軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

探し出して決せよ7

「どうなってんだよ⁉ これ!」

離れてた位置にいたジェイドが駆け寄って来る。

「空間が歪められてるんだ」

「それって時空魔法・・・だよな?」

「・・・あぁ、そうだな」

次元魔法だって訂正はなんの得にもなりそうにねぇから放置する。

「敵はそんなことも出来んのかよ。それとも、乗っ取った体の適性を使ってんのか?」

「本人の―――・・・ドラゴンの力だろうな」

「なんでそんなことがわかんだよ?」

「さぁ、なんでだろうな・・・」

「・・・チッ! 教える気のねぇ返事だな」

「理屈じゃねぇんだよ。ただ、そんな気がするってだけだ」

憎まれ口を叩くジェイドだが、その顔は憎らし気にしているわけじゃなく、むしろ寂しむように唇を尖らせていた。

「奥のアレって・・・死んでんのか?」

「顔の上半分が無くなっても生きていける人間じゃなけりゃ、たぶんな」

「なんで急にこんなことになってんだ?」

「ビビったんだ」

「ビビった? 誰が?」

「奥に隠れてるドラゴンが、だ」

「・・・・・・それって、サルベージの――あの時みたいなことか?」

「流石に覚えてるか。龍王とか名乗ってたアイツが敵を知った瞬間ぐらい」

「流石に、な。あんなこと、この先2度とねぇと思ってたんだけどな」

「コイツの場合は反応が過剰すぎるがな。傷心でも開いたか」

「そういやなんか言ってたよな。家族がどうのってよ・・・けどそんなこと感じる状況だったか? 操ってる連中が家族に見えたとかじゃねぇよな? あそこで指示役が死んでるしよ」

言葉こそ悪辣だが、事実ではある。

家族だなんだと感じるような状況じゃなかったのは確かだ。

だとすりゃぁ、

「いよいよ自分の番かって、本気で思っちまったのかもな」

自分の死後が目の当たりにした死体に重なって過ったか。

「死の気配ってやつか?」

「お前にも、覚えがあるだろ?」

「ここ来てから嫌な思いしてばっかだよ。傷心って言うなら俺様だって―」

「なら、来ない方がよかったか?」

「んなわけねぇだろ‼ そんなんで進める道なんざねぇって、テメェが言ったんじゃなかったか⁉」

「生憎。覚えがねぇな」

「頭わりぃな」

「よく言われた」

賢ければこんな生き方などしない。

いつか面と向かって言い放ったのは冒険者になろうって誘ってきた親友だったか。

誘ってんだか、断らせようとしてんだか、わからなかったのが懐かしい。

「実際にはどうするんだ? 時空魔法・・・今のアンタは使えるんだろ?」

「あの魔法は色々面倒でな。打ち消したりってのは難しいんだ。火の魔法を消すなら水の魔法をぶつけるだろ? そういう相性がねぇ。その上、最初に捻じ曲げるのと、後からそれを戻すのじゃ使う魔力も桁違いなんだ。先に発動した方が強いの典型だな。都中から魔力をかき集めればどうにかできるかも知れねぇが、そこまでする価値はねぇだろう」

「じゃあこのまま――・・・?」

「押し込んだ方が現実的だ。効率面でもな」

「その場合、アレみたいになる可能性もあるんじゃねぇのかよ?」

「そりゃ当然あるさ。だが幸い、加護はこっちにある。犠牲が出たとしても向こう側だ」

「ッ⁉ それでいいのかよ⁉ 操られてるだけの連中を生かしたいからじゃなかったのか⁉」

「兵士の士気が下がらねぇように配慮してただけだ。アイツらは元難民だし、故郷で似たような光景も見てたらしいからな。そんな奴らを手に掛けたとあっちゃぁ戦えなくなるかもしれねぇだろ? だからだ」

「だったらなんで、今からはいいんだよ⁉」

「押し込むからな。・・・一番手前の辺りがわかりやすいか。あの列の後ろには空間がねぇ。入り口は正面だ。押し込めば当然あの部分は押し出されるが、後ろから順番に消えていくおかげで、死体が残ることはねぇし、操られて声も出ねぇんだ。それがどうなってるかなんて誰も気にしねぇよ。足元に血溜まりが出来上がる可能性はあるが、それぐらいなら誤魔化せるだろう」

出来る限りわかりやすく説明したつもりだった。

だがジェイドの表情は、わからないと。そう物語っていた。