軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

別話13 ナレリナとメラル

自らに課した鍛錬と組手を終え、私は部屋で休み。

ふぅ……やはりハオスイとカガネとの組手はいい刺激になる。ステータス的にも戦いの戦術的にも格上の2人と戦うといい勉強になる。故郷の城で過ごしている時は私自身が周りの者より頭1つ飛び抜けた者であったために、自己鍛錬よりも騎士達への戦闘教育の方に時間を取られていたからな。まだまだワズには遠く及ばないし、あそこまでの強さを得る事も出来るとは思っていないが、可能な限りあの強さに近付きたい。もうあのような目に合うのはゴメンだ。あの事でワズが私のために怒り、強引に口付けしてくれた事は素直に嬉しいし、そのおかげで多少なりとも吹っ切る事が出来たのだが、やはりあの時に今の自分の強さがあれば、きっとあのような不覚を取る事は無かったと思う。だからこそ私は更なる強さを求めている……

私は水をごくごくと飲み、鍛錬で熱を持った体の汗を拭いているとワズが部屋の中に入って来た。

「あっ!!居た居た!!」

「ん?どうした?私に何か用か?」

「今皆の武具を作ってる最中に気付いたんだけど、武器ならまぁ問題はないんだけど、防具となると皆の体のサイズが必要だなって思ってさ。それで皆に恥ずかしいとは思うけど聞いて回ってるんだよ」

「なるほど、防具は確かに自分の体に合っている物じゃないといけないしな。それで私の所にもサイズを聞きにきたという訳なんだな」

「そういう事!!」

私が素直に理解を示すと、ワズはほっと息を吐いていた。私がこの事で嫌悪感を示すんじゃないかと窺っていたのかもしれない。そんなもの一切抱かないのに……まったく、そろそろワズには私達の夫である自覚を持って欲しいものだな。この程度の事、私達の誰も嫌がらないというのに……

「わかった。では、存分に測って貰おうか!!」

「教えてくれるだけでいいんですけど!!」

あれ?ワズに測って貰って、その程度の事でアナタへの気持ちは揺るがないよ!!嫌悪感どころか、むしろ嬉しい事ですよ!!という感じの事を伝えるために測って貰おうと思ったのだが……どうも伝わらなかったようだな……ふむ、やはり直球の言葉の方がいいのだろうか……

「言い方が悪かったな、すまない。私は今のサイズを将来の夫であるワズに測って欲しいのだ。お願い出来るだろうか?」

「……はぁ……わかった。まぁ今更か……」

今更?なるほど、私が最初ではないのだな。既に他の者に同じお願いをされていたという事か。私が最初ではない事は残念だが、まぁ見つけた順だろうし、私達の間で問題にするような事でもない。そんな風に思案をしていると、ワズがサイズを測るために等間隔に黒い印が付いている紐を取り出して私のサイズを測りだした。

も、もうちょっとで胸に当たりそう……そのまま当たらないだろうか……

不埒な事を考えていた時、私は思い出した。この前に私は何をしていた?体の汗を拭いていたような……という事は湯浴みもしていない……私はその事に気付き、恐る恐る声を掛ける。

「……ワ、ワズ……その……」

「ん~……どうした~?」

ワズは熱心に測っている。

「少し確認したいのだが……その……私臭わないだろうか?先程まで鍛錬していて……まだ湯浴みもしていないのだ……」

「ん~……別に?いつもの日向のようないい匂いだけど?」

「そ、そう……ならいいけど……」

ほっ……とりあえずよかった……でもやっぱり気になるから後で丹念に洗っておこう……

その後はいい匂いと言われたけれど、どうしてもその事が脳裏から離れなくて、計測が終わるまで身動きが取れなかった……

数日後、ワズから私用に造られた武具を頂いた。武器はワズの「固有魔法:神」によって炎の力を宿した 超合金属(オリハルコン) 製の大剣と、状況に合わせて使えるように同じ超合金属製の長剣も渡された。防具は超合金属製の物が宝物庫で見つからなかったそうで、代わりというにはアレなのだが、ミスリル製の 全身鎧(フルプレート) を渡された。これは常に装備しておかないといけないのだろうか……と考えていると、ワズがきちんと対応していてくれていた。この全身鎧にも「固有魔法:神」をかけていて私の魔力と意思を合図に自動で装備する事が出来るそうだ。面白くて何度も試した。普段はメアルの時空間魔法の中に収納されるらしい。

渡された武具を一通り確認し、新たな剣を磨き、大剣を立て掛け、長剣を腰に差すと私は新たな戦場へと向かった。

目の前には様々な食材の数々、洗った手には包丁……すぅ~……はぁ~……

「宜しくお願いします」

「はい、頑張って覚えましょうね」

私の隣にはメアルの母上・メラル様が人化して立っている。龍の時のような真っ白な純白の髪に、女性の私でも見惚れる程の美しい顔立ち、すらりと伸びた細い手足、まさに絶世の美女がそこに居た。私はこの城に滞在中の間、メラル様に料理を指示して貰って腕を上げようと頑張っている。メラル様は初日から私達の部屋に遊び?に来ており、仲良くお話をしている。普段はタタに教えて貰っているのだが、今はタタ自身もやる事があるだろうし、余り私の料理の勉強時間に拘束するのもどうかと悩んでいて、その事をぽろっと言ってしまった時にメラル様がなら私がお教えしましょうか?と仰ってくれた。1度メラル様の料理も召しあがったのだが、タタに引けをとらない凄腕で、むしろこちらからお願いし、今に至っている。

「では、どうやら基本は出来ているようですし、今日は味付けを集中的にやりましょうか?」

「はい」

そう言ってメラル様が様々な調味料を私の前に並べてくれます。数十種類はあるでしょうか?

「こんなに種類があるんですね……」

「そうね、似たような調味料もありますが、用途によって使い分ける事も大事ですし、それにガサツそうに見えて、夫は意外と繊細なもので食事の味にうるさいのよ。だから私も頑張って色々揃えていく内にこんなに集まってね。それで夫も喜んでくれるし」

「愛してるのですね」

「ふふふ……ナレリナちゃんもワズに美味しい物を食べさせないとね?」

「が、頑張ります!!」

気合いの入った私はメラル様に教えて貰いながら、調理を進めていきます。

「ナレリナちゃん、まずは肉と野菜を一口大に切っていきましょう」

「はい!!」

「では切った食材を煮込む前に下味となる部分を作ります。最初の内はわからないだろうから、味を確かめながら色々足していきましょうか」

「はい!!」

「ナレリナちゃん、どうしてそれを入れたのかな?」

「はい!!健康にいいと聞いたので」

「ナレリナちゃん……それはちょっと……」

「ですがこれは精力がつくと」

「……ナレリナちゃん?」

「これを足して……あとこれも……あっ!!それも……」

「……」

「……」

おかしい……この料理はこんな色だっただろうか……家庭料理の代名詞的な物を作ったつもりだったのだが、出来たのは濃い紫というか……黒というか……メラル様に視線を向けると、笑顔なのだが冷や汗をかいている。出来栄えと笑顔でこれは失敗したという事が普通に分かる。一生懸命になる余り、少し失敗してしまったようだ。

私がどうしようかと悩んでいると、ワズが調理室へと入って来た。

「あれ?ナレリナに、その気配はメラルか?人化するとそんな感じなんだな。というか、2人して途方に暮れてるみたいだけど、どうしたの?」

「あっ!!いや、これはその……」

「なんでもないのよ!!なんでも!!」

私はこの失敗作を見られたくなくて口ごもり、メラル様も私に気を使ってなんでもないと仰ってくれましたが、ワズは「?」顔でこちらへとやってきて、失敗作を見てしまった。あぁ……こ、これはその……なっ!!

「料理してたのか?ならちょっと味見を」

そう言って私達が止める間もなく、口へと運んでしまった。

「……う~ん……うん!!美味い!!」

……え?

「あっ、そういやラグニールに呼ばれてるんだった!!じゃあ、また後でな!!」

ワズが調理室から足早に出て行きます。その後ろ姿を追った後、私とメラル様は顔を見合せます。

「……まぁ、ワズは特別っぽいから……もう1度最初から作ろうか……」

「はい……」

料理の勉強でクタクタになった私はそのまま部屋へと戻り、眠りにつきます。

眠りに落ちそうな直前、どこかから「なんか興奮して眠れねぇ~!!」と叫び声が聴こえた気がしましたが、そのまま眠りにつきました……