軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

トルクチーム

再び控え室に戻ったアルマークたち。

次はいよいよ、トルクチームの試合だ。

「トルク、順番はどうするんだ」

アルマークがトルクに声をかける。

「もう決めてある」

トルクは無愛想に答えた。

五人の出場選手のうち、女子選手は3番目に試合をするということで固定されている。

必然的に、ウェンディは3番目というわけだ。

残りの四人の男子選手の順番は、学生の自由に委ねられている。

必ず五試合全てを行うが、いずれにしても、先に三勝したチームの勝ちだ。勝つためにやはり重要なのは順番だ。

「アインは目立ちたがり屋だから、真っ先に出てくる。1組でいちばん強いのはあいつだ。だから最初に俺が出る」

トルクが言う。

思わずアルマークは口を挟んだ。

「あれ、アインって先頭に並んでたクラス委員だろ? さっき3組戦の方に出るようなことを僕に言っていったけど」

「あの野郎、またそんなことを」

トルクが顔を歪めて吐き捨てる。

「いつも嘘ばっかりだ、あいつは。お前に言ったことが本当かどうかも分からねえよ」

「そうなのかい」

アルマークは驚いた。

「トルクには昔勝ったって言ってたけど」

「あいつに負けたことなんかねえよ」

トルクは首を振る。

「そもそもあいつと同じクラスだったのは一年のときだけだ。まともに試合なんてやってねえ」

「でも、強そうだったぜ」

「弱くはねえだろうな」

トルクは答える。

「だがウォリスやお前ほどじゃねえ。今の俺なら問題なく勝てる」

「そうか……」

アインという学生のことがますます分からなくなる。

だが、今はそんなことを聞いて試合前のトルクたちの邪魔をしてはいけない。

「分かった。アインが出てこようがこまいが、君が一番だな、トルク」

「そういうことだ」

トルクは頷いて、気を取り直したように続ける。

「二番手はガレインだ」

ガレインが頷く。

「ガレインは待たせ過ぎると勝手に疲れちまうからな。元気なうちに出てもらう。頼むぜ」

「ああ」

ガレインが自分の胸を叩く。

「任せてくれ」

トルクは小さく頷いて、続ける。

「三番目がウェンディだ。頼むぜ、ウェンディ。お前の勝ちは計算に入ってるんだ」

「うん、任せて」

ウェンディは笑顔で返事をする。

「相変わらず緊張感がねえな」

トルクの言葉にウェンディは、そんなことないよ、と首を振る。

「私の相手はエメリアかアリアでしょ。本気でやらないと負けちゃうもの」

「まあ正直、ウェンディの心配は俺もしてねぇ。いつもどおりで頼む。と、ここまでで三勝できてりゃ言うことなしだ」

トルクは、残ったデグとピルマンを見る。

「誰かが落としたら、お前らにかかってくる。四番目がピルマン、最後がデグだ」

トルクは、二人の肩をそれぞれ叩く。

「頼むぜ」

「うん」

「分かった」

二人が頷く。

「よし、行くぞ」

トルクは先頭にたって部屋を出ていく。

もう、アルマークたちの方は振り返らない。

その後ろにガレイン、ウェンディ、ピルマン、デグと続く。

「頑張って」

アルマークが声をかける。

ウェンディはアルマークに向けて、握り拳を作って見せた。

トルクたちが去ってからすぐに、試合場の方から大きな拍手が聞こえてきた。

アルマークたち残りの選手も、間を空けて試合場に向かう。

試合場の、選手用に設けられた応援席に入ると、試合場の中央には既にそれぞれのチームの五人ずつが向かい合って整列しており、観客はそれに大きな拍手を送っていた。

「トルクの前にいるの……アインじゃないね」

アルマークの言葉に、ネルソンが頷く。

「本当だ。アインのやつ、やっぱり出てないな」

ネルソンの言うとおり、並んでいる五人の中にアインの姿はない。

どうやら、本当にアルマークに言った通り3組戦にまわったようだ。

「トルクの相手はフィッケか」

ネルソンがトルクの前に立つ少年を見て、顔をしかめる。

「まあ、あいつはあいつで厄介なんだけどな」

「そうなんだ」

「すごくやりづらいんだよ、あいつ」

そんなことを話しているうちに、他の選手たちが下がり、試合場にはトルクとその相手となるフィッケだけが残った。

がっしりとした体格のトルクに対して、フィッケは背こそトルクにひけをとらないものの、その四肢はまるで女子のように細い。

四肢同様に細い線のような目が、いつも笑っているかのように目尻で垂れ下がっている。

「トルクー!!」

観客席の最前列からノリシュたちの声がする。

「あいつら、あんなところにいたのか」

ネルソンが呟く。

「お、始まるぜ」

審判を務めるボーエンが、ゆっくりとした歩調で二人に歩み寄っていった。

口頭でいくつか注意したあとで、ボーエンが軽く手を挙げると、場内に女性の声でトルクとフィッケの名前が紹介される。

二人が紹介に合わせて頭を下げると、観客席から拍手と声援が送られた。

ボーエンが改めて、二人に剣を構えるよう命じる。

二人は剣を持ち上げ、それぞれの剣先を合わせた。

それが合図だったかのように、観客席が一斉に静かになる。

「はじめ!!」

武術場全体に、ボーエンの声が響いた。