軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

着陸許可

「またドラゴンが来たぞ‼」

その報告が届いたのは工房ムーに来てから2時間ちょっとしてからだ。

室内の喧しさを凌ぐほど、外が騒がしくなってすぐ。

それでも報告に来た組合の人間は、こんな時にまでなにをやってるんだ⁉ と驚いちゃいたが。

「もう行くのか? お早いお迎えだな。急ごしらえどころか、急造品だぞ」

「気がせいてるんだろ。長年の願いが叶いそうでな」

「待ても出来んとは・・・そこらの犬以下だな」

「伝えておいてやるよ。そのものいい」

「おい馬鹿! やめろ‼ 無茶振りに応えてやった報いがそれか⁉」

「無事に勝てたらドラゴンも認める職人様だぜ」

「そうなるよう努力しろ」

「わかってるさ」

軽口を叩き合ったままに別れる。

再開の約束も、大仰な送別も必要ねぇ。

俺以外もそうだ。

軽い挨拶だけで済ませて工房を後にする。

”世話になった”そんな一言さえ、飲み込んで。

空を見上げれば、見事に照りかえる半月が注ぐ明かりを時折、鋭い影がゆったりと覆う。

問題のドラゴンも、来たはいいがどうするかを考えてなかったんだろう。

降りれるような広場もなけりゃぁ、前回と同様に建造物をなぎ倒すだけの勢いもねぇ。

迷った結果が滞空待機。

旋回しなかったのは下手に恐怖心を煽らねぇための気遣いか。

成長を感じるな。

ドラゴン的には人間を気遣うような素振りを成長と評価されたくねぇかもしれねぇけど。

そんなことを考えているうちに、向こうが俺達に気付く。

よくもまぁこんな中、見つけられるもんだと感心しながらジーナに言う。

「さっきのアレで伝えてやれ、ついて来いってな」

「それは構わないけれど、どこへ行くつもりだい?」

「どっか良さそうなところはねぇか?」

「バフォメットの生息地でいいんじゃないか? この時間なら冒険者は居ないはずだ。広さも申し分ない。多少の起伏はあるけど、あの巨体なら大丈夫だろ。バフォメットからすれば、途轍もなく迷惑極まりないだろうけどね」

クライフの提案を採用し、それをドラゴンへ。

そうと決まったからにはサルベージから出て、夜のアドレスを進む。

かつては見向きもしなかった場所に、新たな立て看板。

『新道開拓中につき注意せよ』

切り開かれた林が説得力の裏付けか。

この看板がここで切り倒した木から作られてたなら、とんだ大罪だな。

その場合、どっちの罪だかはわからねぇが・・・。

詰まらねぇことを考えてる間にも、知らない道は続く。

下り坂を――・・・・・・坂っていうか斜面だな。

滑らないように注意しながら進んでいく。

すると、壁として続いていた崖を曲がった先に尾根が広がる。

高低差は2M前後。

それが連続して奥へ進むにつれて高くなっていく。

つっても、目を引く箇所はそっちじゃねぇ。

横幅の広さ。

こっちの方に注目が行く。

尾根が連なるように存在するおかげで、間が台地の様に広がってる。

ただ窪みも多いせいで、人が住むには住みづらそうだ。

身体がデカけりゃ丁度いい腰かけなのかもしれねがな。

そして、そこを腰かけとして使ってるのがバフォメット。

普通ならもっと別の反応が見られるんだろうなと思いつつ、飛んで逃げる背中を見送る。

そういや、飛んでるバフォメットは初めて見たな。

情けない姿を覚えちまって悪い気がした。