作品タイトル不明
side―――ユノ2
「・・・お、父様―――・・・・・・ッ⁉」
数多の困難を乗り越えた先、雲の上でお父様と再会します。
あの時、あの言葉を聞いて以来。
ギュッと・・・締め上げられるように、心も体も硬直してしまって。
なのにやっぱり、お父様の目に私のことは映って無いような。
「こんなことならばッ‼‼ 夢など持たなければよかったッ‼‼ 願いなど、望みなど、欲しなければ―――‼‼ もっと、早く―――・・・ッ‼‼‼」
そんな台詞を最期に私達は別れる。
眼の色が変わると同時に、雰囲気まで全く別人みたいに。
幾つかゼネス様が言葉を投げることで、それは確信へと変わっていく。
「お、お父様では・・・ない、のでしょうか?」
思わず出た問い。
ゼネス様は否定なされませんでした。
その後、何かを言われた気がしましたが、聞き逃してしまいました。
ただ、
「そんな―――それでは、あの時の言葉の真意は・・・・・・」
もう一度、問い質したかった。
本当に、お爺様のことを恨んでいたのか―――。
『貴方の言葉に従う人形など、誰が欲しいものですか』
私のことはもう・・・どうでもよかった。
だって、時間を戻すことは出来ないから。
失くしたものは戻らないから。
起きてしまったことは、動き始めたものは、止められないから。
そんなことはとっくに諦めていた。
でも! もしかしたら! お爺様に対する恨みは間違いだったって‼
ゼネス様の存在が‼ 神様の実在を証明してくれたのだから‼
そんな抱くべきではなかった希望は、
「あの時の言葉に嘘偽りなどありはしない。この体が言っています」
当然のように打ち砕かれます。
加護を与えられなかった。そのことに気付けなかった神様が悪いって――ゼネス様が自ずからそうおっしゃってくれたと聞いたのに、どうして?
人形になってしまったのはお父様の方じゃありませんか・・・・・・。
誰かの言葉に従うだけの―――ッ‼
顔を上げようとした瞬間に、風が吹く。
それが違和感だった。
この切り取られた空間は、その性質のために風は吹かないはずだった。
前からの風を手で遮って、風が止む頃に気付く。
お父様が倒れていた。
仰向けに倒れていて、こちらからでは顔が見えない。
途端に嫌な光景が脳裏を過る。
それは、ここ最近に多く見ることとなってしまった死。
血の気を感じさせない顔で眠るお爺様の顔や、仰向けの鼻までしかない顔。
・・・ゾッとしました。
何が起きたのかもわからなかったですから、次は――なんて・・・。
そんな恐怖を感じたせいでしょう。
ふと周囲を見回していました。
危険を察知するためではありません。
安心が欲しくて、ゼネス様を探してしまったのです。
けれど、私の周りには誰も。
誰も居なかったんです。