軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

ガキの遊びって、たまに本気でイミフ……

「キシシ、聞きましたか?」

「王都で最近開発された、人が操作しなくても映像を記録する技術のことですわね」

会議室にてキツネ顔と高飛車女が、テーブルを挟みながら会話をする。

「えぇ、ダンジョンから発掘された遺物を解析して実用に至ったようですね」

「オホホ、それはなんともダンジョンにとって有用そうな技術ですわね」

キシシ、オホホと世間話のように会話をする班ダン長たち。

「それで、昨日の話の続きですが」

「えぇ」

そしてそんな会議室の端の牢屋でガタガタ作業している幼女が二人……。

どーも私です。

もぉ〜、今日は会議なら早めにいってよね〜。こっちだって予定があんだからさ〜。

予定ってのはアレよ。ダンジョンの休憩室で『幼女ショップ』の開店準備。

んで今は幼女ちゃんの開けた穴に走らせる、トロッコの組み立て中よ。チラチラとみんな私達の工作を見てくるけど、話しかけてこないから無心で作り続けているよ。

たぶん、ただのお遊び工作とでも思ってんじゃない?

唯一、若造兄ちゃんだけが汗をかきながらガン見してくるけどな! お前はこのトロッコが爆速で走ること知ってるもんね。

「……客……いる?」

パーツDを組み立てながら幼女ちゃんが私に話しかけてくる。今日のパーツはちと複雑で面倒だな……。

「ん〜……んにゃ、今のところいないねぇ。一ヶ所休憩してる冒険者はいるけど『客』にはならなさそう……」

なんで私にそんなこと分かるのかってのは、

【ガチャっとガーディアン】

監視カメラを生成する能力

この能力を使っているからだよ。

久々だからこの能力の簡単な説明でもしておこうか?

実は今までもチョイチョイ使ってたんだけどね。灯台拠点とかさ。

まぁ能力名の通りなんだよ。文字通り私にしか認識できない監視カメラを設置する能力だ。

制限としては、生み出せるカメラの数は五つ……なんだけど500ネルス、約5000円のお金を消費することでカメラを一基増やせるんだよねこの能力。

そこで幼女ちゃんと話し合って、追加で五台を生み出せるようにした。まぁ2500ネルスはちと懐に痛いが、投資だね。

「これで私は合計10台のカメラを設置できるようになったことになる」

その10台のカメラをダンジョンの休憩室に設置して、 冒険者(客) がいるかどうかを、この牢屋にいながら確認できるようになったってワケよ。

「さぁ〜らぁ〜にぃ……」

この能力は『監視カメラを生成する能力』であって、設置さえしてしまえば能力を外しても映像を確認できる嬉しい機能があるんだよね。

最初はリソースが足りなくて出来なかったけど、私の能力は長く使ってると、ほんの少しづつパワーがあがる……というかリソースを稼げるからバージョンアップをした。もともと構想もあったしね。

「……ぬ、客はいないか。ならば買い出しもしたいね」

「あ〜、とりあえずポーションの補充?」

「……潰しが効きそうなのはそんなところ。いくつか効能の違うポーションを買い揃える」

幼女ちゃんの言葉に私は頷く。

ふむふむ、やっぱポーションか……。冒険者がダンジョンに入って、必要だけど切らす物ってそこら辺よね。

物資の補充はアレよ。ショッピングモールの自動販売機に売ってある物を購入してきてる。たぶん冒険者が探索前に買う場所なんじゃねぇかな?

このポーションがウチの目玉商品だね。

つーのも、ポーションってさ……意外とデカい……。

いや、小さいのもあるんだけど、値段が跳ね上がる。そして安いのはデカいんだよ。大体一リットルのペットボトルくらいあるからね。

そりゃ冒険者は何本も持ち歩けんわ。

だからポーション切らして休憩している冒険者に売りつけてるワケ!

「……いちおうショッピングモール近くまで穴は伸ばしたけど、塞がるのも早そう」

「おっと、なんかアッチは硬いんだっけ?」

どうやら幼女ちゃん、穴掘りにもだいぶ慣れたらしく、凄まじい勢いで穴を掘れる。なんならトロッコを走らせながら掘れる。

ただし、ヒビがどうたらで、何処でも穴を掘れるワケでもないようだ。

そして、ショッピングモール辺りは硬いらしく、せっかく掘った穴も塞がるのが早いとか。なんでも、アッチは『よく出来てる』らしい。

「……客の見極めはまかせる」

「う〜ん、分かったけど完璧に見極められねぇからね。こちとら営業マンみてぇに数をこなすってワケにもいかないから」

客になりそうかどうか、交渉できそうかは私の判断だ。いうてあんまり目立つマネもできないだろ? そして相手が物資を欲しがってるかどうかも、私の予想でしかない。

「そうなってくると、客の見極めって難しいのよ……」

ほれ、私らって子供だろ? 普通に考えろよ……誰が子供から物資買おうと思うよ……。

だからさぁ、追い詰められて困ってる相手が私らの客になり得るのよね。子供の私達にすら、すがるくらい困ってる相手。

さっき一組冒険者がいるけど客にならないって言ったのは余裕がありそうだからだね。

でも、監視カメラで冒険者の会話を聞いて狙い目はちょっと分かった。セーフティゾーン近くの簡易セーフティゾーン……。

このダンジョンにくる冒険者は、基本セーフティゾーンとやらを目指している。『あと少し』ってところでポーションが切れてたら、私達の提供するポーションを買う可能性があるよね。

ってことで、そこら辺の休憩室(簡易セーフティゾーン)にカメラを設置してある。

若造マップをコピーしたからダンジョンの構造も分かる。条件に該当する簡易セーフティゾーンは簡単に見つかったよ。サンキュー情報ガバガバ若造!

「よし、こっちのパーツ完成! そっちも出来たようだね!」

「……できた。合体させよう」

はい、パーツA B C Dを合体! そしてエンブレムをペタッとな!

牢屋でトロッコが光り輝く。

そして、金属トロッコが現れた。今日のトロッコ完成!

「ふぃ〜、今回はちょっと複雑だったね。簡単な組み立て説明書引くまでガチャすべきだったかな?」

「……まぁ、そんなに時間もかからなかったからいいんじゃない?」

そだね。

「「「「「………………」」」」」

うん、ゴメンて……。

大人どもが全員、なんとも言えないような微妙な顔でコチラを見ていた……。

会議中に部屋の隅っこで、神様でも召喚されそうな光を放ってたら気になっちゃうよね。だからみんなしてコッチをみるのは止めろ! 気にすんな!

「……キ……シシ、それは……なんですか?」

おっと、いつもなら若造兄ちゃんに任せきりにして、いない物として扱うクセに、キツネ顔が堪らず話しかけてきやがった。流石に許容量を超えたか……。

「オモチャです!」

「……」

「オモチャデス!」

「…………そう……ですか」

ヨシ! 黙った!

「それは……どう遊ぶんですの?」

おっと、今度は高飛車女かよ……。

お前らそんなに気になるんなら、わざわざ会議室で会議すんなや!

お前らアレだろ、本当は会議室で集まらなくても、話し合いくらいできるだろ! それぞれのダンジョンからリモート会議できるの知ってるからな。

だって『昨日の続きですが……』とか会話の中で言ってたの聞いたもんね。昨日はココに集まってねぇし!

たぶん、実際に顔を突き合わせる理由でもあんだろ。

まぁ間借りさせてもらってんのはコッチだしね。しょうがねぇ答えてやるか。

でも流石に脱走してからの乗り物なんて言えないから誤魔化すけどねッ!

「これはですねぇ〜、こう遊びます!」

私はトロッコをモードチェンジさせて、レバーハンドルを出す。

「フンッ!」「……セッ!」「フンッ!」「……セッ!」

「「「「「…………」」」」」

「「フンッ! セッ! フンッ! セッ!」」

私達は二人でレバーを漕ぎ始めた……。

「「フンッ! セッ! フンッ! セッ!」」

会議室で幼女二人の掛け声だけが元気よく響く。

「「「「「…………」」」」」

うぉおおーー! 溜めろエネルギー! 溜まるぜエネルギィイ!!

「はぁはぁはぁはぁ……いい汗かいたぜぇ〜」

私は肩で息をしながら、フラフラと鉄格子まで歩いて握ると、親指を立ててニカっと爽やかな笑顔を高飛車女に向けた。

「こう遊びます!」

「……」

高飛車女は、どう答えればいいのか分からない顔をしている……。

「こう! 遊び! ます!」

「「「「「…………」」」」」

どや? ガキの意味わからん遊びって反応に困るやろ。

「うふふ、面白そうでしょ〜!?」

私の曇りなきマナコを受けて、高飛車女は周りの部下を見渡すが、部下は視線を逸らした。

高飛車女は裏切られたような顔をしていたが、私の視線に耐えられなくなったのか、下を向いて呟いた。

「…………………………うん」

よし、なんか勝った!