軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

子供騙し(そのままの意味)

幼女三人、階段下ってエッチラオッチラ。

どーも私です。

雨が森の木々を叩く中、皆様どの様にお過ごしでしょうか?

私は『人工ダンジョン』に横穴ぶち開けて侵入を試みている所でございます。

ってことでねぇ……領域畑から地下に広がる『人工ダンジョン』に向かって階段作ったんだ〜。そして階段の終着地点で私たちを待ち受けていた物はなんと!

ビックリするぜぇ……。

「……オバケ姉ちゃん、行き止まり……」

無機質で真っ平な地面!

「い、いや違うんスよ。この下だからこの下!」

「ダンジョンに通じてるんじゃなかったの?」

三つ編みちゃんが疑いの目を向けてくる。

や、やめてくれ。そんな痛々しい表情をするんじゃない!

ちゃうねん、ちょっと言い訳させてぇーや。

階段の下は行き止まりに見えるけど、間違いなくすぐ下にはダンジョンがあんのよ。

じゃあなんでさっさとダンジョンに階段をつなげねぇのって話なんだろうけど。

「ここからは手掘りでお願いします……」

階段をダンジョンまで繋げるの……エネルギー的にキツイんだよね。

だって人工ダンジョンって他所様の土地であってぇ、私の領域畑じゃないから穴を掘れないんだよ。と言うか近づくにつれて穴を掘るエネルギーも跳ね上がっとるわ。

「ってことで、おねぇちゃんや……これどーぞ」

「え、掘れってこと?」

三つ編みちゃんにシャベルを渡して二人で地面をザックザック……おう付いてきたんだから働けやガキ。

おい白髪! 階段に腰掛けてサボってんじゃねぇーぞ!

そして掘る事しばらくして、腕にカチンという感触が伝わる。

「おん? ……金属板か」

あーね。

どうやら地下の人工ダンジョン……金属で覆われたダンジョンのようだね。

「……どうするのオバケ姉ちゃん」

「あ〜……ん〜…………ちくしょう結局かよ……大赤字じゃん」

後ろから覗き込んだ幼女ちゃんを尻目に、私は地面から出てきた金属板に触れる。

まぁ普通に考えて、シャベルで金属板を掘るのは不可能よ……。でもね、一応何とか出来るんだよねぇ。

私達のいるこっち側は『領域畑』、そして向こう側は『人工ダンジョン』。つまり他人の土地だ。

領域畑は、他所のダンジョンに作ることが出来ないから掘ることもできない。

でもね……『領域エネルギー』を消費して一時的に接触面に干渉することはできるわな。

いわば人工ダンジョンと領域畑の綱引きだ。

つまりは表面だけ私の領域畑に近づけると……。

「消費半端ないな……」

ボコっと金属板に穴が空き、向こう側が現れた。

ちとゴリ押しだからね。領域エネルギーをゴッソリ持ってかれた。

でもなんとか開通したみたいだね。

あんまり強いダンジョンじゃないのかな?

「……こうじょう?」

「本当にダンジョンなの?」

「ん〜、そだろうねぇ」

向こう側は、暗い金属の通路……何だか機械工場のスタッフ用通路っぽい。そして、私達の開けた穴は天井に繋がったらしい。

今は金属通路の天井から三人の幼女が顔を突き出してる感じやろね。

降りてみっか。

私は穴から飛び降りると、空中で翼をバッと広げてゆっくりと着地した。

天井から下まで三メートルくらいかな?

私は翼で降りてこれるけど、あの二人にはちょっと厳しいかなぁ?

「……くらい」

「なんだか静かだね」

とか思ってたら二人とも穴から飛び降りて、シュタっと着地してた。

あ、うん。二人とも運動神経いいね……。

全員降りて帰りどーすんだよ。

まぁいいやなんとかなるだろ。

むー、なんか妙な感じ……たぶん領域畑とダンジョンを近づけすぎた影響かな?

少しだけ隣接部分から情報を抜き取ってんのか、そんな感じがする。

空間は歪んでねぇな。

私が前に作ったダンジョンは、空間をガンガンに歪めてたけど、このダンジョンはそんなことなさそう。

だからこそ、天井に穴が空いたんだろうし。

これが空間の歪んでるダンジョンだったら、空中に穴が空いてたかもね。

「思ったより地味だね……」

他の二人も壁を触ったり、各々が人工ダンジョンに思うところがありそう。

「……ぬ」

幼女ちゃんがパイプ端末を壁に向けて首を捻る。

「……人工ダンジョンに間違いないね」

ほほう、やっぱり人工ダンジョンか……。

誰かが作ったダンジョンなんだろうけど、思ったより閑散としている……というか無機質だね。

「……もしかしたら……持ち主なんていないのかも?」

「おん? 人工ダンジョンなんでしょ? 持ち主いないなら天然ダンジョンなんじゃないの?」

幼女ちゃんは、自分の持ち物から天然コアを取り出す。その顔は、ほのかに光るコアで照らされて不気味に見えた。

「……すこし調べたんだけど、そもそも人工ダンジョンと普通のダンジョンは核が違うんだって。……自然に出来たのが天然ダンジョンなら、人工ダンジョンは人工コアを使って作られた物」

一緒じゃねぇの? つまりどーゆーことよ。

「……何らかの理由で、人工コアが打ち捨てられた所にできる……自然の人工ダンジョンもある」

「ごめん、意味分からんわ」

「……このダンジョンに持ち主はいないかもしれない。こういうのは放っておけば自然消滅する……らしい」

あ、そこに戻ってくんのね?

まぁ分類の話であって、私には関係ねぇわな。重要なのは持ち主がいないってことか。

さて……と、まず見えるのは金属で組んである上に登る階段。地上に繋がってたりすんのかな?

でも、途中に扉があるから普通だと進めなさそう。

となると……

「普通に通路進んでみるか」

カツンカツンと金属通路を進んでみると、広い空間に出た。

天井が高い円形の空間。

その中で、一際目を引く物体があった。

「でっけ、なんじゃありゃ」

私は目を細めて口を開いた。

その空間は中央が、すり鉢状になっており、外側から中央に向けて下がっている。

そしてそのクレーターのような中心に、直径四メートルほどの光る球体が浮かんでいた。

「……人工コア」

横に立つ幼女ちゃんが目を光らせて呟く。

ふむぅ? さっきから幼女ちゃんの言ってる『人工コア』ね。

幼女ちゃんの持ってるものが天然コアなんだから、何となく言いたいことはわかる。

しかし……人工コアの方が、こう……なんて言うか非物質的なんやね。小ちゃい太陽みたいだわ。

そしてそれを言い当てた幼女ちゃんと言えば、眉間に皺を寄せて不機嫌そうだ。

「……チッ……はずれ」

あらま、お気に召さなかった様で。

ふむ、うっかりダンジョンの重要な場所にショートカットしたのかと思っちゃったんだけど……ちげぇな。

私達のやってきた通路以外に、この広場に続く道がない。

つまり……

「何もねぇなこのダンジョン……」

一つの通路とコアの置いてあるこの広場だけのガッカリダンジョンだわ。

「……帰ろっか」

「……うむ」

「え!? これだけ?」

だってこれ以上、見るもんねぇんだもん。

それにさ……

「おねぇちゃん……悪いけどあんまり長居できねぇわココ。ダンジョンが修復しようとしてんのか知らんけど、開けた穴をふさごうとしてんね」

「すごくマズイねぇ! はやく言ってよ!!」

開けてる穴を維持するだけでドンドン領域エネルギーを消費しちゃってるわ。

そして慌てた三つ編みちゃんが通路を引き換えそうとして……ヘタリと座り込んだ。

「おねぇちゃん?」

引き攣った顔で座り込む三つ編みちゃんが指差すのは、私達がやってきた通路。

その通路に――

「うわぉ……お、お見送りかな?」

なんかデッケェ熊がいるんすけど……。

帰り道塞がれたわ!!

――――――――――――――――――――――

熊は通路から動かないで、私たちをジッと獰猛そうな目で見ている。

あー……ヤベぇ。これダンジョンのモンスターやろ。

侵入者があったら出現するようになってたんかね?

「……わたしにいい考えがある」

幼女ちゃんが真剣な顔をして呟いた。

………………一応言ってみ?

「……ひとりが囮になって――」

「じゃ、テメェな」

黙った。

「……冗談じゃん」

「そんなん良いから案を出さんかい」

「なんでキミ達そんなに落ち着いてられるのさ……」

まぁダンジョンって初めてじゃないからね私ら。しかし、どうしようね。

襲ってはこないみたいだけど、帰れんぞこれ。

幼女ちゃんは、目を赤く光らせて壁なんかをキョロキョロ見渡す。そして煌々と光る人工コアを指差した。

「……アレに触れられたら……一時的にダンジョンを無力化できる」

「なるほど流石幼女ちゃんだね。ところで、どうやって行く?」

いつのまにか、クレーターの中に犬型モンスターが現れとりますがな……。

よだれをダラダラ垂らしたドーベルマンのようなモンスターが、五匹ほどクレーターの中からコッチを見ていた。

クレーターに足を踏み入れたら襲ってくる感じですかね?

前門のドーベルマン、後門の熊……詰んでね?

コアに行くって言ったって、近寄ったら絶対襲ってくるだろアレ。

幼女ちゃんが私の服をグイっと引っ張って、コアに向けて顎をしゃくる。

「…………とべ」

「飛べ? あぁ、そう言うことね」

私が幼女ちゃんを連れて、コアまで飛べば良いのか。

幸いなことに、すり鉢状だから滑空でも犬に襲われずにコアまで行けるだろう。

「え、本当に行くの? そんなの危ないよ!」

「あ、新鮮な反応。まぁおねぇちゃんよぉ。見てなって。私らこう言うの慣れてるからさ」

「そ、そうなの?」

私は背中から蝙蝠の羽を出して、幼女ちゃんを羽交締めにする。

行くぜッ!!

「フライィィングあぁぁぁぁぁぁ…………」

そして二人して顔面からスゾゾゾゾとクレーターに滑り落ちた……。

「シームレスに落ちた!?」

三つ編みちゃんは、目ん玉でも飛び出そうな顔で、無様に落ちていった幼女達を見て驚愕の声を上げる。

「イテテテテ!!」

「……何してんの!! オバケ姉ちゃん!!」

「重みぃんだよ!! おデブがよぉっ!」

「……それ以前だよ!! 全く浮遊感なんてなかった!!」

ちくしょう、重量オーバーだわ!

幼女とは言え、二人で飛ぶパワーなんて現状なかったか!

そして……。

「あ、アハハ、どうもお邪魔してまぁ〜す」

「……ヤッベ」

クレーターに侵入してきた私達に、「おらぁん? ウチのシマでなにやっとんねん」とばかりに、ゆっくりと歩み寄ってくる犬型モンスター……。

「……ど、どけぇ!!」

「暴れんじゃねぇぞ白ガキぃ!! お前の体に手が巻き込まれてんだよ!! お犬様に腕の一本でもご馳走してこいや!」

「……ぬかすわ! おまえの腕を差しだすがいい!!」

焦った私達は暴れたせいで、身動きが取れない。

そんな光景を見た三つ編みちゃんは、頭を抱えて絶叫した。

「蠱毒の虫より仲間意識がない! 慣れてるとは何だったのさ!!」

「おい、そこの三つ編みのガキ!! 私たちを引き上げろぉ!!」

「……今助ければ命だけは見逃してやるぞ!!」

「み、醜い!! こんなの助けたくないっ!!」

「ヤッベ、三つ編みちゃん嘘だよ〜!!」

「……あ、 姉(あね) ぇ! 可愛い妹がピンチぞぉ〜!」

「うわぁん! 擦り寄ってきたぁ! これ以上私に人の卑しさを見せつけないでよ!」

……パニックである。

三つ編みちゃん、私達を助けるかクッソ迷ってら。

あの表情は、『こいつら、ここで見捨てた方がいいんじゃ……』って顔だ。

そらそうだ! 訳のわからん存在の私らを始末できるなら、私でもそうする!

「ど、どうするよ幼女ちゃん! このままじゃ!!」

「……うん、このまま……わたしたちが帰らなかったら……」

でもねぇ……オメーはやっぱりガキなんだよ……。

「「……家に仕掛けた爆弾が爆発しちゃう」」

「……」

「……」

「…………はぁッ!?」

マジでビックリしたのか、三つ編みちゃんは顎が外れそうなほど大口を開けた。

「う、嘘だよね?」

「どうだろねぇ?」

「……ためしてみるか?」

「嘘だぁ!!」

ニヤニヤ笑う私達に、三つ編みちゃんは懇願するように聞いてくる。

はは、もちろん嘘だよ。

爆弾なんて仕掛けてないし、持ってもない。

けどね。現状のキミにそれを確かめる術はないよ。

ほんと、交渉とは名ばかりの子供騙しだろ?

でもね。

「ッッッ――うぅ!!」

頭を抱える三つ編みちゃん……。

「ど、どチクショーー!!」

お前子供なんだよねぇ!

子供騙しなんだから、ガキを騙して何が悪い。

大人しく私達を助けろっ!!

有りもしない商品に踊らされなぁ!

クレーターを滑り降りてきた三つ編みちゃんは、私達に襲い掛かろうとしていたドーベルマンを、シャベルでフルスィング!

おお強いぞ、おねぇちゃん!

殴られたドーベルマンは、一度地面でバウンドすると態勢を立て直して向かってくる。

「帰ったら!! 爆弾の場所教えなさいよね!!」

「あだッアダダダダ!!」

「……アババババ!!」

三つ編みちゃんは、私達の服を掴んで引き摺りコアに目掛けて爆走する。フィジカルたけぇな!! この子!

そしてすかさず幼女ちゃんがコアに触れると、ズゥゥンとブレーカーでも落ちるような音がして、広場の明かりが少し暗くなった。

それとともに、私たちを追っていたドーベルマンが溶ける様に消え、通路を守っていた熊も消え去る。

ん? ……今なんか変な感覚したな。

まぁええわ。

「おっしゃ!! 二人ともよくやった!!」

「……お先」

というのも束の間……白髪のガキは私達に目も触れず走って逃げる。

「ちょちょちょ! 幼女ちゃん!? もう大丈夫なんじゃないの!」

「……いちじてき! コアを霧散させたけどすぐに再生する!」

「はよ言えやテメェ!!」

「……言った!」

「「「うわぁアア!!」」」

私達は走ってクレーターを登り、通路に入る。

その後すぐに地面から熊が生えた……。

「うわーー!! どうするのどうするの!?」

「熊が再生しおったぞーー!!」

「……はしれ!!」

はい、現在の順番ですが……一位三つ編みちゃん。

少し離されて幼女ちゃん。最後に、どーも私です。

私の後ろからドッスンドッスンと熊の足音が聞こえるわ。

そしてゴールの出口が見えて来ました!

あ、出口天井なんだけど……どうしよ……。

「ふんっぬ!!」

とか思ってたら天井の穴の下で三つ編みちゃんが、手に持ってたシャベルを突き立てる。

そしてジャンプした彼女は、持ち手に飛び乗ると穴に向かって飛び上がった。

「……ぬぅん!」

そしてシャベルが重力に従って倒れるより先に、幼女ちゃんが同じ様に持ち手に足を掛けて飛び上がる。

コイツら運動神経どうなってんだよぉ!!

そしてカランと倒れるシャベル……。

「私はーーー!!?」

いや、同じ事やれって言われても出来んけどさぁ!!

クソッ、穴の下でジャンプして翼を広げる。

そして……

「フンフンフンッ!!」

私はフラフープを目一杯回した……。

徐々に上昇を始める私の体……そしてズンズン迫ってくる熊!

「うぉおおお!!」

上昇おっそいんですけど、この能力!!

そして、熊の爪が宙に浮かぶ私に掛かろうとした瞬間……。

天井の穴から伸びてきた三つ編みちゃんの腕が、私の髪を掴む。

「イテテテテ!!」

そして強制的に引き上げられた。

「うひぃいいい!! お邪魔しましたぁ!!」

私は上を見上げる熊と目が合いながらも穴を塞ぐ……。

「「「はぁはぁはぁはぁ」」」

それを見届けた後、私達はグッタリと塞がれた地面に横たわった。

パニックで忘れてたけど、ジェットブーツ使えばよかったじゃん!

「つ、疲れたよ……」

「ま、まぁまぁ、無事に帰れてよかったねぇ? おねえちゃぁん」

「……しゅうかくなし」

そだね。

特に収穫のないダンジョンだったわけだ。

でも物は考えようだよ。

収穫のないダンジョンだってことが分かったからさ。

その後、私達は息が整うまで寝転がっていた。

そして階段を塞いだ後、家に戻った。

「もうこりごりだよ……」

「スリルはあったでしょ?」

「まぁ……確かに。非日常は感じられたかもね」

三つ編みちゃんも、暇潰しくらいにはなったんじゃね?

――――――――――――――――――――――

「爆弾なんて、何処にもないじゃない!!」

当たりめぇだろ……ありもしない物に脅される方が悪いよ。少し考えれば分かるだろ。

まぁいい経験になったでしょ?

ねぇぇ……おねぇちゃぁん。