作品タイトル不明
事前準備2
「そうであったか・・・いや、構わぬぞ? それで国益のために協力出来ぬというのか⁉ などとは言うまいよ。しかし少数人とは、具体的に何人程度まで同行させることが可能だ?」
「まだ試していませんので明確には言えませんが、10人程度が限界かと」
陛下は問題になりそうな発言を軽く不問として下さる。
その代わりというわけではないが、追及にはきちんとわかる範囲で答える。
「何故10人だと考える?」
「私1人で完全に掌握可能な範囲がその程度かと」
「其方がたった10人で限界だなどと、とてもではないが信用しかねるな」
「指揮や管理であれば、もう少し動かせるでしょうが――完全掌握ともなるとそうもいきません。次元魔法の安全性についてはまだまだ未確認なことが多いですから。それこそ、1歩間違えば即死することは、ルーフロンス領で実際に体験致しましたので。仲間をそのような目には遭わせられません」
「そういえば報告にあったな。刃物ではあり得ぬほど、鋭利に切り取られた部分があったとか・・・10人までならば確実にそれを防げると?」
「はい。その証拠に――少し、失礼します」
「ッ⁉」
これについては口で説明するよりも、体験していただいた方が早い。
魔力で繋がるあの感覚を、恐れ多くも陛下と共有する。
「お分かりになりますか? 陛下」
「これは――なんとも不思議な感覚だな。言葉にするのは難しいが、あえて言うならば、急激に手足が伸びたような・・・そのような感覚があるな」
「絶妙な例えですね。流石は陛下。わかるような気がします」
「茶化すな。其方ならば、もっと多くのことが分かるのであろう?」
「互いの距離、呼吸の速さ、視線の向きから、指1本の動きに至るまで。1対1であれば、その全てが把握できます」
「恐ろしいまでの能力だな。だが、これは移動以外では、どのような場面で役に立つ? まさか敵にまで及ぶのか? この能力は」
「もちろん、それも可能です。既にドラゴン相手にも成功させているので、その点も心配は御座いません。さらにここから――」
隣で見ていたジーナにも、この感覚を伸ばす。
「お、おぉ⁉ またなんとも・・・慣れぬ感覚だな。これは。たちどころに視界が広がったかのような開放感と今までの己の小ささのようなものを同時に感じられる。清々しくも惨めな気持ちになる」
「皇王陛下が惨めだなどということはございませんが――・・・それよりも。このジーナが増えたことにより、何かわかることがありませんか?」
「む? 少し待て」
そう言って目を瞑った陛下は数秒感覚を研ぎ澄まし、
「圧・・・のようなものを感じるな」
と確かに脅威を感じ取っていた。
「私からはどうでしょう?」
「ふむ・・・・・・これといって何も感じぬが、この違いはなんだ?」
それは――と答えようとした矢先、
「それはもちろん。魔力量ですよ陛下。なにも私の味方をしてくれないから陛下に害意があるだなんて、思ったりなどしてらっしゃいませんよねぇ?」
「うむっ! そのようなことは一切思ってはおらぬ。安心するが良いぞ!」
「そうですよね陛下‼ ああっ! ご理解いただけて本当によかった!」
ジーナが謎の気迫で陛下へ押し込んでいた。
やはり要所で刺すように見せる女の部分には陛下もたじたじのようだ。
厄介だとは思いつつ、下手に突いて藪から蛇を出すのも馬鹿らしいので、何事もなかったかのように流して次へ。
「それでは、これならどうでしょう?」
直接的な動きは全くと言っていいほどに無い。
だが、
「なんということだッ⁉ さっきまで感じていた圧が――・・・消えた⁉ それどころか、この湧き上がるような感覚はッ‼‼」
身体は着実に違いを感じ取っていた。