軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

別話11 タタと戦女神

日課となった自己鍛錬を終え、今日のご飯当番は自分でしたので、部屋で1人で献立を模索しているとワズさんの姿が見えました。どうやら誰かを探しているようでしたので、お声を掛けようとすると、私に気付いたワズさんが部屋の中へと入って来ます。

「あっ、居た居た」

「どうかしましたか?」

「ちょっとタタに用があって……」

私に用?一体何でしょうか?私は少し首を傾げて考えます。今日のご飯の献立の内容でも確認に来たのでしょうか?

「……そのぉ……ちょっとお願いがありまして……」

「何でしょうか?」

お願い?ご飯に嫌いな物を入れないでとかでしょうか?だけど、ワズさんはどんな料理も「おいしい、おいしい」と喜んで食べてくれていたような……ハオスイとカガネの前衛的な創作料理は別ですが……

「嫌なら断ってくれていいんだけど、皆の専用武具を作るために動きを阻害しないように皆の体のサイズを聞いてるん」

「どうぞ、お好きにお測り下さい」

私はワズさんがいい終わる前に、一礼して了解の意を示します。

「決断が早いよ!!というか、何故俺が測る前提になってるの?教えて貰うだけで」

「自分の体のサイズ等知りません。なのでワズさんがお好きなようにお測り下さい」

本当は知っていますけど。だって私達はいつでもワズさんの前では綺麗でいたいと思っているので、夜な夜な体の事を皆で相談していますから。主に体重方面で。

「……えぇと……自分で測って俺に教えるというのは?」

「ないです。それに製作者としてその手でどのような形かを確認して知っておくのは大切な事だと思いますが?」

「それを言われると……はぁ……わかりました……俺が測ります……」

「宜しくお願いします!!」

ふふ……昨日少し食事の量を抑えていて良かった……

ワズさんが私の体のサイズを測っています。ワズさんお手製の武具。楽しみです。それにその真剣な目付きを見ていると……ちょっといじわるしたくなります。

「ワズさん……そろそろ脱ぎましょうか?」

「……そろそろ脱ぐ意味が分からないんだけど」

「より正確に測るために、衣服は邪魔ではありませんか?」

「うん、邪魔じゃないから……服は着たままでいいからね」

「そうですか?なら別の事を聞いてもいいでしょうか?」

「何ですか?」

「私の胸はどうでしょうか?」

「……答えなきゃいけませんか?」

「お願いします」

「……大変素晴らしいと思います」

「ありがとうございます」

ふふ、大変素晴らしいですか……これはもう自分の胸は自慢の1つですね。

その後もたっぷりワズさんに自分の体のサイズを測ってもらいました。大変素晴らしい時間でした……ほぅ……

数日後、私専用の武具を頂きました。確かに皆と一緒に鍛えて貰いましたが、未だ私は戦いに対して苦手意識を持っています。正直に言うと怖いのです。魔物相手では苦手意識もそこまで感じないのですが、ただもし人から殺意を向けられると上手く立ちまわれるかわかりません。

私は改めてワズさんから貰い受けた武具へと視線を移します。主用武器となるのは先端に見事な宝飾と巨大な宝石が付いている金属製の杖です。ワズさんの話によると「固有魔法:神」を使って、私が杖を持っている間は結界魔法の強度がかなり上昇するようになっているそうで、戦いが苦手な私向けの守りを念頭に置いた武器です。その杖も 超合金属(オリハルコン) 製で殴打にも充分適しているそうですが、上手く扱えるでしょうか。それと私の身長の半分程の大きな盾も渡されました。こちらも超合金属製で、鍛えられた力のおかげか、持って動く事が出来ます。その辺りも計算して造られたのでしょうか?ただやはり大きいので、普段はメアルの時空間魔法の中に収納されており、私の魔力と意思で手元に出現するそうです。そして防具なのですが、鎧ではなく動きやすさを念頭に置いた丈夫な衣服を頂きました。私と同じ黒色に染められており、上から下までをゆったりと覆い尽くすような衣服で、元の素材はラグニール様の龍鱗をワズ様が糸状にして、宝物庫にあった衣服に縫いつけたと言われました。ワズさんが私のために製作してくれた衣服を嬉しさのあまり、ぎゅっと抱き締めます。

さて、今日は本来ならサローナがご飯の当番なのですが、何やら新しい力を試したいという事なので私が急遽交代しました。調理室で目の前にある食材を眺めながら献立を考えてます。そこでふと、私の新しい包丁が目に入りました。ワズさんが余った素材で作ってくれた包丁なんですが、切れ味が聖剣並にあるそうで、どんな食材もスパスパ切れてとても便利な物を頂きました。そしてその包丁を手に持ち、食材の皮を剥ぎ取り、スープを煮込みながら献立を考えていると、調理室に入ってくる人が居ました。その方は女性で真っ赤な髪、鋭い目付きを持つ顔立ちですが、絵画に出て来そうな美人でしたが、ここで初めて見る方です。

「あ~……ここからいい匂いがするな~」

「えっと、どなたでしょうか?」

「あぁ、自己紹介が先だね。初めまして、「戦女神」です」

「……は、はぁ……」

え?えぇと……確かワズさんが仰っていた自分に加護を与えた女神様達の中にその名があったような……

「あぁ、それであってるよ。その戦女神が私!!」

そしてその女性は神の如きオーラを発して自らの証明を提示します。私はそのオーラを感じて即座に跪こうとしたのですが、戦女神様に止められます。

「いいよいいよ、そういうのは!!そういう堅苦しいの私嫌いだからさ!!」

明るく笑い、私の動きを止めます。その姿は、ワズさんから聞いた女神様達の行動とはかけ離れていると思いました。なんというか、普通にいい女神様のような印象を受けます。

「それで、調理の手が止まってるけどいいのか?」

「あっ!!」

私は戦女神様の言葉で調理途中だった事を思い出し、スープの煮込み具合を確認します……ほっ……大丈夫でした。

「私の事は気にしなくていいから、そのまま調理を続けてくれ」

お相手しなくていいのでしょうか?と思いましたが、戦女神様が「本当に気にしなくていいから」と仰るので、私は一礼してから再び調理へと戻ります。

戦女神様がじっとこちらの様子を見てくるのは気になりますが、それでも私は慣れた手つきで調理をしていきます。すると、戦女神様が私の手元を見ながら声を掛けてきました。

「結局の所、戦いも調理も一緒さ」

「え?」

「戦う事が怖いんだろう?」

「……はい」

どうして見透かされているのでしょうか?神様だからでしょうか?

「調理も最初は怖くなかったか?初めて包丁を握った時とか?」

「……そうですね、指を切るんじゃないかと最初は恐る恐る食材に刃を通していたと思います」

「でも今は怖くないだろ?」

「恐怖心はないですね」

「戦いもそれと一緒さ。今は自分に急に戦える力が宿ったから、それを上手く使えるかどうかが不安で、不用意に相手を傷つけてしまうんじゃないかと恐れているんだろう。要は今握っている包丁を使う事と一緒で自分の力に慣れていけば、自分が望むように動けるようになるよ」

「……そうなれるでしょうか?」

「大丈夫!!戦を司る女神が大丈夫って言ってるんだから、大丈夫だ!!」

戦女神様がどんっと自分の胸を叩きます。その言葉と行動に私は自然と微笑みます。

「……ありがとうございます」

少し自分に自信を持つ事が出来そうです。

「後は心持ち次第だけど、それに関しては本人次第だし、戦う理由なんてのはそれぞれだしな……ただまぁ、これが切っ掛けになって少しでも恐怖心を和らげる事が出来たのなら私も嬉しいよ」

「頑張ります」

「それとこれは私からのプレゼントだ」

戦女神様が私に向かって手をかざすと、ふと私の中に温かいモノが流れ込んでくるような感覚がありました。

「私の加護を付けておいた。頑張ってね」

「はい。ご教授に加護まで……本当にありがとうございます」

私が一礼すると戦女神様は明るく微笑みながら調理室から出て行きました。

少し戦う事に対して前向きになれたような気がします。もう少し自己鍛錬を積極的にしていこうかな……サローナ達にも組手とかお願いしてみよう……