作品タイトル不明
壁に当たりて己を見よ
眩しい日差しの下、不正に思いを馳せていると。
「そっちはなんともなかったのかよ⁉」
なんて。文句とも取れる声が届く。
「そっちは苦労したみたいだな? ジェイド」
「大したことじゃなかったってぇの‼ 俺様達をなんだと思ってんだ?」
「だったら、さっきの言葉はなんだ?」
「西門の近くに居なかったからだよ‼ 探すこっちの身にもなりやがれ!」
素早く建前をあげつらえる当たり、移動中に色々と考えながら周囲の観察まで出来てたんだろう。
「南門の様子はどうだった?」
「兵隊以外も押し寄せて来て最悪だったぜ。機能を奪い取るどころの話じゃなかったな。会話もままならねぇんだからよ」
「被害は?」
「ないに決まってんだろッ‼ 見てわかんねぇのか?」
合流してきたジェイド達を見れば、確かに人数は揃ってる。
「服の上からじゃな・・・」
「嘘つけよ! そんぐらいわかんだろ? なんなら、精神的なことまで見透かされてそうで気持ちが悪いったらないね」
「それだけ喋れるようなら気にする必要もねぇな」
「じゃあ初めからそうしろってんだよ。それで? そっちはどうだった?」
「指示役を1人消した」
「それが暴走の原因じゃねぇだろうな?」
「どうだろうな? 教祖の顔を拝んで見ねぇことには、なんとも」
「どこにいるかの見当ぐらい、ついてんだろうな?」
「そりゃ教会にいるだろ」
「ああ、そういやそうか。けど、どうやって行くつもりだ?」
「そいつを今、考えてるところだ」
「教会の位置は?」
「地図と同じ」
「表の道が使えねぇ・・・と」
「裏も封鎖されてるのを確認した」
「どうすんだよ? 壊すのか?」
「使えるようにするか、使えるようになるか、だ。壊すのは無しだ」
「なんだよそれ。意味わかんねぇ」
勢い―――としか言いようのない会話で情報を受け渡す。
「その違いについては詳しく教えてもらえないのかしら?」
それを聞いていたエイラが呆れたよう反応を見せてから言う。
「古い結界を見つけてな。それを通れるように考えてる」
「するか、なるか、だったわね? どう違うの?」
「条件を変えるか、俺達が条件に当てはまるか」
「なるほどね。ケイトはどっちがいいと思う?」
「そんな急に・・・」
少し沈んだような雰囲気を醸していたケイトに話を振るエイラ。
「だって。私達の中でなら、貴方が一番魔法に詳しいでしょ?」
「それはそう、だけど・・・」
「なら! 切り替えて! 反省はいいけれど、引きずってちゃ駄目なのよ」
「そうですわよ! ケイト! 本当に問題でしたら、合流した時点で。既に指摘をされているはずですわ!」
キューティーが俺を指差して胸を張ることから、なんつーか失礼な物言いと感じなくもないが、およそ何を言いたいのかは理解できた。
「戦力の損耗がなかったんだ。気にするな。予想からしても状況は最悪だったんだろ? むしろ、よくやったぐらいだ」
「ありがとう、ございます。でも・・・」
「もっと上手く出来たはず、か?」
「すみません。自分自身の期待にも遠くて、どうしても・・・」
「傲慢だって、言うべきなんだろうな。下手すりゃ目の前で仲間が死んでだ。自分の判断で。そうならなかったんだから――なんつー説教は、意気を削ぐだけか。次を期待するのもおかしな話だし、運がなかったと諦めとけ。軍師が夢じゃねぇんだろ?」
「そう、ですね・・・。本で読んだだけの知識で、予習通りに行くなんて思ってなかったけど。それにしても、なんにも出来なくて・・・」
「被害がねぇってのは十分な戦績だ」
反対側から合流してくるもう1つの部隊に気付いたんで、恥じ入るような態度のケイトへ向けて言う。
ジェイド達に預けた数より、よっぽど多くを伴ったはずのケイの部隊は。
ここへ来るまでに半減していた。