軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

別話10 サローナとハイ・エロフ

翌日、私は朝の自己鍛錬を終え、1人で部屋で休んでいるとワズさんが訪ねてきた。思わぬワズさんの登場で私の心は跳ね上がる。

「ワ、ワズさん。どうしたの?」

「あっ、サローナ。ちょうどよかった。実は……その……大変聞きにくい事なんだけど……」

ワズさんが何やら言いにくそうにしている。可愛い。何だろうか?

「えっと……武具を合わせるために……サローナの体のサイズを教えて貰えないでしょうか?」

……ふむ。私達専用の武具を作るためには体のサイズに合わせて作るのは当然だな。なら、正直に教え……

「わかった。専用の武具を作るのだ。確かに専用となると体のサイズは重要だしな。好きなだけ―――――

測ってもらっていいよ、さぁ」

私は大きく手を広げてワズさんを受け入れる準備をする。

「……いや、教えてくれるだけでいいんだけど?」

「自分のサイズなんて知らないから」

「いやいや、そんな訳ないでしょ?というか、自分で測って教えてくれても……」

「知らないし、自分で測る事も出来ないし、それに触ってみないとわからない事もあるだろう?」

まぁ本当は知ってるけど。

「う、う~ん……本当にいいの?」

「何を遠慮する必要がある。ワズさんは私の夫なのだぞ」

その言葉で覚悟が決まったのか、ワズさんは大きく息を吐くと私の体を上から下までサイズを測りながら形を確認していく。うぅ、こういう時タタやナレリナ程、自分の胸が大きくないのが悔やまれる。

「ワ、ワズさん……その……服も脱いだ方がいいだろうか?」

「いいから!!脱がなくていいから!!素肌に鎧を着る訳じゃないんだから!!服の上から装着するんだから脱がなくていいんだからね!!」

顔も真っ赤にして可愛いし、焦るワズさんも可愛いなぁ。

その後、じっくり丁寧に私の体のサイズを測らせた。ワズさんから触ってもらえるなんて……なんて至福の時間だったのだろう。

それから数日が経ち、ワズさんから私専用の武具を貰った。私に用意されたのは元々この城の宝物庫にあった剣を加工して造りあげた 細剣(レイピア) と、メラルの龍鱗を利用し、私の髪色に合わせ加工した銀色の軽装の鎧であった。もちろん鎧は私の体にぴったり合っている。細剣はワズさんの話によるとどうやら 超合金属(オリハルコン) 製で、ワズさんの「固有魔法:神」によって風の力を宿しているそうだ。

私は貰った武具の調子を確かめていると、ふと爆音が響き、そちらの方へ視線を向けると、ワズさんと龍王・ラグニール様が戦っていた。まさに神々の戦いのような状態に視線を奪われていると、唐突に隣から声が掛けられる。

「ふむ……ラグニールと戦っておるのは、あの無口のでたらめに強い小僧か」

私は咄嗟に剣を構え、声がする方へと視線を向ける。何の気配も感じさせず、隣に居たのは私と同じエルフだった。2mはあろうかと思われる長身の男性で、腰まで届いている見事な金髪、エルフの証明である長い耳、歴戦をくぐり抜けて来たかのような鋭い眼差しに、精悍な顔立ち。緑を基調としたローブを纏っているが、その者から感じる雰囲気は強者そのものだった。というか、エルフである私にはわかる。この者は確かにエルフなのだが、根底がエルフではない。エルフよりも上位の存在だ。

「……まさか……ハイ・エルフ様でしょうか?」

「うむ。その通りである

と、言いたいが違う。私の名は「ルト」。種族は「ハイ・エロフ」だ!!」

「……」

……何を言っているのか理解が出来ないのだが……

「その顔は私の言っている事が理解出来ていないと言う事だな。まぁ、仕方あるまい。まだ私しか居ない種族だからな」

ルトと名乗った者が腕を組み、うんうんと頷いている。

「しかし、久々にエルフに会ったな。こんな山の上にまで来れるとは、そなたもなかなかの強者という事か……いい……実にいい……やはりエルフは実にいい……私のこのやり場のない思いを昇華させる事が出来るのはやはりエルフでなければならない……そなたは、エルフ特有の長い耳はしゃぶりつきたくなるほど綺麗だし、その銀髪は見る者全ての心を奪う程に美しく、その鍛えられ引き締まった肢体は触り心地も良さそうだし、何よりその無駄に大きくない胸は完璧だ。女性は胸が大きい方がいいと言う者が多いが私の嗜好は違う。その者にあった大きさであれば、例え小さかろうが、そんなものはささいな事だ。重要なのは、その胸が自分が触って性的興奮を覚える相手かどうかという事だ。あぁ、だからと言って大きい胸が嫌いという訳ではない。女性の胸は母性の象徴の1つであるし、その胸に包まれたいと思うのもまた事実ではある」

いきなり饒舌に話しだした男に危機感を感じた私は、自然と強く細剣を握る。

「そう身構えるな。どうだ?私と一晩過ごしてみないか?私は夜の探究者を自負している。どうか私の研究成果をその体で昇華させて貰えないだろうか?もの凄く気持ちよくして」

男がワキワキと手を動かしながらにじり寄って来ます。その言葉と行動に私が不快感を感じ、我慢出来なくなって斬りかかろうとした瞬間、男の頬をかすめるように巨大な岩が通り過ぎた。あまりの速度に私も男も反応すら出来ず、その場に立ち尽くしていると、私を庇うようにワズさんが突然現れた。

「テメェ……確かルトとか言ってたハイ・エルフだったな……俺のサローナに手を出してみろ……タダじゃおかねぇからなぁ!!」

俺のサローナ……俺のサローナ……俺のサローナ……

うん。心に留めておこう。絶対忘れない!!

「オイ!!我との勝負はまだついておらんぞ!!」

「わかってるよ~!!今行くから!!……返事は?」

「はい!!絶対に手を出しません!!天地神明に誓って!!」

殺意満々、殺す気が垂れ流しだったワズさんが再びラグニール様の元へと戻っていきます。私を守るために怒り心頭のワズさん……胸が高鳴ります。ワズさんを目で追っていた私が視線を男へと戻すと男は全身にびっしょりに汗をかき、涙目で崩れ落ちていました。

「……キミ……彼とどういう関係なの?」

「将来の妻の1人だが」

「……早く言ってよ~……」

その後、ルト様から話を聞くと、どうやら種族はハイ・エルフであるのは間違いなく、戦闘の才能にも恵まれ、ハイ・エルフの中でも無類の強さを誇っていたそうなのだが、ふとある時に男女の夜の過ごし方に目覚め、その好奇心の赴くまま手当たりしだいに女性に手を出しまくり、自らの種族を「ハイ・エロフ」と名乗った結果、ハイ・エルフの里から追放されたそうだ。そして、巡り巡ってこの山に住みつき、上位存在の1人として君臨していたのだが、過去に調子に乗ってワズさんに喧嘩を吹っ掛け、逆にボコボコにされて今でも苦手意識があるそうで、ワズさんを前にするだけで直立不動になるそうだ。まぁ自業自得なので特に弁明はない。

ただ、それらを聴いた後、どうにか彼の機嫌を直しておいて欲しいと懇願された。自分に害が及ばなかったし、まぁそれぐらいならと了承すると、見事な土下座をされた。そんなにワズさんが怖いのだろうか……

ハイ・エルフなのに……