作品タイトル不明
同じ答え
図らずもまたジーナと2人になる。
どうせ碌でもねぇ絡み方をしてくるんだろうと思っていたんだが、予想を裏切りジーナが話しかけてくることはなかった。
ただ見つめてくる。
微笑を浮かべたままにそうしてくるのは、それはそれで鬱陶しかったが、下手に構えば術中にハマった感じがするため放置した。
通い慣れた店の見飽きた光景。
少しでも違いがあるとすれば、賑わいが足りてねぇぐらいだ。
時間が過ぎるほどに、店の扉が音を鳴らす。
今日の活動を終えた冒険者達がそろそろと集いだしている。
皆、決められた席かのようにそれぞれ座るが、待ち人は未だ現れず。
時折に外れる視線が心を惑わす。
なんでコイツの反応で答えを知らなきゃならねぇのか・・・。
そんな感情が湧くものの、それが八つ当たりであることはわかっていた。
この席の近くには窓もない。
なのに、繰り返される駆け足の砂音。その重さと重なり具合でわかった。
ああそうだ。重々承知している。
ギィ・・・という洒落っ気もない簡素な音。
「ふむ。お出ましのようだね」
わざわざ確認するまでもなく、クライフ達の到着を知る。
それでも見る。
かつての仲間達を。
こうして迎えるようなことなど、してはこなかったのだから。
並んで店に入るあの頃とは違うのだから。
「ちょっと! ここまで来てるんなら真っ先に顔を見せに来なさいよ‼」
「アンナさん‼ 声大きいですって!」
「机を叩くのもどうでしょうか、うるさいだけでなく周囲を驚かせてしまうかと」
バン! と手をついて、開口一番文句を言ったアンナへ非難が集中する。
「なによ! 悪かったわね!」
知ったこっちゃないわよと言わんばかりの反応を見せつつ、ドカッと席へ。
対面に座るジーナの隣へ腰かけたアンナ。それに続いて、アンナの隣にはフェリシアが、空いていた方のジーナの隣へはエリックが座る。
「少し遅かったか?」
わずかに息を切らせたクライフは、まだ埋まって居なかった俺とエリックの間に座る。
丁度6人掛けの机が埋まった形だ。
「むしろ早すぎだ。なにも走ってくる必要なんざなかっただろ」
「そうか? 久しぶりの再会だぞ。気持ちが逸っても仕方がないだろ」
「今更、見たい顔でもねぇだろうに」
「そんなことはないさ。たくさん、話したいこともあったんだ。けど、実際にこうして顔を合わせたら、何がそんなに話したかったのか忘れたな」
俺のが話しやすくなるようにだろう。笑いを誘って見せる。
だが、それがわかっているからこそ、どんな顔をすりゃいいんだか。
「まだお悩み中かい?」
空気を読まず、あるいは読んでのあえてか。ジーナが切り出す。
「君が言い辛いなら私から説明するよ?」
「余計な真似だ」
「だったら観念したらどうだい? 君1人で解決できる問題でもないだろう。ましてや、他に頼れる相手もいないはずだ」
「ハアッ⁉ そんな大事な話なの⁉ なんでもっと早く言いに来ないのよ‼ ギルドで暇なんて潰してないで、アンタの実力ならアタシ達のところまでだって来られたでしょ⁉⁉」
「流石にそれは無茶じゃないですか⁉ というか、来られたら困りますよ! 僕達の努力の甲斐がないじゃないですか‼ ジーナさんと2人でなら・・・うーん、それも嫌ですね」
「落ち着いた場所で話したかったからでしょう。そうですよね? もちろん、返事は決まっていますが――私は何をすればよいのでしょうか?」
「エリック君? ちょっと待ってくれないかい? 何が嫌なのかな?」
ジーナがエリックの肩を掴みにじり寄る隣で、
「ああ。どんなことだって協力するさ。俺達に出来ることなら、だけどな」
クライフが力強く頷く。
だからこそ、ここへ来たのは間違いだったと確信する。
もう、何を言っても遅いのかもしれねぇがな。