作品タイトル不明
side―――ユノ4
私は・・・ゼネス様とお会いできるまで、嘆いてばかりいました。
何をすればいいのかも、どうすればいいのかも、わからないまま。
決められずにいました。
でも、ゼネス様の姿を見て。この人も、私と同じなんだ。そう知りました。
やりたいことではない何か・・・やらなくてはいけない何かに追われて、それでも。
責任をもって、選んで、生きている。
どうして神様のような力を持ちながら、それを使って生きる道を選ばないのか。ずっと不思議だったんです。
お爺様から、ゼネス様のことを聞いて以来、ずっと。お慕いしていました。
でもそれは、今となっては、表面上だけを見ていた気がします。
敢えて困難な生き方をするのだとか、私欲に溺れず力に頼らないのだとか、そういう・・・表面的な、他人事の延長線上。
本質的にはきっと、ただやりたいことをやっていただけなのでしょう。
『そうしたいからそうした』
この言葉のどれほど重いことか―――今の私でさえ、まだ・・・・・・。
教会の教えの上で神と頂かれるより、大切な御友人達と冒険者として生きていたかっただけなのでしょう。
何も持たず、なにも抱えず、ただ大事なものだけを握り締めて、生きていたかっただけなのでしょう。
しかし、それが出来なくなって。
しかも、他の道を選んだというのに、いつの間にか別の道を用意されて。
都合よく利用されることになっても。
あくまでも、自分の意思だと。
嫌われることも、恨まれることも、恐れられることも。
『そうしたいからそうした』
そう言ってしまうのでしょう。
そう言って。
なにもかも、挑戦的な笑みで許容してしまうようなその在り方に。
心が震えました。
この気持ちは恐怖などではなく。
感嘆。
喜びも、哀しみも、捨てられないが故の感嘆。
どんなに逃げたくなるような状況でも、逃げずに戦っている人が居る。
人に。教義に。国家に。
神と定義されることとなっても。
手を、足を、髪を、引っ張り続けられることとなっても。
お爺様の・・・友人のために、誰かのために。
逃げなかった人が居る。
それだけで。ただそれだけで。どれだけ励まされることでしょう。
挫けてはいけないと。
立ち止まるのは不義理だと。
本当に。本当に、心の底からお慕いを申し上げます。