作品タイトル不明
再会
俺の目に写ったのはとてもその場に居る事が信じられない人達だった。
サローナさんにユユナ、ルルナ……
タタさんに猫耳の獣人さん……
ナミニッサにナレリナ……
ハオスイの後ろには見知った顔ばかりである。なんでこんな所に居るの?
そんな事を考えている内に、俺の脳裏に浮かぶのはサローナさんに振られ、タタさんに利用され、急な別れをしたナミニッサ、ナレリナ姉妹の事。忘れたくて……でも忘れられなくて……無理矢理、心の奥底に封じて決して思い出そうとしなかった出来事……一気に蘇ってくる……いつの間にか俺の体は拒否反応のようにガタガタと震えだしていた。や、やばい……ヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤッベェぞヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイ……
に、逃げなきゃ!!体がまだ動く内に……意識が残っている内に……ハオスイがこの場に居るんだから、きっとこの戦いは勝利するはずだ。彼女に勝てるのはせいぜい俺ぐらいのもんだろう。いや、それは言い過ぎか?でもでも、そうとしか思えないし、事実俺に会うまではハオスイは負けなしだったし。ほんと強いね彼女。いや、今は前より少し弱くなってるんだっけ?なら、やっぱり俺もこのまま戦い続けた方が……じゃなくて逃げないと。このまま、この場に居るのはマズイ。ほんとなんでこの場に居るのだろうか。というか皆知り合いなんだろうか?前から友達関係って事?なら俺は全員知り合いの人達に恋心を持ったって事なの?なにそれ?俺すっごい痛い子じゃね?いやいやだから今はそういうのを考える前に逃げなきゃって事で……まさにパニック!!パニックである!!パニックであ~~~~~るっ!!!!!パニックなのであ~~~~~るっ!!!!!パニックさんのお越しなのであ~~~~~るっ!!!!!あっ、ほんとにヤバイ……
更に震えだした体に危機感を覚えた俺は即座に逃げ出そうとしたのだが
「逃げては駄目ですよ、ワズ様」
そんな言葉と共に俺の体を後ろから羽交い締めする人物が急に現れた。そちらへと視線を向けると、いつものように胡散臭い笑みをしているフロイドがそこに居た。
「テメェ、フロイド!!離しやがれっ!!」
「それは出来かねます。皆様、覚悟を決めてこの場まで来たのですから、ワズ様は皆様の想いを聞く義務があります」
「やだぁ!!離してぇ!!」
「ええぃ!!ジタバタしない!!」
「フロイドに犯される~!!」
「危険な発言もおやめ下さい!!」
俺は必死に暴れるのだが、既に体に力が入っていないせいで、フロイドの拘束を抜け出す事が出来なかった。
……あっ、もう……
そのまま抜け出す事が出来ず、俺は意識を失った……
「……ハッ!!」
意識の覚醒した俺はその場から跳ね起きた。額に浮かんでいた汗を拭うと1つ大きく息を吐く。
「ふぅ~~~……夢だったか」
「いえ、夢ではないですよ」
あれ?おかしいな……女性の声で後ろから返答があったぞ。俺は確認するようにギギギとでも効果音が付きそうな程ゆっくりと顔を後ろへと向けるとそこには
タタさんが優雅に微笑んでいた……
ダッ!!ガシィッ!!
「フロイドさんの言う通り、すぐ逃げようとしましたね!!そうはいきませんよ!!」
まだ体に上手く力が入らない隙をつかれて、即座に逃げ出そうとしていた俺の腰にタタさんが即座にしがみついてきた。このまま引き摺る訳にもいかないので俺の動きがそこで止まってしまう。フロイドめぇ!!余計な指示を~!!あっ、また体が震え出そうとしている……ヤバイ、このままじゃまた……じゃない!!未だ周りではハオスイ達を含む穏健派と強硬派の戦いが続いているのだ。どうもデイズに手間取ってるみたいだし、早く手助けしないと……
「……えっと……離して頂けないでしょうか?」
「離してもどこにも行かず、戻ってくるって約束出来ますか?」
「……そのまま旅に出るってのは……」
「却下です。認められません。お願いします。ただ私達の話を聞いて欲しいだけなのです。それでもダメですか?」
タタさんが涙目で懇願するように俺に尋ねてくる。ずるいなぁ……女性の涙はずるいよなぁ……はぁ……
「わ、わかりました!!わかりましたから!!この戦いが終わったらちゃんと話を聞きますから!!逃げませんから離してください!!お願いします!!」
「約束ですよ?」
タタさんが涙目ににっこりと微笑んで俺を見つめてくる。その表情……可愛い……じゃない!!このままだと本当にまた気を失ってしまう。
「約束!!約束しますからぁ!!」
俺がそう叫ぶとゆっくりと解放してくれました。ほっ……まだ少し体は震えてるけど、なんとか戦えるかな……唐突に起こった出来事を考える前に動いたおかげでなんとか気を失わずに済んだ。とりあえず、今は目の前の戦いに集中しよう。彼女達の話は……その時考えよう。多分、倒して欲しい魔物や人でも居るからお願いしに来たとか、そんな話だと思うし。もういいや。所詮俺の人生なんてそんなモンって事だな。
よし、行くか!!
「……えっと……じゃあ……いってきます?」
「はい、いってらっしゃいませ」
タタさんは俺がそう言うと立ち上がり、優雅に頭を下げてきた。まるで夫婦のような……無い無い。それは無い。そんな甘い想像は捨てましょう。そんな事にはならないんだからさ……そういえば俺気を失っている時どうなってたんだ?なんかやわらかいものに包まれていたような……気のせいだな!!
俺は自分の両頬を叩いて、気持ちを切り替えると再び目の前の戦場に向け駆けて行った。