軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

探し出して決せよ8

「・・・わからねぇよ。人の命だぞ? 俺達にあれだけ死ぬなって言ってたじゃねぇか⁉ なのになんで、そんな物みたいに――」

「兵士――軍隊ってのはそういうもんだ。あらゆる理由を盾にして、敵の命を奪うための組織。それを用いて削り合うのが戦争って行為だ。今はまだ優勢を保てちゃいるが、それも時間の問題だ。結界に施した細工が破られれば人数差は歴然、今以上に勝ち目がある瞬間は恐らく来ない。だったら、今。勝ち切るしかねぇだろ? あくまでも、犠牲になるのは敵の命だ」

「操られてるだけでもかよ⁉」

「他に方法があるってんなら聞いてやるよ」

「それは・・・・・・」

出会ったころのジェイドは高慢だったが、それでも物分かりの悪い馬鹿じゃなかった。

いまだって劣勢の状況を知っていて、だからこそ。すぐさま杜撰な対案を出すような真似は出来ない。

「その業を背負えとまでは言わねぇよ。お前らはただ、見てればいい」

残酷な台詞だとは思う。

止められなかったって罪悪感は抜けねぇだろうからな。

ただ、ここで勝たなきゃまた次だ。

次がどこで、いつ同じようなことが始まるのかは知らねぇが、こんな騒動が続けば、必然的に国力は削がれ、結果としてより多くの国民に不幸を強いることになる。

そんなことを陛下は望んでいないだろう。

だからこそ俺に。破格の権限を与えて少数での行動を許したんだ。

「全体、整列‼ 5列縦隊‼」

横並び5人は壁と同じ数。

このまま前進すれば最初の区画はすぐに片付く。

「前5、後4、合計20を1部隊とし前進する。部隊間には半歩分の隙間を作れ! 部隊番号! 声上げ~‼」

『1‼』『2‼』『3‼』『4‼』

「前への合図で1歩の前進。止まれは待機、左右の号令で旋回90度!」

『『『『了解ッ‼‼』』』』

「目標、敵軍勢! 正面に移動! 移動開始‼」

『『『『移動、開始‼‼』』』』

言われたことを言われた通り、何不自由のない行軍が始まる。

―――寸前。

「ちょっといいかしら?」

待ったをかけたのはエイラだ。

「どうした?」

「対案よ。ジェイドにそう言ったんでしょ?」

エイラはわずかに視線をジェイドへと飛ばして戻す。

「・・・なんだ?」

「その前に確認させて頂戴。あの人達の周囲4方向は時空魔法によって分断されている。その内2箇所は入り口と出口になっていて、それ以外の方向へ進んでしまうと魔法の力に耐えられなくて死んでしまう」

「そうだ」

「ゼネスさんが隊列を組んで進行しようとしているのは、あの人達を押し出すことで安全に進行方向を決めるためよね? 少なくとも3択から2択には出来るし、正解の道へ押し出したとしても、更にその先が正解とは限らないし、なにより敵の数が減らせるから結果を視認しやすい」

「その通りだ。よくわかってるな」

「まあなんとなく、ね。それで聞いておきたいんだけど、どうやって正解の道を確かめるの? 選択肢が減るとはいえ2択でしょ? まさか兵士を消費してってことはないわよね?」

「適当に道具か魔法を投げ込むつもりだが・・・」

「あの繋がってるような感覚ではどうにもならないの?」

「空間ごと切り取られたからな。こっち側はまだ続いてるが、向こう側のはもうきれてる」

「そう。なら必要なのは、前進を保証出来る安全性と人が居なくなることで確保できる視認性ってことよね?」

「後は時間だな」

「時間・・・は流石にどうにも出来ないかもしれないのよね。多少の時間は大目にみれないかしら?」

「無理だな。安全や見通しより時間の方が重要だ。モタモタしてりゃ後ろのあの門から敵が雪崩れ込んでくる可能性が捨てきれねぇ」

「あんなに引き籠ってるのに?」

「だからだろ。攻めるための駒を外から確保したいってのが向こうの考えだ。そのための時間稼ぎがあの壁だ」

「それなら兵士の人達に後ろの門を守ってもらうのはどうかしら?」

「それで、あの壁はどうする?」

「引き抜くわ」

「・・・引き抜く?」

エイラは自信満々にそう言ってのけた。