軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

同じ日に

『これは――何が起きているのだ? 魔法の類か?』

困惑した声と共に、ドラゴンの顔が浮かび上がる。

「やあやあ、いつぞやの次元魔法を使った龍王君で間違いないかな?」

『汝はあの時の・・・? どういう状況だ?』

「あの時の約束通り、君に連絡をしたのさ」

『っ‼ 遂に来たのか、決着の時が――』

「そうなるかはまだ分からないけれど、そういう方針ではあるね」

いきなりのことに全員、驚愕を隠せないでいたが・・・。

俺が周囲へ視線を飛ばすと同時、それに気付いたフェリシアが結界を張る。

視覚と聴覚を妨害するものだろう。

これにより、混乱が大きく外へ波及することはないはずだ。

『分からぬとは、何故だ?』

「ドラゴンは強いだろう? 私達が勝てるという保証がないのさ」

『この我を降しておいてか?』

「アレは初見殺しもいいところだったからね。なにより、今度のドラゴンは人間社会に介入して来ていた。こちらの情報が漏れていてもおかしくないし、それこそ――あの時の戦闘も見られていたかもしれない。楽観はできないと思わないかい?」

『我らを疑わぬの姿勢は評価しよう。しかし、敵を買いかぶり過ぎてはおらぬか? 汝らは龍王に敗北を認めさせたのだぞ。龍王にすらもなれなかった存在をそこまで警戒する必要があるのか?』

「なければ君達だけで始末が付いたはずじゃないのかい?」

『それについては教えたはずだ。彼奴は加護を奪う。そのために我らは手出しが出来ぬと』

「つまり信仰心の都合だろう? そして、彼のドラゴンはその信仰心を利用して人間社会にまで食い込んできた実績持ちだ。なのになぜ侮ってもいいだなんて言えるのか、私には理解できないね」

『汝らには加護の低下が効かぬのではなかったのか?』

「効かないさ。よしんば効いたとして、大した問題じゃあない」

『それならば―――』

「私達の敵はね、ドラゴンだけとは限らないのさ。さっきも言っただろう? 人間社会に食い込んできたと。件のドラゴンがどこにいるかの検討はついているんじゃないのかい?」

『・・・・・・北の大陸。その更に北の果て。氷と雪に閉ざされた洞穴に身を隠しているはずだ』

「その北の大陸には人間の国がいくつかあったはずだけれど、現在の状況は確認できているのかな? 道中にある以上、素通りなどできないだろう?」

『我らの背に乗せてやろう。さすれば、そのような些事に惑わされることもあるまい』

「ほう、それは随分といい待遇じゃないか。ただし、だからといって北大陸にある国家の様子を見なくていいことにはならないのだけれど」

『何故だ?』

「慈善事業じゃないんだよ? もちろん利益のために決まっているだろう。これは君達の身内による恥だ。その過程と結末による損失の補填を貰わないと割に合わないとは思わないかい?」

『ぐぬっ・・・そのためだけに、か?』

「件の食い込み方が精神操作による干渉だからね。もし敵を討っても、心身の喪失が解除されなければどうなるか、予想できるのかい? 私には無理なわけなんだが・・・」

『それほどのことか?』

「人間にとってはね」

『愚かなことだ』

「仕方がないね。人間とはそういう生物なのだから。嫌ならやめてもらってもいいんだよ?」

『つまらぬことを言うな。迎えに行くことと並行して手配しておく。それでよいな?』

「ふむ。今はそれで譲歩しておくとしよう。けれど忘れないでくれたまえ? これは貸しだよ? それもとても大きな、ね。必要に応じて、こちらからの要求には答えてもらう。そのつもりでよろしく頼むよ」

言い終わると、ドラゴンの顔はおろか、声も聞こえなくなり、虹霓玉から放たれていた光さえ消え失せる。

「どうだい? 頼りになるだろう?」

ジーナはドヤ顔で言うが、

「――何の準備も出来てねぇのに、今すぐ呼びつけてどうするつもりだ?」

たった一言でその表情は呆けたものへと早変わりした。