軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

番外交渉

「北大陸の調査を誰に任せるかで少々もめてな。遅くなってすまない」

「いいや、早すぎるぐらいだ」

「そうか。それは良かった」

「よくねぇよ。おかげで準備も整ってねぇんだからな」

「なに? 連絡を寄こしたのだからその程度、終わらせておくべきだろう」

「その考えは否定しねぇが、成果を自慢したがった奴がいてな」

「それについては謝罪しておくよ。すまなかったね」

チクリと刺すように視線を飛ばすが、悪びれる様子すら見せねぇ。

それどころか、やれやれとでも言いたそうな雰囲気だ。

「そうか・・・しかしそうであれば、その旨を我に伝えれば良かったのではないか? こういってはなんだが、待つことぐらい容易いぞ?」

「あれだけ姿をさらしておいてか? 騒ぎが広がるだけだろ」

「む・・・配慮が足りなかったようだな。人間の矮小さを忘れて居ったわ」

「デカいのは図体だけにしとけよ」

「態度のことであるなら言われたくはない。誰のせいでその矮小さを忘れたと思っておる?」

「さぁな。とんと記憶にねぇ」

「ぬかしおる」

ドラゴンがフンッと鼻を鳴らすだけで突風が吹く。

それぐらいの差があることを忘れた責任を押し付けられても堪ったもんじゃねぇよ。

「それより、あの魔法はなんだ?」

「これかい?」

『そう、これだ』

ドラゴンの声に反応したジーナが即座に魔法を起動すると、またドラゴンの顔が指輪の近くに浮かび上がることで声が2重になって聞こえる。

『そちらには我の顔まで出るのか』

「虹霓玉のおかげでね。生憎そちら側にまで効果を及ぼすことはできなかったよ。コレがもう1つあれば可能かもしれないけれど・・・どうだい?」

『物を強請るには弱いな。声だけでも十分だ。それより、原理を知りたいものだ』

「研究成果は私の財産なのだが・・・・・・」

なぜかジーナが俺の方を見つめてから、

「正確な答えが私から欲しいのなら、対価を用意してくれたまえ。近い原理を知れればいいだけであるなら、彼に聞くといい。この魔法も彼を研究した結果だからね。まあ? 素直に教えてくれるとは限らないけどね?」

面倒ごとをぶん投げやがった。

そこまでして新しい虹霓玉が欲しいのか。

いや、欲しいか。

これ以上ないぐらい珍しい代物だしな。

『わかるのか?』

「知るわけねぇだろ?」

ここは即答しておく。

当然知らねぇんだが、知ってても教えるわけねぇと思わせるためだ。

癪に障るものの、珍しい素材が欲しい気持ちは理解できる。

物を作る人間としての性だ。

『これより負の因縁を断ち切るために赴くのだぞ? 無駄な魔力を消費したくはない』

「ふぅん? 君達も戦ってくれるのかい? 私達のために、加護を失う危険まで冒して? まるで冒険者みたいじゃないか」

『そのようには思わんと、そういうつもりか?』

「そう聞こえなかったなら謝るよ。なにせ、君達はここに来る前にも口論になったと言っていたじゃないか。そのせいで遅れたと。それっていうのはさ。つまりは誰が加護を奪う敵の勢力下へ行くか、で押し付け合いがあったってことだろう? それとも、一族の恥さらしを真っ先に屠るための権利を奪い合ったとでものかい? だったら、私達はなんのために必要とされているんだろうね?」

自信満々の口ぶりに、実はこの魔法で会話を盗み聞きしてたんじゃないかとさえ疑うほどだ。

さしもの龍王も同じ意見だったのか、嘆息と一緒に一つの石を吐き出す。

あぁ、本当に。

息と共に吐き出すかのように虹霓玉を生み落とした。