作品タイトル不明
同じ関係に
「仇を・・・討ちに行くんじゃないのか?」
クライフは見事に俺の胸中を暴いて見せた。
「心外だな。なんでわかった? みたいな表情で見られても、俺から言えるのはせいぜい、何年の付き合いだと思ってるんだ? ってことくらいさ」
しかしクライフだけじゃない。
アンナ、エリック、フェリシアも。
わかっていたと頷くばかり。
「皇都でなにがあったのかは知ってる。その後のことも。世間的にはただの宗教観の違いによる派閥争いの様になっているけど、これでも皇族だぞ? 内々の事情だって聞こえてくるさ。後はまあ、連想かな」
そうは言うが、その危険性までは――・・・、
「敵はドラゴンなんだろ? 当然ながら強い。だから、俺達を頼ってくれた。でも、勝算が薄い。ないわけじゃないけど、賭けるには分が悪いと思ってる。そんなところじゃないか?」
なんて。
侮っていたのは俺の方だった。
「はは! どうせ、そんなことだろうと思ってたよ。根拠はいくつかある。1つはここサルベージであったドラゴンの襲来。あの時、出てきた話題の中に望福教って言葉があったこと。もう1つは教皇様の暗殺と内戦騒動。その原因が宗教なら、望福教にはドラゴンが関わっているのは明白。けど誰も、そんな巨体を見たことがなく、更にそこへ精神操作の疑いとくれば、嫌でも気付くさ。今では標的になることはない俺でもさ」
そうだ。
陛下に魔の手が迫ったこともあった。皇族はそれだけで狙われる存在。
なぜ、誰に、どうやって、なんのために暗殺が企てられるのか。
そういった意図や原因に敏感になっても不思議はない。
「俺達の旅が終わったのは、さっき一緒に確認したよな? それならもう、迷うことなんてないんじゃないか? 怖くないわけじゃない。覚悟が出来てるとも言わない。ただ、後悔だけはしない。それどころか、俺達を選ばなかったら呪ってやるぞ!」
笑って言うようなことか・・・。
そんな台詞さえ、声にならないまま。
「・・・いいのか? 本当に。それ以外の理由はないぞ?」
「俺がお前を冒険者に誘った時、理由なんてなかったんだ。一緒に居たい。それが理由でいいじゃないか」
「それだけに命を懸けられるって?」
「お前はどうだった? 十数年。死にそうになことなんてなかったか?」
「・・・あったな。何度も」
「それなら一緒だ」
「そうか」
「ああ、そうだ」
楽しそうに。思い出して。
「頼む。俺に力を貸してくれ」
「もちろんだ。頼まれなくとも押しかけるつもりだったけどな」
頭を下げるなりの即答。
顔を上げた先には突き出された腕があった。
武器を持って戦うことが多い冒険者ならではの腕同士を突き合わせる符丁。やっていたのはそれこそ子供の頃の話で―――だが、悪い気はしなかった。
「ふむ。妬けるねぇ」
そう言って顎を撫でながら、まじまじ見つめてくるのは疎外感を隠せていなかったジーナ。
「決めたよ。やっぱり私も、君から求められてみせるとね」
その言葉への返答も待たずに、ジーナは胸元から指輪を取り出すと、
「だから話もまとまったようだし、このまま本題へと移らせてもらうよ?」
その台座に固定されていた虹霓玉が光を放った。