そうして魔物を駆逐していきながら進んでいくと、何やら武装した集団が森の中に居た。即座に身を隠したので向こうには気付かれなかったようだ。相手の素生がその身に付けている装備からどこかの騎士団のように思える。何故こんな森の中で?

その騎士団の様子を眺めてわかった事は2、30人程の集団で、何人かは鎧を脱ぎ、鍋をかき混ぜたりと食事の準備をしていたり、木剣を互いに構え打ち合ったり、明らかにこの集団の上の方と思われる上等な鎧とマントを羽織っている3人は何やら話し合っているという事だった。集団の中心には煤けた焚火の跡や寝袋を広げていたり、皆の鎧が輝いておらず、汚れている部分が目立つ等、どうもこの数日間はこの場所で寝泊りをしているように見える。

そのまま眺めているとナミニッサとナレリナが俺の元へとやってきて、小声で話し掛けてきた。

「……ワズ様、少しよろしいでしょうか?」

「ん?どうしたの?まさか自分達でどうにかするとか言うの?それはさすがに……」

「いえ、違います。実はあの集団の中に見知った顔があるのです」

「あぁ、私も確認したが間違いない……あの騎士達は”マーンボンド”の騎士達だ」

……え?マーンボンド?それってナミニッサ達の祖国だよね?つまりあの騎士達はナミニッサ達の国に仕えている騎士達って事?

「あれ?でもなんでナミニッサ達の国の騎士達がここに居るの?しかもあんなボロボロで……マーンボンド王国って豊かな国だったような……」

「……それなのですが……」

「……今、マーンボンド王国は既に無い」

「え?」

その後、ナミニッサとナレリナから話を聞くと、自分達が俺を追うために国を出た後すぐに親達も自分達に着いてくる騎士と民を連れて国を出て、元々マーンボンド王国だった所は今はフレボンド王国になっているという事だった。その話を聞いて思うのは、なんとも随分と腰の軽い王様なんだなと思うのと、そんな王様に騎士も民も着いて行くって事は慕われているんだなぁ~と思う事だった。というか、ナミニッサ達を無理矢理手篭めにしようとするとか……うん、そのフレボンド家滅ぼそう。そうしよう。

「それじゃあ、あの騎士達は……」

「おそらく、何かしらの理由で国に残っていたのでしょうが、最終的にはフレボンド王国を見限って国を出たのでしょうけど……どこにも行くあてが無かったのでここにしばらく留まり、自分達の行く場所を模索している最中といった所でしょうか……」

……ふむ……確かにナミニッサ達の話を聞く限りだとそんな感じがする。

「でも確証はない訳だし、このままここで俺達が話していてもしょうがないか……あの騎士達知り合いなんでしょ?ならとりあえず話聞きに行こうか?」

「そうですね」

「そうだな」

「……でも、向こうの状況がわからない以上、念のため警戒はしておこうか……」

そうして向こうの出方がわからないので警戒しながら騎士達の方へと歩み出す。俺達の姿を確認した騎士達は一斉に武器を構え、こちらへとその切っ先を向けてくる。そして、その武装した騎士達の中から、上等な鎧とマントを羽織った3人が出て来た。

「何者だ……返答如何によっては……」

そう声を発したのは3人の内、真ん中に立つ人物。精悍な顔つきの50歳程の人なのだが、その顔は無精髭と痩せこけた風貌であり、腰に下げている剣の柄へと手が伸びていた。

「お久し振りでございます、ルノー様」

「久し振り、ルノーの旦那!!」

こちらからナミニッサ、ナレリナが俺の前に出て声を掛ける。俺はいつでも飛び出せるように体に力を込めておいた。

「……ナレリナ姫様、ナミニッサ姫様」

ルノーと呼ばれたその人物は、ナミニッサ、ナレリナの姿を確認すると即座に跪いた。ルノーさんに合わせて、残りの騎士達も一斉に跪く。

「御無事なようで何よりでございます、ナレリナ姫様、ナミニッサ姫様」

「ふふ……もうマーンボンド王家は無いのですよ?」

「だから私達に跪く事もしなくていいし、姫様と呼ばなくていいんだぞ」

「……国が無くなろうと、王家でなくなろうと関係ありません。私にとって姫様達は姫様でございます」

ルノーさんの言葉にナミニッサとナレリナは困ったような、だけど嬉しいような笑みを浮かべた。

その後は歓迎されるように俺達は騎士達と合流し、サローナとハオスイとカガネは近くに薪を拾いに行ったり、タタとマオは食事の準備手伝ったり、ナミニッサとナレリナはルノーさん達と何やら話し合っていた。俺とフロイドはこうなると特にやる事もないので、食事の配膳を手伝った。メアルは相変わらず俺の頭の上でのん気に欠伸をしていた。