作品タイトル不明
別話14 ハオスイとメギル
最近毎日が凄く楽しい。一気に将来家族と呼べる人達が増えたおかげだろうか。サローナお姉ちゃんは綺麗な髪を持っていて、その上礼儀正しくて頼りになるし、タタお姉ちゃんは優しくて作る料理は凄く美味しい、まさに理想のお母さんって感じ、ナミニッサお姉ちゃんはとても物知りで、私達のまとめ役で凄いと思う、ナレリナお姉ちゃんは強いだけじゃなく、ちゃんと私達を見てくれていてさりげなくフォローしてくれる所を見習いたいと思う、カガネは初めて出来た同年代の友達……ううん、親友で同じ奥さんで何でも話せる、マオお姉ちゃんは新しく来た奥さんだけど獣耳も凄く可愛くて、一緒に色々お話している内に凄く優しい人だっていうのがわかった。獣耳もふもふしたい。私が龍化しても尻尾は固い鱗に覆われてるから触っても楽しくない。でも、メアルの触り心地は凄くいい。同じ龍族なのに、どうしてここまで違うのだろうか、わからない。フロイドさんは……よくわかんない人……それに私の旦那様を足して、私の新しい家族。とっても楽しい自慢の家族だ。
もう何度も行っているナレリナお姉ちゃんとカガネとの組手を終えた私は更衣室として利用している部屋で、訓練用に使っている自作の木剣を置き、ボロボロになっている訓練着を脱いで下着姿になると、この部屋に置いてある椅子に腰掛けて一息吐く。
「ふぅ~……」
ナレリナお姉ちゃんは本当に強くなっている。剣筋も出会った頃より鋭くなっているし、戦闘感のようなモノも鋭敏になって、最近私といい勝負をするようになった。これから先が凄く楽しみ。カガネは旦那様から指導されて更に魔法に磨きがかかった。多分、本気で戦っても勝てるか分からないくらいに強くなった。サローナお姉ちゃんもマオお姉ちゃんも油断は出来ない程だし、タタお姉ちゃん、ナミニッサお姉ちゃんも少しずつ強くなっている。私もまだまだ頑張らな
「あっ、ハオス―――」
「……きゃー」
考え事をしていると旦那様が部屋に入って来た。下着姿だった事を即座に思い出したけど、旦那様に見られるなら特に恥ずかしいとも思わないし、それに一応こういう時の礼儀として叫べばいいとカガネが言っていた事も思い出したので、とりあえず叫ぶ。ただどう叫べばいいのか聞いてなかったので、ちょっと棒読みのようになってしまった気がする。
「棒読みっ!!いや、その前に隠そうよ!!なんで平然としてんの!!」
顔を真っ赤にして後ろを振り向く旦那様の取り乱す姿が少し面白かった。
「……旦那様に見られても恥ずかしくない」
「そこは恥じらいを持とうよ!!」
むぅ……しょうがない。私はいそいそと服を着た。
「……もう大丈夫」
私が声を掛けると、旦那様がそぉ~っとこちらを振り向いて、私の姿を確認するとほっと息を吐いていた。
「……それで私に何か用?」
「あ、あぁ、専用の武具を作るのに皆の体のサイズを教えて貰ってるんだよ」
「……わかった。また脱ぐのは面倒。脱がせて」
「なんでだよっ!!なんで俺が脱がす事になってるんだよ!!じゃなくて、サイズを教えて貰えればそれでいいんだよ!!」
「……サイズ……測った事無いからわからない。旦那様が測って」
私がそう言うと旦那様は、そう来たか~みたいな感じで天を仰いだと思ったら、何かを諦めたような顔で私の方を見る。
「……自分で測るというのは?」
「……旦那様に測って欲しい」
私は自分の中に湧きあがった欲望に素直に行動する。
「わかった。わかりました。ここでごねると気にしてると思われるし……って!!だから、脱がなくていいからね!!」
もう半分程脱いだのに……
その後は勿論旦那様に体のサイズを測って貰った。私の体を測る旦那様の顔は真っ赤だった事に内心ほっとした。私の体にも欲情してるって事だから。
数日後、旦那様から武具を貰った。 超合金属(オリハルコン) 製の立派な宝飾が施されている鞘に納められている刀で、刀身も同じ超合金属製で、旦那様の「固有魔法:神」によって雷の力を宿している。試しに魔力を流して振ってみると、刀身が雷を帯び、刀の先から雷が狙った場所へ向かって飛んでいった。それが面白くて何度もやっているとさすがに怒られた。鎧は私の体格に合わせて調整された胸や腰にしかない軽装の鎧を用意された。これにも「固有魔法:神」によってある仕掛けが施されている。私の「龍化」に合わせて大きさが変わるようになっていると教えられた。
旦那様からはこれでいいかな?と言われたので素直に感謝の言葉を送っておいた。後でこれらを装備してカガネと一戦交えてみよう。
私はメアルの母・メラル様の案内である一室へと呼び出された。その部屋へと入ると、中ではメアルの祖母・メギル様が待っていて、どうも私を部屋へと招いたのはメギル様のようだ。メラル様が一礼して部屋から出て行くと、メギル様が目を細めて私へと声を掛ける。
「すまないね、呼び出して」
「……気にしてない。状況から察するに私に何か用?」
「あぁ……ちょっと確認したい事があってね……アンタは「龍化」は出来んのかい?」
「……出来る」
「龍になった姿を見せて貰えないかい?」
メギル様の言葉に頷いた私は着ている衣服を脱ぎ、裸になると「龍化」を発動する。別に服を着てても出来るのだが、今との体格の違いで龍化すると服が破けてしまうので脱いだ。発動と同時に私の体が龍へと変わっていく。その体表は私の髪色と同じ緑色の鱗に覆い尽くされていき、瞬く間に私は緑龍へと姿を変えた。これでいいのか?とメギル様へと視線を向けると、メギル様はどこか懐かしいモノでも見るかのような目で私を見ていた。
「……その鮮やかな緑の鱗……そっくりだねぇ……」
……そっくり?
「もう龍化を解いていいよ」
解いていいと言うので私は龍化を解いて人の姿へと戻り、服を着直す。
「……これで終わり?」
「そうだねぇ……終わりと言えば終わりだけど……アンタは自分の祖先の龍の事は聞いてるのかい?」
「……知らない。そういう事を教えてもらう前に両親は……」
「そうかい……嫌な事を思い出させて悪かったねぇ」
「……大丈夫。両親達の事は決して忘れない。それに私にはもう新しい家族が居るから平気」
「確かにそうだねぇ。ワズにたっぷり甘えるんだねぇ」
「……そうする」
「でだ、アンタの祖先の龍の事を私が知っている限りでいいなら教えられるがどうする?聞いてくかい?」
「……教えて欲しい」
お母さんがいつか教えてくれると言っていた私の中の龍の血統の話。こんな所で聞けるとは思っていなかった。知る事が出来るのなら知りたい。そしていつか旦那様との間に出来た子供にもそれを教えていきたい……
「アンタの祖先の龍は約数百年前に存在していた龍でな……」
そう言うメギル様は昔を思い出すように、遠くの方を見ながら言葉を紡いだ。
「その時代は正に暗黒の時代と呼ばれていた時で、世界には強大な力を持つ邪神が存在し、暴虐の限りを尽くしていてな、私達龍族と人族、獣人族だけではなく、邪神の暴虐を許せない者達全てが力を合わせて邪神討伐へと動いていた。その中にはこの世界を創ったと言われている創造神様と5柱の女神様達も居たのだが……それだけの力が結集しても邪神討伐は容易ではなかったよ……それ程までに邪神は強く、また配下の数万の魔物達も強かった……まぁ、最終的には数多の犠牲を出したが、邪神を封印する事は出来て、今の時代に繋がってる訳だが……アンタの祖先の龍はその暗黒の時代に私達龍族の中で最も強かった緑龍さ……それに強さだけではなく、他の者への優しさも持ち合わせている龍族の勇者だったよ……その緑龍も邪神の手にかかり、この世を去っちまったけどね……ただ、その前に緑龍は我が子を残していた……そしてその子がまた子孫を残していき、のちにアンタが生まれたって事さ……アンタの緑の鱗はその緑龍とまったく一緒でね……緑色の鱗を持つ龍はその龍しか居なかったからまず間違いないよ」
「……そっか……なら、私は緑龍の最後の生き残りって事になるんだ」
「そうなるね……」
「……でも、自分の祖先の事を知れたのは嬉しい」
お母さんが私にいつか教えてくれると言っていた事を知れた。
お母さん……私、自分の祖先の事知ったよ……
その後も私はメギル様からその緑龍の事を色々と聞いて、大満足して部屋へと戻った。ちょっと興奮してたので、なかなか寝付く事が出来なかった……