作品タイトル不明
女神一時帰還
増えていたのは錯覚ではありませんでした。
俺の目の前にはサローナさん、タタさん、ナミニッサ、ナレリナ、ハオスイ、そして……いつの間にか女神様が居ました。
「いつの間に入って来た!!」
「え?ついさっき?」
なんで疑問形なんだよ!!
「……ワズ様、彼女は一体?そう言えば先程の戦場にも似たような方が居たような……」
ナミニッサが俺に尋ねてくる。
「……旦那様の唇を無理矢理奪った人」
ハオスイの言葉に一気に戦闘態勢へと移行し殺意を漲らせる俺の未来のハーレムメンバー達。ハオスイにはブーメランという言葉を教えたい気分になった。
「フフ……この女神たる私に殺意を向けるとは……覚悟が出来てるんですか?」
そう言って女神様がうきうきとしながら何やら構えをとった。両手を上に上げ、片足を上げている。お前も何ノッてんだよ!!
「女神?もう少しまともな嘘をつくんですね」
タタさんの目に光が灯っていない。こ、こわっ!!違った意味で体が震えだしちゃうよ……
「ちょ、ちょっと待った!!それ、そんなんでも一応本物だから!!本物の女神様だから!!」
「「「「「……無理に庇おうとしなくてもいいんですよ?」」」」」
信じてくれね~!!ちょ!!おい女神様!!落ち込んでる場合じゃないぞ!!
「いやいや本当だから!!」
「「「「「えぇ~」」」」」
なんで信じてくれないの?戦いの時は平伏してたんじゃないの?あれ?そういえば、今の女神様からはあの時のオーラのようなものが感じられない。俺は女神様に近付いてこそっと尋ねる。
「……なんか女神パワーを感じませんけど、どうしたんですか?」
「……うぅ……ちょっと封印を強化するのに思いの外、力を使って……」
封印?何のだろうか?聞きたい気持ちはあるが、聞くと厄介事に巻き込まれそうだからやめておこう。
「ワズ様お離れ下さい!!そいつ殺せません!!」
だから物騒な物言いはやめて!!
「と、とりあえず、落ち着いて……本当に女神様なんだよ。一応、色々?助けてもら……もら……」
「ちょ!!なんでそこで詰まるんですか!!私頑張りましたよ!!加護だってバンバンかけたのに!!」
「そうそう!!それがあった。加護かけてもらった!!俺がここまで生きてこられたのも、この女神様のおかげでもあるんだ………………認めたくないけど」
女神様が俺の言葉にふふ~んと胸をはる。そんな女神様に皆ジト目を向けるが、渋々納得はしてくれているようだ。
「……つまり、本物の女神様であると?なら、聞きたかったのですが、ワズ様の髪が今のように白黒になったのも、その辺りが関係しているのでしょうか?」
あっ、そこ聞いちゃう?
「あっ!それ?“神格化”の影響だよ」
「……」
軽く言っちゃうよね!!言うと思ったよ!!だって女神様だもん!!
「神格化?」
ナミニッサが不思議そうな表情を見せる。もう女神様が言っちゃったし、彼女達に隠し事をするのも気が引けるので、ステータスもスキルも俺は正直に話した……まぁ、ほぼ人外みたいなもんだし、これで嫌われるかもなぁ……
「なるほど、ワズさんは桁違いに強いのだな」
「たくましいのですね」
「納得の強さですね」
「一度手合わせをお願いしたいな」
「……鍛えて欲しい」
あれ?皆前向きに受け止めてらっしゃる?
「その顔は私達がワズさんの強さを知って臆するとでも思ったのか?」
「私達の想いは決して変わりませんよ」
「むしろ、包み隠さず教えてくれて嬉しいです」
「あぁ、信じて欲しい」
「……私達は旦那様の未来の奥さん達」
「……ありがとう。受け入れてくれてありがとう」
自然と俺達は笑顔で見つめ合う。泣きそう……
「ちょっと!!私の事を忘れないで下さい!!」
視界を遮るように女神様が俺の前に現れた。いい雰囲気だったのに……
「女神様、先程は疑って申し訳ありませんでした」
ナミニッサが頭を下げ、そう言うと皆もそれに習って頭を下げる。女神様はその光景を見て「わかればいいのよ、わかれば~」と、デヘヘと笑いながら喜んでいた。ちっとも女神っぽくない……
「それで女神様にもう1つお聞きしたい事があるのですが?」
「ん~、何かしら?」
女神様が唇に人差し指を当てながら、こてんと首を傾げる。調子に乗るな。
「ワズ様がもし完全に神格したとしたら、その……寿命とかはどうなるのでしょうか?」
「ん?寿命?そんなのなくなるよ。だって神だもん」
ですよね~。そうなりますよね~。出来れば人として寿命を全うしたいけど、多分無理だろうなぁ……なんか神格化が自分の意思で出来る様になってから、種族%がガリガリ下がってる気がするんだよね。もう人として生きるのは諦めてた方がいいのかなぁ……
「……なくなる……ですか……」
女神様の答えにサローナさん達が暗い表情になる。あれ?なんで?
「はっはーん……なるほどね」
女神様が何かを察したようだ。なんだよ俺にも教えろよ。
「アナタ達の心配は杞憂よ。ワズさんが神格してもアナタ達を眷属にすれば、ずっと一緒に居られるわよ」
「「「「「なら問題ないですね」」」」」
一気に皆笑顔になった。それを心配してたのか……しかし、ずっと一緒に居られるのか……なら神格も悪くないかなぁ……
「それに神格すればいつでも女神たる私と会えるしね♪」
あれ?なんだろう……一気に神格したくない気分になるんだけど……そんな事を思っていると、女神様が再び俺へと振り返る。
「それでは、そろそろ顕現の限界なので私は1度戻りますね」
そうして俺ににこっと微笑む。
「必ず……必ず!!私は戻ってきますので、待ってて下さいね」
そう言って女神様は俺のギルドカードに吸い込まれるように消えていった。
あっ、そこに戻るんですね……