軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

省みて敵を見よ

「それで全員か?」

「・・・悪いね。数が必要だってのにさ」

「咎めるつもりはねぇよ。想定の中でも最悪の状況で。全滅だってあり得た。それほど信頼してたわけでもねぇしな」

「返す言葉もないよ。41名が離脱。大半が怪我人さ。その護衛も含んではいるけどね。呼び戻すのは・・・・・・」

言葉にしながら、ケイが目を伏せる。

一時的でも。戦場を離れた奴をすぐに呼び戻すってのは、色々と難しい。

戦意にしてもそうだが、お互いの信用も。

任せていいのか? なんて疑念が浮かんだ時点で、全てが崩壊するからだ。

「分けた人員と足しても60前後か。尚更、結界を利用しねぇとな」

少なくとも、結界の中には一般人が入れないだろうことは実証済み。軍人がどうなるかは不明だが、ある程度まで数を絞れれば対処もできるだろう。

逆に。60人そこそこで表から行ってちゃ、教会へ踏み込もうなんざ夢のまた夢と言える。

つっても、その方法をどうするか――・・・。

「おい‼ まるで俺達だけが悪いみたいに言うじゃねぇか‼‼」

思考を次へ移そうっつー矢先に、大層不満な声が。

その主はケイの後ろにいた兵からだ。名前も知らねぇ。

「あー・・・・・・」

なんて言おうか? 考えたが、いい案が出ない。出そうにもない。

だから、

「まるで、みたい。じゃなくて、事実だろ?」

一切の誤解を与えないよう、言葉は加工せずに伝える。

「なっ⁉ ――んだとぉ⁉⁉」

そうすると必然、だろうか?

顔を真っ赤にして声を荒げる男。

「元はといえば、テメェの立てた作戦が駄目だったんだろぉが‼‼ 俺達はそのせいで、仲間をやられたんだ‼‼‼」

そのふざけた言い訳に。後ろに続く何人もの兵達が『そうだ、そうだ』と縋りつく。

「それをテメェは何も悪くねぇみたいな顔で‼ 人のせいにしやがって‼‼ 謝罪の1つもねぇのかよ‼‼‼ おかしいだろッ⁉⁉」

言葉が続くごとに熱を帯び、それは伝播するかの如く、背後からの追い風も呼ぶ。

そんなもんは幻覚で、愚かな者同士の蜃気楼に過ぎねぇんだがな。

「言いたいことはそれだけか?」

「あ゛ぁ゛っ⁉⁉」

「俺達も同じ想定で動いてたが、居なくなった奴がいるか?」

「テメェらは数が少ねぇから―――」

「その数の少なさをどうやって補うのか? ってことを、ずっと考えて来たんだろ? より少ない数で俺達は被害を出さなかった。それが出来なかったのはお前らだけだ。何が悪いか? 結果が悪いんだよ。だからお前らの大将が謝っただろ? 俺はそれを許した。仕方がねぇと飲み込んだ。それの何が不満だ?」

「だからそれは、テメェの作戦が――‼‼」

「だったら最初にそう言えよ。やるより前に。作戦を知った時点で。自分には出来ねぇ! 出来っこねぇって! 先に言え。それとも。お前1人でなら作戦を遂行できたのか? 仲間が足を引っ張ったとでも?」

それこそ先に言って欲しかったなぁ! そんな小芝居を挟む。

正直に言って、こんな下らねぇ文句を取り合ってやれる程の余裕はない。

圧倒的人数の差に地形の攻略。

皇都陥落の可能性やユノの症状まで考えれば時間がない。

一刻も早く教祖まで辿り着くためには、多少強引にでも黙らせる。

「あぁ、いや。もしかして・・・死にたくねぇってだけの話だったのか?」

仲間が怪我する様を見て、臆病風に吹かれたか? つまりはそう言った。

短気な奴らだ。反発してくるだろう。なんて浅はかな思考。

だが、間違っちゃいねぇはず―――だった。

しかしながら、

「そんなわけ――ッ‼‼」

あと一歩のところで、ぬかるみに足を取られたかのように動きを止める。

「呪われてんのか・・・⁉ 俺達はっ⁉⁉ なんのために海を渡ってまで、故郷を捨ててまで流れて来たんだ⁉⁉」

急な独白。

その意味も、理由も知るはずがない。

ただ、

「なんでここまで来て、また! あんな! 人形みてぇな連中の相手をしなきゃならねぇんだよ⁉⁉」

捨て置けねぇ言葉が聞こえた気がした。