軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

入り口がなければ作ればいいじゃない

「ふむ、人工ダンジョンねぇ……」

さすがに意味は分かるわな。

おそらく私達が今まで、負け犬について行ってたダンジョンは、天然ダンジョンだったんだろ?

そして今この家の地下にある物は『誰かが作った』ダンジョン……。

「つまり持ち主がいるんだ……」

まぁいいや、それは置いておこう。

問題はこの辺りの地下に人工ダンジョンがあって、誰が何の目的で作ったか……。

「ん〜、どうすっべ」

ほっといてもいいけど……。

「……」

「気になるかい?」

さっきから無言で熱烈な視線を送ってくる白髪幼女がいるんだよね……。

「……すこし」

「あらま珍しく積極的じゃない。別にいいよ見に行っても」

まぁ見に行くって言っても、気になることが一つ。

「入り口どこだろうね?」

「……しらん」

うん、地下にあることだけは分かるけど、どこから行くなんて分からんからなぁ……。

まぁ考え付くとしたら。

「掘ってみる?」

「……正気かな?」

「だって入り口なんて分からんじゃん。あるのが分かってんなら下に掘れば辿り着くんじゃね?」

「……たしかに」

「入り口探すなんて無駄なことするんじゃなくて、ココ使わなくちゃぁ」

「……頭使ってない……だいぶ力技ぞ」

ままま、そんじゃ行ってたみようか。動くなら夜よ。

スキマからクローゼットに出て扉を開ける。

ふむ、三つ編みちゃんはもう寝てるみたいだね。

起こさないように部屋を出て階段を降りる。あらかじめ玄関に作ったスキマを超えて外に出ると……。

「降ってらぁ……幼女ちゃん明日にしない?」

「……終わったら風呂に入ればいい」

へぇ〜い、まぁ雨は弱くなってるし、何なら外に出るチャンスかもね。

まずは家の横側に回ってガレージを開ける。どうやら魔力由来のシステムのようで、幼女ちゃんが壁に触れると開いた。

中にはピカピカの車とか色々な物が置いてある。

「ん〜おっ、シャベルあったよ〜」

「……これで掘るのか」

子供が扱うには少々大きいけど、まぁ持ってくか。

家の裏手に回って少し歩く。

割と田舎な土地だからね。なんか庭って言うか森と一体化したような庭なのよ。

人目を避けて私達がここら辺に隠れ住む理由分かるでしょ?

「ほんじゃ掘るかあ!」

「……しょうち」

「えっさ!」

「……ほいさ」

「えっさ!」

「……ほいさ」

ザックザックと土を掘り進める私達。

小雨の降る中、ただひたすらに土を掘り進める。どれほど掘っていただろうか……。

私達は示し合わせたように頷き……

「むり」

シャベルを投げ捨てた……。

「はぁはぁ……」

どんだけ時間掛かんだよ馬鹿か私達は!

幼女二人が協力して掘り進めた深度! 膝下です!

ベチョっと汚れるのも気にしないで地面に横たわる。

「ねぇ幼女ちゃん。諦めね?」

「……ぬぬぬ」

納得いってませんかぁ……こだわるねぇ。

とか思ってたら、横で転がってた幼女ちゃんの首がグリッとこっちに向かれた。

ウヒィ! 急にそんな行動とんのやめーや。タダでさえお前、無表情で気味が悪ぃんだから心臓によくねぇんだよ。

ジーっと私を見ていた幼女ちゃんは、四つん這いで私の元まで来ると、疑ってような……責めるような目で見てくる。

……な、なんだよ。人工ダンジョンに行きたいのはオメーであって、私は協力しただけだろ? 責められる筋合いはないね。

「……オバケ姉ちゃん……どうにかして」

「どうにかって、キミは私のこと、何でもできる天才美少女だと勘違いしてないかい?」

「……してない」

そ、そう。してないんだ。ちょっと傷つくね。

「……オバケ姉ちゃん。なんとか出来るでしょ」

「……」

ん〜、いかんな。

「なぁ〜んでそう思ったのかな?」

「……なんとなく、方法はあるけど隠してる気がした」

この子、私のことを理解しすぎだ。油断ならんなぁ……。その貪欲さは好感持てるけどね。

まぁ、ええやろ。キミの勝ちだ。

私は寝転びながら両手をあげて、『降参』のポーズをとる。

「方法はあるんだけどね。あんまり、やりたくなかったなぁ」

そう言って私はカカトで地面を叩く。

すると私の足元の地面が凹み、みるみる階段が作られる。

まぁねぇ、一応ここって私の『領域畑』になるからね。『領域エネルギー』を使用すればこんな事も出来んのよ。

じゃあなんで最初からやらなかったかって?

勿体無いからだよ。

『領域エネルギー』だってタダじゃねぇんだよ。

ダンジョン作って人間から感情エネルギー溜めたり、戦わせたり、頭捻らせたりしてようやく領域エネルギーっつー私の隠し玉が作られてるワケだ。

現状、ダンジョンなんて作れんからな。収入なしなワケでぇ……。

穴を掘ったり、階段を作ったりするエネルギーを使いたくなかったんだよ。

結構食うんだぜコレ。

「……ほんとに隠してやがったな」

「一か八かで人を責めるの良くないと思うよホント……」

まぁ今回は見透かされた私の負けだ。敗者は大人しく対価を払おう。

ま、その前に……。

「おねぇちゃんも一緒どおかなぁ〜?」

私は森の木に向かって口を開くと、木の後ろから気まずそうな三つ編みちゃんが出てきた。

「……チッ、つけられてたか」

こらこら幼女ちゃん。舌打ちしないの。

私は途中から見られてるのには気づいてたんだけどね。ほれ監視カメラの能力でさ。

まぁ、邪魔もしないし放っておいたんだけど、流石にここからは有料だよ。

「おねぇちゃぁん……こんな夜中にどうしたのかなぁ?」

「ッ……こっちの台詞だよ……夜中に部屋を出てったと思ったら雨の中穴掘り始めたんだよ……何してるのさ」

「……掘ってる」

「それは見れば分かるよ。何か埋めるの?」

叱られているような構図の幼女ちゃんは指を指した。

「……オ マ エ ダ」

「おらぅぁああ!!」

そして十字架のネックレスをぶん投げられて、続け様に怯んだ隙に馬乗りで抑え込まれてる。

いや懲りろよお前も……力じゃ勝てねぇんだってそのネーチャンには。

「……じ、じょうだんじゃん!」

「お前を埋めてやる!!」

「あーはいはい。そこ迄にしようね〜」

パンパン手を叩いて視線を集める。

「ふむ、おねぇちゃんよぉ……これ見える? この階段。これね、ダンジョンに繋がってんのよ。私達はここに入るオーケー?」

「だ、ダンジョン? 下にあるの?」

「おっと、ダンジョンと私達は関係ないよ本当に。私達はただの興味本位ですわ」

ん〜、あんまり驚いてないね。ダンジョン自体はよくある物だからそうでもないのか。

「んでね。私達が入ったあと、コッソリ付いてこられたら困るんだよねぇ」

「何か……悪い事考えてるからでしょ」

「違うね。ウッカリ迷って私達が帰る時、おねぇちゃんを置き去りにして階段を塞いじゃったら困るでしょ?」

あと行方不明になられるのが困る。騒ぎになっちゃうでしょ。私達は隠れてんだよ。

「だからさぁ……隠れてコッソリ付いてくるくらいなら、いっその事一緒に行かないかい?」

もちろん家に帰ってもいいけど、どうする?

危険? あるかもね。

助け? キミの方が強いけど?

親に報告? やめて下さいお願いします。

こっちとしてはこんな感じの意見なんスけど……いかが?

やがて三つ編みちゃんは、迷ったような表情の後、ゴクリとツバを飲み込んで口を開いた。

「私もついて行く」

オッケー、キミも興味あるワケね。

そらそうか、家の地下にダンジョンが出来るってワクワクするもんだろ?

それとも、まだ私達が良からぬことを企ててるって思ってるかな?

大丈夫大丈夫。

私達何も悪いことしないよ。

階段のお片付けも、ちゃんとするからさぁ。

「おけ、んじゃ行こうか」

即席パーティー。

幼女×3

戦闘能力 無し!

私達は地面にポッカリ空いた階段をテクテクと降りて行った。