作品タイトル不明
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「まぁそれはいいんだが、なにも。問題が解決したわけじゃねぇぞ?」
「そうだな。振り出し・・・でもないか。ドラゴン4頭が敵になったことに変わりはないし、そのせいで接近する方法に困ってるんだよな」
いち早く問題に気付いたのはクライフ。
「接近方法・・・? 最初からどうするかは決まってなかったですよね?」
「事前案であれば、ゼネスの次元魔法を使う想定だったのだけれど、追加のドラゴン対策を考えると現実的じゃなくなってしまったからね。この巨体を彼の魔力で運ぶのは難しいだろう。それに、敵になったドラゴンが精神操作を受けているなら、その大元の近くに呼び寄せるのもよくない。情報処理の速度や理解度が上がれば操作の精度向上に繋がってしまうし、支配度の上昇にも寄与することだろう」
エリックの疑問へジーナが補足を交えて返す。
「それだけじゃないでしょ? 都合のいい肉盾が4枚増えるようなもんよ。アタシは別に構わないけど、いざって時に困るんじゃない?」
「相手は邪教の祖を名乗る不調法者ですので、状況を不利と見れば捨て石とすることに躊躇しないでしょう。もし、支配されてしまったドラゴンを助けたいと思っているのなら、標的との接触は避けるべきでしょう」
アンナとフェリシアが容易に想像できる未来を基に忠告までする。
実際、敵は今までも多くのものを使い捨てにここまでやってきた。
ついでに手に入れた駒なんざ気にかけるわけもねぇ。
「ふむ・・・それならば、我が汝らを背に乗せて運べばよかろう? 敵が一箇所に集まっているならば、奴とて迎撃を考えるはず」
「そこが問題なわけだ」
「何故だ?」
「俺達はドラゴンの背中に乗った経験もなけりゃ、そんな状況で戦うことを考えたこともねぇ。だから戦力にならねぇ。その上、おまえはどうなんだ? 背中に人間を乗せて、さらにはそれを守りながら下級とはいえドラゴン4頭を相手できるのか?」
「そう言われれば・・・確かに。我にもそのような経験はおろか、考慮したこともない。人間の耐久力とはどのぐらいだ?」
「言葉で説明できると思うか? 背中に卵を括りつけてるようなもんだぞ」
「それは脆すぎやせんか⁉」
「そもそもの大きさが違うんだ。お前らドラゴンの翼の間に挟まれただけでも死ぬっての。当然、飛行速度が早すぎても振り落されて、さよならだ」
「それでは戦うどころではないぞ! 結界なりで対処できぬのか⁉」
「私達だけを包む結界では相対速度に違いが生まれて振り落とされますし、貴方をも包み込んでしまっては、風の流入量が変わってしまうので速度が出なくなってしまうでしょう」
結界の専門家たるフェリシアがそう言うなら、恐らく間違いなくそうなる。
「ならば、一度振り切ってから・・・というのも無理になるのだな。多少の攻撃などは取るに足らんだろうが、一方的になりすぎると行動ができんぞ。汝らを降ろすことすら不可能ならば、反撃になど打って出られるはずもなし。我は魔力障壁は自信がある。それに守られている間になにかできぬのか?」
「それってあの虹色の壁のことですよね? 内側で魔法を発動させた所で、その壁のせいで外側は干渉できないんじゃ・・・?」
「それが出来るとすれば障壁は破れていることになるからね。一応、障壁の外側で魔法を発動させられれば、こちらが一方的に攻撃できることにはなるけれど――」
「魔法は使用者から離れると制御が難しい。特に攻撃魔法は質量や力の塊だ。狙ったところへ飛ばすならかなりの精度が必要になる。しかも、高速で全方へ移動している中で・・・ともなりゃ、魔法の発動は困難を極める。その上、飛行移動してるドラゴンへ当てるなんざ、それこそ不可能だな」
エリックやジーナみたいな上澄みの魔法使いであっても、出来ないことってのはある。
口に水を含んだまま全力疾走しながら、その途中で数百m先に設置された的へ、吐き出した水を当てるような曲芸じみた真似なんぞ出来なくてもいい。